盛岡心理カウンセリング・ハミングバード

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06月

自分軸を発動させる言葉

以上は、ディーバック・チョプラ博士の「ゆだねるということ(下)」(住友進訳 サンマーク文庫)から抜粋したスートラ(「第三のスートラ」)です。

スートラとは、意味を持つマントラのことで、このスートラは何千年もの間、サンスクリット語で受け継がれてきたものだそうです。

この第三のスートラは、自分軸を強くするのに非常に効果的だと思い、ご紹介しました。

多くの人は他人軸です。他人軸になると、おのずとネガティブ思考になりやすくなります。自分の幸不幸は人次第、環境次第になるので、不安定になりやすく、疲弊しやすくなります。他人軸の人は、人にどう思われるかを気にし、「人に嫌われないよう、認められるように」を指針にします。また、他人軸は被害者意識を生み出すので、自分の感情の乱れを人や環境のせいにし、自分を振り返って改善していくことが難しくなります。結果として負のスパイラルから抜け出せなくなくなるので、人生もうまくいかなくなります。

被害者意識を持っていると、どこに行っても自分に危害を加えてくる人に出会います。なぜなら、被害者意識は、「自分は人に攻撃される。それは必ず起こる」という信念を無意識に周囲に投影し、自分自身で、世界がそう見えるようにしてしまうからです。同じ原理で、人は本質的に優しいものだと信じている人は、どこに行っても優しい人に出会うことになります。

本当は、自分の周りにある人や環境はみな、自分の意識を映し出す鏡にすぎません。この真理に気づいた人は、自分が住んでいる世界を変容させるカギを手に入れたようなものです。自分の意識を変えさえすれば、すべてが変わるからです。「地獄極楽は胸三寸にあり」ということわざの通り、自分の住む世界が変わるのです。

では、自分の意識をどうやって変えたらいいのでしょうか。その方法の一つがアファメーションです。

アファメーションは「自分自身に向かってする宣言」という意味ですが、特定の文句を唱えて、その言葉の意味に意識を集中させることは、自分の内在する力を引き出す効果をもたらします。サンスクリット語のスートラは、言葉の音の響き自体に力があります。インドの古典のリグ・ヴェーダは、サンスクリット語の詩編を集めた聖典ですが、正確な発音で詩を唱えると、天候をも変えることもできると聞いたことがあります。ここでご紹介したスートラは日本語に翻訳されたものですが、アファメーションとしての作用だけでも十分、自分を内側から変える力を持っています。

特定の言葉に思いを集中させると、それが意思となり、物事を形作ったり変えたりするエネルギーが生まれます。エネルギーは意図する方向に流れるので、こういう風になりたいという意思を持つと、その通りになっていきやすいのです。

例えば、「私は自分の中心を保ち、まったく動揺していない」という思いに集中すると、本当に自分のエネルギーがバランスよく中心に集まり(これをセンタリングといいます)、自分の中がさっきより穏やかに静かになったと感じるようになります。

自分以外の他者を動かすことは、その人自身の意思もあるので、いつも思い通りになるとは限りませんね。それどころか、他人の意思に干渉して操作することになりかねず、相手に不快感を与えるのみならず、自分の内部にもひずみを生じさせる可能性があるので、気をつけなければいけません。けれども、自分自身に関する限り、自分はこうだという意思をもち、その意思に集中するだけで、本当は自由に、意のままに変えることができるのです。

この第三のスートラを全部唱える必要はなくて、どれかピンとくるもの、心がひかれるものがあれば、一つでも二つでもいいので、それを選んで唱えればいいと思います。(腑に落ちない言葉を唱えても効果は期待できないので、逆にピンとこない言葉はスルーした方がいいでしょう。)一人になれる環境でしばらく心を落ち着かせた後、唱えると効果的ですし、紙に書いて、時々眺めてもいいでしょう。

このスートラを意識するようになれば、だんだんと自分軸ができて、土台がしっかりしてくるので、揺るがなくなっていくのが感じられるかと思います。自分軸になると、無駄なエネルギーの流失がなくなって、疲れにくくなるし、人間関係もスムーズにいくようになるので、幸福度もおのずと増していきますよ。

自分を強める力と弱める力

力には、二種類あります。

パワー(power)とフォース(force)。この二種類の、どちらの力に意識がつながっているかによって、人は、強くもなり、弱くもなります。

このことを、キネシオロジー(筋肉反射テスト)を用いた膨大な量の実験に基づき、体系的に説いたのが、デヴィッド・ホーキング博士です。

キネシオロジーでテストすると、有害な物質にさらされた体は、筋肉が瞬時に弱まるという反応が起きます。

例えば、低血糖症の患者が砂糖を口に含むと、三角筋が弱まる反応を示すそうです。

ホーキング博士は、自らの講演中、1000人の聴衆を相手に、こんな実験をしました。1000人中、500人に人工甘味料を入れた封筒を配り、残りの500人には有機ビタミンCが入った封筒を配りました。2人一組でキネシオロジーテストをしてみたところ、全員が、人工甘味料には弱い反応、ビタミンCには強い反応を示しました。

特筆すべきは、被験者が、封筒に何が入っているか知らなかったとしても、有害なものには弱い反応、いいものには強い反応を示すということ。体はそれ自体、叡智を持っているからです。

ホーキング博士は、被験者に特定の思考や感情をもたらす記憶や状況を思い浮かべてもらい、キネシオロジーを使って、膨大な数と頻度のテストを行いました。その結果、怒りや失望、嫉妬、落ち込み、罪悪感や恐怖に対しては、例外なく筋肉が弱くなり、愛する人や楽しいことを思い浮かべると、誰もが強い反応を起こすことがわかりました。

また、物質をイメージするだけで、実際にその物質に触れていなくても、実物に触れているかのような反応が起こることも判明しました。例えば、殺虫剤を使って育てられたリンゴと、有機栽培されたリンゴを掲げて、それぞれに焦点を合わせて見るというテストする実験をしたところ、殺虫剤のリンゴでは弱い反応、有機栽培では強い反応が起こりました。見る人は、どちらがどっちのリンゴか知らされていなかったにも関わらず、即座に、全員にこの反応が起こったのでした。

この手法を用いて実験を重ね、ホーキング博士は、下記の表を作りました。

「意識のマップ 」と名付けられたこの表で、200の勇気から上がパワー、175のプライドから下がフォースになります。

神の視点人生の視点レベルログ感情プロセス
Self(大なる自己Self)is(存在そのもの)悟り700-1000表現不可能純粋な意識
存在する全て完全平和600至福啓蒙
ワンネス完成喜び540静穏(神)変身
愛のある恩恵500崇敬啓示
英知有意義理性400理解抽象
慈悲深い調和受容350許し超越
奮い立たせる希望意欲310楽天的意図
権能を与える満足中立250信頼開放
許認実行可能勇気200肯定強化
無関心要求プライド175嘲笑慢心
執念深い敵対怒り150憎しみ攻撃
否定失望欲望125切望奴隷化
刑罰怯える恐怖100不安内気
軽蔑悲劇深い悲しみ75後悔落胆
避難絶望無気力50絶望放棄
復讐心罪悪感30批判破壊
嫌悪悲惨20屈辱排除

引用元:「パワーかフォースか」デヴィッド・R・ホーキンズ著 ヘハン・デラヴィ&愛知ソニア訳         ナチュラルスピリット社 p.372

端的に言うと、人の意識状態が、200以上(パワー)につながっていると、その人の生命力は強まり、健康になりますし、200より下の低い状態(フォース)につながっていると、その人は弱体化し、免疫も弱まるので健康を害しやすくなるということです。

フォース(force)は「強いる」という意味合いを含みますが、他者を支配して自分が上に立つことで得たり、誰かと競争して勝つことで得たりする力は、フォースです。自分が弱いふりをして、他者から憐れみをひきつけて獲得する力も、誰かを操作して得るという意味合いで、フォースになります。お金や社会的地位、依存するものから得られる一時的な快楽、他者からの賞賛や承認で得られる一時的な高揚感も、すべてフォースの類です。

フォースは持続せず、すぐに消えてしまうはかないものなので、常に外から供給しつづけなければなりません。どんなに外から補っても決して満たされることがなく、すぐに空虚な気持ちになり、「もっと欲しい、もっと、もっと」と、尽きぬ欲望をかきたてます。本当に自分を強化する力ではないので、力を得ているはずなのに、疲労感を得やすいのも特徴です。

パワーは、人から奪い取ることで得られる力、フォースと違って、すでに自分に内在する力です。パワーは人間の気高さや慈愛とつながっています。例えば見返りを期待せずに行う利他的な行為や、悪口を言われても動じず、報復することなく許す寛大さなどは、その人にパワーをもたらします。これらは、その行為をした人自身にも肯定的な気分や強化された身体感覚をもたらしますが、周囲の人も、その人のパワーから漂う威厳や高貴な雰囲気を感じ取るため、心から賞賛したくなったり、感化されて自分もより高い状態に引き上げられやすくなります。

パワーは、自分の中に内在する力とつながった状態であり、他者を必要としません。いつでも得られるし、永続性があります。例えば、100年前に書かれた書物であっても、パワーがあふれる人が書いた本は、読む人に感銘を与え、心を強くさせる作用がありますね。

同じ行為をするにしても、その人の意図が、パワーとフォース、どちらかにつながっているかによって、結果が違ってきます。

褒められたい、認めたいと思ってする善行は、フォースに動機づけられるので、人の尊敬を得ることがなく、かえって褒められたり認められたりしないものです。自分にポジティブな力を与えることもできません。

フォースの状態を抜け出せない人は、残念ながら、環境を変えたとてしても、同じ辛い状況を繰り返しつくりだしてしまいます。

私は予言者ではなく、透視能力があるわけでもありませんが、多くの人を見てきて、パワーにつながっている人は、この人はどこに行っても成功するし、幸せになっていけるな、と確信がもてますし、実際そうなっています。カウンセリングで劇的に変化し、症状がなくなり、人生が好転する人を何人も見てきましたが、思えば、その人たちはパワーにつながることができた人です。

多くの人が、常にパワーの意識状態を保っているわけではなく、フォースの領域に行ったり、パワーの領域に上がったりを繰り返していると思います。人生には日々色々なことが起こり、人との関わりの中で、色々な感情を抱くものですから、それは当たり前ですよね。そんな日々の暮らしの中で、パワーの意識を増やしていくことを心がけることは、自分を成長させることであり、人によい影響を与えて世界をよくしていくことにもつながり、生きている意味があることだなと思います。