心の状態と部屋の状態

物を捨てられず、部屋が散らかっている人は、鬱の人が多いようです。だから、家をゴミ屋敷にする人は、たいてい鬱だと思います。心にもいらないものをため込みすぎて、動けなくなっている状態ですから。 

アメリカにいたときのクライアントさんで、いらないとわかっていても、次から次へと物をため込み、捨てられない人がいました。この人は、物を捨てるのが怖いと言っていおり、つまりは変化を恐れている人でした。捨てればスペースができて新しいものが入ってこられるのですが、今までにさんざん痛みを経験しているため、新しい体験を恐れるのです。もちろん、これは深層心理の話で、この人自身はその自覚がありませんでした。この人はセラピーを信じていないと言い、自分をよくするためにどんな手法も使ってほしくない、ただ話を聴いてほしいだけだと言い張り、何年も規則正しく通い続けては、同じ内容の不満を変わらず言い続けていました。この人の症状はもちろん一向によくならず、症状を一時的に抑える向精神薬を大量に飲み続けているため、身体が耐え切れなくなって、時々気を失うまでになっていました。

一方で、不安が強い人は、しばしばとても部屋がきれいです。 

同じくアメリカにいたころのクライアントさんですが、OCD(強迫神経症)の人で、不安から気をそらすために、毎日夜中に何時間もかけて部屋を掃除している人がいました。そんな必要ないのに、同じところを毎日きれいにするのをやめられない。そして疲れ果てていました。 不安な人によくある特徴の一つとして、この人は、セッション中よくしゃべる人でした。話していないと不安なのでしょう。こちらがあまり口を差し挟めないくらい、次から次へと話す。専門用語ではこれをpressured speech(切迫談話)といいます。

 常に頭が過剰に動いているということは、思考が静止したときに沈黙の中で湧き上がってくる自分の本当の感情や心の問題と向き合うことを、恐れている可能性があります。けれども、そういう場合、やはり、逃げたり避けたりすのをやめて、紛らわせている不安と向き合わない限り、症状が改善しません。  

このように、心の状態と部屋の状態は、密接にリンクしているものだと思います。

                                            (Chika)

 

006

 

他人より自分を観る

周囲の人に対する悪口や不満を、言ってはいけないとはいいませんが(ため込むよりは吐け口を見つけたほうがいい場合もあるので)、ただ、残念ながら、それをしている間はその人は幸せになることはできません。

また、自分に害を及ぼした(と信じている)人が、心理学的にいかに病的であるかを熱心に分析する人がいますが、厳しい言い方をすると、それも時間の無駄です。なぜなら、いくら相手を分析しても相手は変わらないからです。相手が悪い、自分は被害者だと考えることにより、一時的に慰められて気分がよくなることはあるかもしれませんが、それでは状況は悪化することはあっても、よくなることはまずないでしょう。

自分ではなく、他人の問題にフォーカスしている間は、問題は解決しません。

 

「隣人の語ること、行なうこと
 考えることを気にかけない者は
 どれだけ多くの利益を受けることだろうか」

「他人の魂のなかに何が起こっているか
 気をつけていないからといって
 そのために不幸になる人は
 そうたやすく見られるものではない
 しかし
 自分自身の魂の動きを注意深く見守っていない人は
 必ず不幸になる」

 

マルクス・アウレリウス・アントニヌスの名言は、真理をついていると思います。

どんなに他人の中に過ちを探しても、自分の苦しい状況は改善しないということです。自分自身の内面に目を向けて、なにが今の不幸せな状態の原因であるかを見つけ、それを変えようという意志を持ち、正しい方向に努力することによってのみ、状況はよくなっていくものだと思います。

 

 

                                         (Chika)

 

020

 

 

盛岡・セラピーグループ参加希望者募集のお知らせ

3月より、盛岡で、新しく開催するグループセラピーの新規メンバーを若干名募集いたします。

 

日時:月1回、日曜日、9:30~11:30(日時の詳細は追って連絡します。)

場所:盛岡中央公民館(予定)

参加費用:2,500円(資料代込)

予定参加人数:7~8名

 

ハミングバードのセラピーグループは、心の健康に役立つスキルを学ぶともに、ある程度個人的な問題もシェアして、メンバー同士お互いにサポートし学び合うことを目的とします。

具体的なスキルの内容としては、ストレスや苦しみに上手に耐えるためのスキル、人間関係をうまく維持させるためのスキル、感情をコントロールするためのスキルなど、DBT(弁証法的行動療法)に基づく心理的技法が主なものになっています。

その他、自分を発見するためのエクササイズや、誘導瞑想やサウンドヒーリングによるリラクゼーションも取り入れており、盛りだくさんな内容になっています。

参加ご希望の方は、ご予約・お問い合わせフォームに、必ず参加希望理由をご記入の上、送信してください。追ってご連絡させていただきます。

※グループ・セラピーは、少人数制で、ご参加いただける人数が限られているため、参加希望人数が募集人数を上回る場合は、ご参加いただけない場合もあります。あらかじめご了承ください。

 

                                        (Chika)

 

015

 

 

 

 

 

 

 

 

 

最近はまっているもの

 

最近、筋トレと空手にはまっています。

↓ 写真左は、届いたばかりの空手着。(数か月前の写真です。)新品の空手着はブカブカすぎて、特に下は、バカ殿の袴のごとく引きずる長さでした。縮ませるために熱湯をかける、コインランドリーの乾燥機で乾かす等、涙ぐましい努力をしました。

写真右は、筋トレ用に敷いたヨガマットと、マットを敷くと必ず上に乗って邪魔しにくるネコ。

家では雑誌「Tarzan」を見ながらやり、時々はジムに通ってワークアウトしています。

 

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空手はまだ初心者で、わからないことも多く、私が一番のなので、当然ながら道場一下手くそですが、それもまたいいなと思う今日この頃です。一番下というのは、謙虚さを学ぶのに、とてもいい環境なので。

空手を習いたいと思った理由は、「氣」のバランスを取り心身をコントロールする術を、武道を通じて自分が学べば、クライアントさんにもそれを教えることができ、セラピーの役にたつかもしれない、と思ったからなのですが、初心者ではまだそこまで習得する余裕がありません。

でも、筋トレや空手をすることにより、身体面が強化されると、より自分の軸がしっかりして、自分に自信がつく気がします。夜道で悪漢に襲われても、振り向きざま後ろ蹴りで応戦できそうな気がすでにしているし(半分以上妄想ですが。)

もっと、実際的なことをいうと、筋肉がつくと、疲れにくくなります。これは本当に実感します。

ちなみに、メンタルヘルス的にも、運動が有益であることはわかっています。継続的な有酸素運動は、抗鬱効果あるといわれていますし、身体を動かして運動すると、余分なアドレナリンが消費されるので、怒りや緊張も軽減されます

 

締めくくりは、癒し系の写真で。

 

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                                                                                                                                                                                    (Chika)

 

対人関係における問題解決の手引き

夫婦や親子、職場の人、友達同士で、自分と相手の意見が食い違ったり、対立したりした時、建設的に話し合いをするためのコツをお伝えします。参考にしてみてください。この中で、アイ・ステートメントというのがでてきますが、これについては、また改めて記事に書きたいと思います。

 

相手ではなく、問題に焦点を当てる 

意見の相違が、相手をさげすむような言動、バカにした調子、荒らげた声に転ずると、もはや建設的な会話のやりとりは望めません。相手を非難するのではなく、あくまでも問題に焦点を当てるよう、注意を払いましょう。意見の相違が個人攻撃になりそうになった時は、会話をいったん休止しましょう。 

リフレクティブ・リスニング*(Reflective Listening=聞き返し)を使う

*リフレクティブ・リスニングとは、相手の言葉によく耳を傾け、理解した後、「(つまり、あなたの言いたいことは)~ということですね」と、相手に聞き返すこと。 

議論の際、私たちは、相手の言うことに耳を傾けないで、自分の主張を相手にわからせることだけに一生懸命になってしまうことがあります。相手に言い返す前に、相手が今いったことを、自分の言葉で言い換え、相手に聞き返します。そして、こちらが相手の言い分をちゃんと理解していると相手が同意するまで、それを続けます。次に、あなたの言い分を伝えます。相手も同様に、こちらの言い分をちゃんと理解するまで、あなたの言い分に関して、聞き返しを行います。このテクニックを使えば、意見の相違に関わらず、双方が、相手に話を聞いてもらえた、理解してもらえた、という気持ちを持つことができます。 

アイ・ステートメント(“I” Statement)を使う 

問題を打ち明ける際、「私は」という言葉から始めます。例えば、「私は、あなたが約束を守ってくれなかったことに、傷ついた」など。「あなたは」ではなく「私は」を主語にすると、相手を非難するニュアンスが薄れ、自分の感情は自分が責任を持つ、という含みが言葉に表れます。「あなたはいつも約束を破る」という「あなた」を主語にしたいい方は、相手を防衛的にさせてしまうことがあるので、注意しましょう。

タイム・アウト(小休止)を取る時を知る 

相手との間に、言い争いや、侮蔑的な言動や、攻撃的なやりとりが生じた時には、タイム・アウトを取るといいでしょう。必要な際にはタイム・アウトを要求できるよう、あらかじめ相手と同意しておくとよいでしょう。タイム・アウトの間は一人で過ごし、何かリラックスできることを見つけます。ただし、途中で投げ出すのはよくないので、必ずタイム・アウトの後は話し合いに戻るようにしてください。双方の気持ちが落ち着いたところで、問題解決のための話し合いを再開します。 

解決に向けて努力する 

意見の不一致は、対人関係では普通にあることです。あなたと相手の意見が異なることが明らかになったら、解決策に焦点を当ててください。そして双方を益する妥協案を見つける努力をしましょう。また、この意見の相違が本当に相手との関係性に重大な影響を与えるかどうか自問自答し、答えがノーであれば、手放して前に進むことも時には大切です。                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                     (Chika)

 

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本当の自分とのつながりを断ち切るもの

本当の自分を覆い隠して、本質的な魂の部分とのつながりを断ち切ってしまう要因に、生きのびるために身に着けた仮面や、自らに課している役割があります。

これらの仮面や役割は、恐れや痛み、不快な経験に対処するための方法であり、通常、まだ若くて身を守る術がなかったころに身に着けた一種の処世術です。

これらは、自分の感情を感じることを避け、その状況において刹那的にパワーを獲得するための方法でもあり、現実から目をそらし、ぼんやりと、なんとなく生きることを手助けします。

ただ、これらのサバイバルスキルには大きな欠点があります。短期的には、痛みを感じないように助けてくれますが、長期的に使い続けると、自分の内面とのつながりを弱めてしまい、自分の魂の部分からくるシグナルを、わからなくしてしまうのです。

自分の本質的な魂は、すべてを熟知している潜在意識とつながっており、どうやったら本当の意味で満たされて幸せになれるか、いつも私たちにシグナルを送って導こうとしています。ただし、このシグナルはとても微妙で繊細な音で発せられるので、私たちが自分自身とつながり、内側に意識を向けていないと、容易に聞き逃してしまいます。

生存のための仮面をかぶったり、役割を果たすのに夢中になっていると、このシグナルをキャッチすることができず、自分が本当に行きたい方向から、どんどんずれてしまい、望まない現実を築き上げる結果になります。

それを防ぐためには、

①自分がかぶったり演じたりしている仮面や役割はどれか、気づく。

②その仮面や役割が、今でも本当に自分に必要なのか、それともデメリットの方が大きいか、それは本当に自分を満たしてくれているか、これからも続けていきたいか、自問する。

人は、自分の役に立たないこと、自分を害することは、通常、やらないものです。それがもう、自分に利をもたらしてはいないと意識することは、その行為をやめるための、第一歩です。

 

中毒/アルコール依存

–家族システムの中で恥を担う「病気持ち」。悪いことは全部この人のせい。衝動的・依存的な行動に没頭することで、現実や本当の気持ちに直面するのを避ける。

いじめっ子/支配者

–極度に怖がりで、不安定で、真の自己からかけ離れた存在。他者を身体的・精神的に支配することで、自分の中の恐れや不安を見ないようにしている。

世話人/救済者

–人の世話をすることで、自分を見ないようにする。人が必要なものは知っているが、自分が必要なものを知らない。世話することが、他者に及ぶ自分の影響力や、必要とされている感を得るのに役立っている。

不適合者/失敗者

–自尊心が低く、繰り返し恥の気持ちに見舞われる。自分は不完全、悪い、欠陥があると感じている。この信念体系を維持することによって、自分の人生に責任を負わなくてよくなる。

病みつきギャンブラー

–ゲームに依存することで、気晴らしやパワーの獲得感を得て、現実逃避する。孤独感や自己対峙の必要性から気をそらせている。

理屈屋

–感情的な問題を分析することで、直接的な対峙を避ける。知的レベルにとどまることで、本当の気持ちを感じなくて済む。

ロストチャイルド

–独りになることで、自分が注目されることを避ける。自分の世界に住む、「申し分のない」おとなしい子。人よりも物に愛着をもつ。人と深く関わるのが苦手。

マッチョな男/女

–見かけ上は強く、自分を律することができている。助けを求めるのが苦手。恐れや無力感を仮面の下に隠し、人を遠ざけようとする。

殉教者

–自己憐憫にひたり、自分は理解されない・感謝されない・重荷だ・希望がないなどと感じている。自分の人生に責任を持てず、救済者や調停役のふりをしている場合も。他者に面倒を見てほしがっている。

マスコット

–子供っぽく、かわいらしく振舞うことで、成長することを避けている。クラスのピエロ役。ユーモアを使って家庭内の緊張を和らげる。責任を避け、人に面倒を見てもらいたがる。

八方美人

–境界線が甘く、人につけこまれやすい。ノーということを恐れる。好かれるために、自分を犠牲にし、他者のニーズを満たそうとする。自尊心がとても低い。

完璧主義者

–失敗への恐怖に駆り立てられ、どんな間違いも避けようとする。心の奥深くにある無価値観を埋め合わせるため、外側で完璧であろうとする。

ぐずぐず屋

–習慣的な不注意や怠惰から、ものごとを先延ばしにする。問題を見るのを避けたり、自分の責任を人に取らせようとしたりする。

永遠の子供

–成長して大人の責任を取りたくない「ピーターパン」タイプ。遊んで楽しんでいたい。

反抗者

–反抗的な態度で責任逃れをする。否定的な行為で注意を引こうとする。学校で問題を起こしたり、法的なトラブルを起こしたりする。薬物問題を抱えることも。

生贄

–うまくいかないことがあると、いつも責めを負う。ネガティブヒーローの役割。家族の痛みや恥を表現する。

やり手の成功者

–自己価値観の低さを、生産性や競争にこだわることで埋め合わせしている。自尊心の基盤が「行為」であり、駆り立てられるようにそれを行う。

代理の夫/代理の妻

–代理の夫は、父親の代わりに母親の感情面のケアをし、母親の幸せに責任を感じている男性。代理の妻は、父親の感情面のケアをし、父親の幸せに責任を感じている女性。

尻軽男/女

–追い求めてセクシーに振舞うことで注意を引こうとする。愛を求めても、利用された感、孤独感だけが残る。

吸血鬼

–他の人の資源を使おうとする。与えるものがない人には興味を示さない。この人のそばにいると疲れる。

犠牲者

–慢性疾患を抱えた「病人」であることも。自分を哀れに思い、それを口にする。自分の痛みについてだらだら愚痴をこぼし、誰にもわかってもらえないと訴える。自分自身を助ける責任を逃れている。救済者や援助する専門家をひきつけ、人を操ろうとする。

仕事中毒

–駆り立てられるように忙しく、仕事や成功を追い求める。感情を麻痺させ、無力感を避けるために、仕事に没頭する。休暇を取ったり、娯楽や楽しみを得ることが困難。

買い物依存/物質主義者

–現実や自分の感情から逃げるために、衝動的に買い物をする。

 

いかがでしたか。ご自分に当てはまったものはありますか。

当てはまったからといって、心配したり自分を責めたりしなくても大丈夫です。誰でも一つや二つ、もしくはそれ以上の仮面や役割をもっているものですから。それがいいとか悪いとかジャッジするのではなく、ただ、気づいて認めてあげることが大切なんだと思います。

 

                                              (Chika)

効果的なコミュニケーション: アサーティブネス

効果的なコミュニケーションの方法として、アサーティブネス(assertiveness=適切な自己主張)という言葉が、最近、日本でも聞かれるようになってきました。

では、アサーティブネスとはなんなのか、他の2つのコミュニケーションタイプと比較して、みてみましょう。 

●攻撃タイプ(agressive):他者の権利を侵害する。

  • 相手を批判したり、侮蔑したり、相手を支配しようとしたりする。
  • 相手の言うことを皆まで聞かず、頻繁に遮る。
  • 声を荒らげたり、脅したりする。
  • すぐに苛立ち、それをあらわにする。
  • 衝動的
  • 高圧的で横柄な態度を取る。
  • 相手をにらみつける。

●受動的攻撃タイプ(passive agressive):敵意を間接的に表す。

  • はっきり言わないで、ぶつぶつ文句をいう。
  • わざとぐずぐずする。
  • ふくれっ面をする、あるいは怒っているのに笑みを浮かべる。
  • 皮肉をいう。
  • 視線を合わせない。
  • 相手を無視する。
  • 表面的には協力的だが、相手を害するような行動を取る。
  • 問題を認めない。

アサーティブタイプ(assertive):相手の権利を尊重しつつ、自分の気持ちや欲求を表現する。

  • 遮らずに最後まで聞く。
  • 自分の必要や欲求をはっきり伝える。
  • 自分の気持ちを率直に伝える。
  • 自分の権利のために立ち上がる。
  • 視線をしっかり合わせる。
  • 穏やかだが、はっきりした声で話す。
  • 自信を持って堂々と主張する。
  • 自分をしっかりコントロールしながら話す。

攻撃的なコミュニケーションは、相手の欲求や必要性を軽視し、パワーを駆使して、自分の欲求や必要性を押し通そうとする、支配的なコミュニケーションです。

受動的攻撃のコミュニケーションは、表立っては攻撃しませんが、相手を尊重しないという点では同じ。相手を避けたり、拒絶したりするしているので、相手とちゃんとつながることができず、よい関係を築くことができないという点では、攻撃タイプと同じです。

これらに対して、アサーティブなコミュニケーションは、相手の言い分を承認し、尊重しながらも、こちらの欲求や必要性をまっすぐ伝える、というやり方です。誰しも、自分を認めてもらえるとうれしいもので、そうなると、相手に対しても心が開きやすくなります。心が開くと、相手のいうことを受け入れやすくなるものです。

いらない画策や操作をせず、堂々と率直に自分の気持ちを伝えることは、コミュニケーションの早道でもあり、他者とポジティブなつながりを持つために必要なことです。

もちろん、相手が信用できる人かどうか、正確に見定めないうちに、こちらの意図や感情を必要以上に見せてしまうのは、場合によっては安全ではないかもしれません。また、どんなにアサーティブにうまく伝えたとしても、相手がこちらの要求を呑んで、自分の欲するように動いてくれるという保証もありません。相手がある場合は、相手の意図も関わってくるので、必ずしも思い通りにいかないのは当然です。

けれども、少なくとも、相手に効果的に自分の意志を伝え、かつ、相手に自分を尊重してもらう可能性を高めるためには、アサーティブネスは、必須なコミュニケーション方法だと思います。                                                                                                                                                    (Chika)

 

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記憶のしくみ

私たちは、日々、新しい体験を積み重ねて生きています。でも、その体験のすべてを記憶しているかというと、そうではありません。ある体験は記憶の彼方に葬り去られ、ある体験は、時がたっても昨日のことのように思い出してしまいます。その違いはなんなのでしょうか?

カギになるのは、その体験をしたときどれだけ心身が興奮状態にあったか、なんですね。

実は、人が最も覚えているのは、傷ついた体験、侮辱された体験です。身を脅かすものに直面し、ストレスホルモンであるアドレナリンが分泌されると、今後の防衛のために、その体験は私たちの意識にしっかりと刻み付けられます。そのため、アドレナリンがたくさん放出されたできごとほど、後々まで忘れずに覚えているというわけです。

人は、概して、いい体験よりも悪い体験の方を、よりよく覚えているものなのですが、これも生存のために古くからある原始的な脳がそのようなしくみに作られているからだと言われています。

いい体験を覚えていなくても命には別条がありませんが、身の危険を感じさせられた悪い体験を覚えていないとなると、その後、同じような体験が起きたときに危険を認識して避けることができず、命に関わります。脳の最優先事項は、命を守ること、体を生かしておくことです。感情的な快・不快は、脳にとって二の次。だから、つらい経験であっても、生存のために必要ならば、忘れることなく記憶に保存されるということです。

ただ、私たちの判断は、しばしば誤ることがあります。その結果、危険ではないものを危険だと誤認識し、不必要な警戒をして、無駄にストレスホルモンを放出し、心身を疲れさせてしまうことがよくあります。「ヘビを見たら3年縄が怖い」といいますが、ヘビを見るという恐怖体験がトラウマになり、縄のように安全なものであっても、いちいち過剰に反応してしまうというということなのです。この場合、もうこの体験は終わった、「ヘビ」はいない、あれは過去のことで現在ではない、今はもう安全だから大丈夫、ということを、身体レベルで納得させることが、過剰反応をやめるために必要になってきます。

また、その体験があまりにも恐怖や苦痛に満ちていて、心が耐え切れない場合は、安全装置が働いて、記憶は意識に刻まれる代わりに、一時的に顕在意識から消去されるということが起こります。幼児期に虐待を受けた多くの人が、子供時代何があったかよく思い出せないという、臨床現場ではよくみられる現象が起こるわけも、ここにあります。けれどもそれはあくまでも一時的な対処法であり、潜在意識に抑制された痛みの体験は、長く放っておけば置くほど、心を蝕むという代償を払わなければならないので、いつかは取り出して、直面しなければならなりません。

記憶に刻みつけられた体験であれ、一時的に消去された体験であれ、それを本当に忘れるためには、その体験がもたらした痛みの感情を昇華させることが必要です。昇華とは、消化することでもあります。痛みの感情には必ず意味があるので、それをちゃんと見つめて、受け入れ、理解するということ。自分の人生から除外するのではなく、その体験がもたらした意味を見つけ、自分の人生に必要なパーツとして組み込んみ、自分自身に統合するということ。その作業ができたとき、その体験は、痛みしかもたらさない厄介な体験ではなく、自分に力を与えてくれるリソース(資源)へと変わります。それと同時に、記憶や潜在意識にとどまっている必要性もなくなるので、自然に消えていき、私たちはその体験から自由になることができるのだと思います。                                (Chika)

境界線パーソナリティとトラウマ

境界線パーソナリティ障害は、10種類ほどあるパーソナリティ障害の一つで、対人関係、自己像、情緒が非常に不安定であり、かつ、行動が衝動的であることが主な特徴です。

境界線パーソナリティの人は、見捨てられ不安がとても強く、誰かに捨てられると思うと非常に取り乱し、必死でそれを食い止めようとします。そして、捨てられる恐怖が強いあまり、しばしば、自分から衝動的に関係を断ち切ったり、自傷行為をほのめかして、相手をつなぎとめようとしたりします。

対人関係においては、相手を理想化したと思うと簡単に幻滅するといった具合で、極端に揺れ動き、長続きしない関係を転々とする傾向があります。

情緒においては、とても繊細で過敏であり、非常に傷つきやすいので、ささいなことに激しく反応します。感情のコントロールが困難で、容易にイライラしたり、不安になりやすかったり、強烈な怒りを抑えられなかったりします。そして、いつも虚しさを抱えています。

行動においては衝動的で、しばしば、浪費、見境ない性的関係、過食、アルコールや薬物の依存、危険運転など、自分に害を及ぼすような行動に身を投じます。

自殺をほのめかしたり、自殺未遂や自傷行為を繰り返すのも、境界線パーソナリティの特徴です。

1980年代、ケンブリッジ病院に勤務していた精神科医のJudith HermanとBessel Van Der Kolkは、境界線パーソナリティと診断された患者のうちあまりにも多くが、子供時代のひどい体験を語っている事実に衝撃を受け、詳細な調査に乗り出しました。その結果、この病院の境界線パーソナリティ患者のうち81%が、子供時代、深刻な虐待かネグレクトを経験しており、そのほとんどが7歳以下に始まっているということが明らかになりました。

一般に、虐待やネグレクトは、始まった年齢が幼いほど、深刻な影響をその後の人生に与えます。子供の頃、家庭で虐待やネグレクトを受けた子供には、逃げるという選択肢はありません。頼る人もなく、隠れる場所もない環境で、恐怖と絶望の毎日を、なんとかやり過ごさなければならない。多くの子供が、外では何事もなかったようにふるまい、深い哀しみや怒りを心の底に閉じ込めて、生きているのが現実です。

そんな風に子供時代を生きた人が、大きくなって、誰でも助けてくれそうな人、わかってくれそうな人に必死にしがみつくのは無理もなく、また、現実から解離してしまう傾向をもってしまうのももっともなことだと、Bessel Van Der Kolk博士は述べています。

実際、ケンブリッジ病院の研究結果を見なくても、私が境界線パーソナリティのクライアントさんたちと接した経験からいって、ほぼ例外なく全員が、虐待かネグレクトを受けており、ごく若い年齢で凄まじい体験をしていました。仲のいい両親のもとで、愛情を受けて育った人は皆無であり、親が薬物やアルコール依存等で親として機能しておらず、複数の加害者によるレイプ、近親相姦、日常的なひどい暴力、身内の自殺や殺人、といった、強烈なトラウマ体験が数多くみられました。

子供の頃に刻印されたトラウマは、大人になったからといって自然に消えてなくなるということはありません。概して、境界線パーソナリティやPTSD、そして双極性障害といった、過去のトラウマの影響で生じることが多い精神疾患は、回復するまでに、長い時間と努力を要します。そして、自分の心の傷と向き合うことは必須であり、それはとても痛みを伴うので、楽な作業ではありません。

けれども、もしそれが効果的にできた場合、その人たちは、まず例外なく、さなぎが蝶に生まれ変わるように、まず人格において、そして日々の生活においても、素晴らしい変革を成し遂げることを、私は自分の臨床経験から知っています。だから、今、苦しんでいる人たちも、自分の人生は変わりうるということを信じて、希望を捨てないでいてほしいと思います。                                                                                                                                                      (Chika)                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                    

 

 

 

 

 

 

考え方と症状の関係性について

認知行動療法は、端的にいうと、思考(認知)を変えることにより感情を変える療法です。物事をどうとらえるか、状況をどう考えるかが、感情や気分を作り出す、という考え方が、その基盤にあります。

今回は、認知行動療法的な観点から、どういう考え方や思い込みが、どのような症状や気持ちを引き起こしやすいか、みてみましょう。

 

うつ

  • 私には価値がない
  • 価値ある人間になるためには、完璧でなければならない
  • 私は~だから、人に愛されない。
  • どうでもいい。どうせ失敗するだけだから。
  • 私は役立たずだから、何もかもダメにしてしまう。

 

不安

  • 心配しなければ、何か悪いことが起こる。
  • 価値ある人間であるためには、完璧でなければならない。
  • まわりの人や状況を思い通りコントロールしなければ、私は制御不能に陥ってしまう。
  • 退屈や不快な感情を避けるために、忙しくしておかなければならない。
  • すべてがきちんとして、正しい場所に収まっている限り、私は大丈夫だ。

 

怒り

  • 人は私が望むとおりに行動するべきだ。
  • 人は私を尊重して、もっとよく扱うべきだ。
  • 人はもっと賢くあるべきだ。

 

痛み

  • もう~できないから、私は役立たずだ。
  • このうんざりした気分は、永遠に続く。
  • この痛みは、自分がしたことの当然の報いだ。

 

いかがでしょうか。何か、ご自分に当てはまるものはありましたか? 

うつに関していうと、無力感を感じさせる言葉、生まれながらに備わっている自己価値を否定する言葉が、うつ気分を引き起こしやすいといえます。

不安で特筆したいのは、完璧主義者、コントロール欲求・承認欲求の強い人は、不安になりやすいということ。

怒りでいうと、相手は~すべきである、という思いが強いと、そうならなかったときに怒りを感じやすくなるということがいえます。例えば、あの人はカンニングをするべきではない、など。確かにそうなんですが、相手の行為は自分次第ではなく、あくまでも相手次第。生きていれば、自分の理想通り・思い通りにならない場合は、日常茶飯事です。それを、人は~すべき、~すべきではない、と、厳格に思い決めていると、腹が立った心身に害をこうむるのは、その相手ではなく、自分。だから損、というわけです。

ちなみに、相手ではなくて、自分は~すべき、~すべきではない、と、いわゆる「~べき思考」を自分に適用すると、自分自身への怒り、ひいては理想通りにできなかったときの罪悪感や不安感を招きやすくなります。

一般に、「かくあらねばならない」という厳正で融通の利かない思考形態よりも、柔軟で順応性がある考え方ができるほうが、心は健康でいられると思います。                                                                                                                                     (Chika)

 

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