盛岡心理カウンセリング・ハミングバード

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12月

抑圧された感情が引き起こす症状

 ずいぶん前にも同じテーマで書きましたが、前回開催したグループセラピーの資料用にもう少し詳しく書き直したので、ブログでもシェアしたいと思います。

感情の扱い方は「感じて表現すること」が基本です。

そうすれば感情は解消されるので、また新しい感情が入ってくるスペースができます。こうして常に移り変わるのが感情の性質です。

ところが、もし感情を感じないよう抑えたり、感情を無視して感じないようにすると、本来出ていけるはずものもが閉じ込められて出ていけなくなります。そうすると感情は停滞します。これは「流れる水の性質」である感情にとってとても不自然な状態で、いわば流れが止まって淀んだ沼のような状態になるので、様々な心身の症状を引き起こすわけです。

では、感情を抑圧すると具体的にどんな症状が起こりうるか、下記に挙げてみます。

 

意味のない不安感 

感情はエネルギーを伴います。それを外に出さないで閉じ込めたら、緊張や漠然とした不安感を覚えることがあります。次に誰かに対する怒りを抑えた時、その後不安を感じるかどうか、確認してみてください。情熱や興奮の抑制も、不安をもたらすことがあります。

何かを失って悲しい時、悲嘆を表現しないでいると、しばしば鬱になります。泣いて涙を流すと、気分が改善し、効果的に喪失を悼むことができます。また、鬱は怒りを閉じ込めることよっても起こります。鬱は自分自身へ向けられた怒りが仮面をかぶった姿である場合もあります。近い過去に明らかな喪失体験がないのに気分の落ち込みを感じた時は、何に怒っているか自問してみるといいかもしれません。特に、自分を攻撃したり批判したりしている時には、この問いかけが役に立つでしょう。

身体疾患

頭痛、胃潰瘍、高血圧、ぜんそくなどの身体症状は、慢性的な感情の抑圧の現れかもしれません。自分の中の強い感情を特定し、表現することにより、多くの心因性の症状を軽減できる可能性があります。

筋肉のコリ

筋肉の張りやコリは、抑圧された感情がもたらす、ありふれた症状です。人は、気持ちを抑えるとき、特定の筋肉群をこわばらせる傾向があります。怒りや欲求不満を抑圧するときは、しばしば首の後ろや肩が固くなります。悲嘆や悲しみの抑制は、胸や目の周り、恐れは、胃やみぞおちを固くすることが多いでしょう。ただし、感情と筋肉群の相関関係は、絶対的なものではなく、上記以外の場所でも体に緊張を覚えることはあります。

(参考資料:Bourne, E. J. (2000) The Anxiety and Phobia Workbook. CA: New Harbinger)

 

感情とは一種のエネルギーなので、放出することが必要なんですね。その際、普段からちゃんと感じて出すということをしていれば溜まらないのですが、長年抑圧すればするほど、心身に有害なものになってしまいます。地震とか火山の爆発も、エネルギーの蓄積が大きければ大きいほど、大規模で有害なものになってしまうのと似ています。

自分の感情に無頓着でいる癖がある人は、自分が何を感じ、どんな気持ちになっているか、ジャッジすることなくありのままを観察するようにしてみたらいかがでしょうか。そうやって意識を向けるだけで、沸き起こった感情が自然に消えていく場合は多々あります。また、自分がどんな感情を抱いているか把握することは、実は自分の感情をコントロールできるようになるための第一歩でもありますから。

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REM睡眠の効果

今日は、REM睡眠について書いてみたいと思います。REMとはRapid Eye Movement Sleep(=眼球が素早く動く睡眠)の略で、この睡眠状態の時、私たちは夢を見ます。

近年の研究で、REM睡眠が気分の安定に大きな役割を果たすことが明らかになってきました。REM睡眠の時間が長くなると、抑うつ気分は改善され、REM睡眠の時間が少ないと気分はより落ち込みやすくなります。また、REM睡眠を多くとった後は頭がより冴えるという研究報告があります。

ちなみに、薬やアルコールを使用して寝ると、REM睡眠は阻害されます。寝つきをよくするために、睡眠薬お酒を飲んで寝ると、確かに睡眠時間は確保されるかもしれませんが、睡眠の質は悪くなり、通常自然に寝た時よりも頭や体は疲れやすくなります。これもREM睡眠と関係している部分があるのではないでしょうか。

夢は私たちの潜在的な意識状態を映し出します。夢は、現実世界の出来事に対する私たちの感情的な反応をきちんと消化するために、絶妙なやり方で調整してくれるように思います。

トラウマに苦しむPTSDの患者さんは、悪夢にさいなまれることが多いため、夢を見ることを拒み、REM睡眠が訪れると覚醒してしまう傾向があります。これは無理もないことではありますが、REM睡眠の欠如が、結果としてトラウマの解消を阻んでしまう可能性もあると思います。繰り返される悪夢にも意味があり、心を癒すために必要だと判断した潜在意識が、いわば故意にトラウマの場面を見せているのだという説を聞いたことがあります。潜在意識に抑圧されたものが浮上するのには必ず意味があると私も思っているので、これにはうなずけるところがあります。

EMDRというPTSDの治療法のオーソドックスな手法では、患者が指の動きに合わせて眼球を左右に動かします。これにより、患者の脳はREM睡眠時と同じ状況になり、恐怖で凍り付いてしまっていた記憶が意識の上で適切に調整され、未完了だった場面が意味づけられ終結を迎えることができるため、症状の解消に功を奏すると解釈する専門家もいます。

いずれにせよ言えることは、夜、夢を見ることは、心の健康を保つために必要であるということではないでしょうか。潜在意識の働きは、人智を超えて私たちを導いてくれるものだと思います。

 

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人に対する怒りの対処法

相手に対する怒りのほとんどは、

「相手はこうするべき」

または

「相手はこうするべきではない」

という、「べき思考」から起こるように思います。

そうするべきかもしれないけれど、そうするかどうか決めるのは相手次第。人には自分の行動を選ぶ権利があって、間違いを犯す権利もあるのです。

なぜなら、誰しも人には自由意志が与えられいて、それは他者が侵すことができない領域だから。

自由意志がないと学びもありません。間違った選択をして、壁に当たって、学びを得るのも、自由意志があるからこそなのです。

相手に「こうしてほしい」と、自分が願望や欲求を抱くのは、自分の自由意志の発現なので構わないし、むしろ抑制しないで自分でその気持ちを認めるほうが心のためになると思います。状況によっては相手に伝えることも大切でしょう。でも、「相手はこうするべき」と相手の自由意志を尊重しない思考を抱いてしまうと、必然的に、お互いに苦しくなる結果へとつながっていきます。

相手に対する「こうするべき」は、「こうしてほしい。でもそれは相手次第。」に変換することで、思い通りにならなかったとしても、気持ちの上で少し楽になれるのではないかと思います。

 

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心を平穏に保つ秘訣

心を波立てないで、平穏に保つ秘訣は、「判断しないこと」「無判断=ノンジャッジメントの実践」です。

私たちは、通常、絶え間なく思考を働かせて、外界の事象をいい・悪い、正しい・間違っている、これはこうあるべきだ、これはこうあるべきではないと判断し、レッテルを貼って分類したり、分析したりしています。心は、その過程で必然的に乱され、波立ち、平和を失います。

思考を用いることは必要な場合もありますが、たいていの場合、私たちは不必要に思考を働かせすぎています。そしてその結果、不安や苛立ち、落ち込みや嫉妬や怒りなどを生じさせています。

無判断とは、いい・悪い、正しい・間違っている、こうあるべきだ(こうあるべきだった)、という判断を控え、思考を介さないで、自分の外で起こることや自分の中に沸き起こるものを、ただありのまま眺めて体験することです。そうすると、心はやがて静まり、今まで隠れて見えなかったセレニティー(平穏・平和)が姿を現します。ちなみに、この状態は、叡智の宝庫であり、インスピレーションの源である「潜在意識」とつながることのできる、最適の状態でもあります。

1日中絶え間なく判断することに慣れている人は、最初のうちは、判断しないで時間を過ごすということが不可能だと感じたり、難しく思えたりするかもしれません。でもそれは、可能であるばかりか、ゆるぎのない心の安定のためには必須なのです。無判断を実践していると、最初のうちは頭の中で思考がうるさくおしゃべりするかもしれませんが、構わず優しく流してください。抵抗しないで放っておくと、そのうちに思考の方であきらめて、静かになるでしょう。

最初のうちは5分でかまいません。できれば朝と晩、無判断を実践してみてください。慣れてくれば、無判断の時を長く持つように訓練していけばいいでしょう。

無判断の日常的な実践は、心の安定をもたらすだけでなく、自己コントロール力や活力、識別力をアップさせます。結果として、いろいろな物事が流れにのって、うまくいくというご褒美も得られるはずです。

 

 

 

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