盛岡心理カウンセリング・ハミングバード

ハミングバードは、心理療法カウンセリングのセラピールームです

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メンタルヘルス

罪悪感と恥の違い

罪悪感は、自分が違った行為をしてしまった、または、正しいことをしそこなったと思うときに感じるものです。罪悪感を覚える人は、通常、その行為を修正しようとするか、殻に閉じこもるか、どちらかをしたくなります。

通常、罪悪感は、「本来、自分がありたいという姿と違っているよ。自分の理想の道からそれちゃっているよ」と教えてくれる感情であり、本来の道に戻るよう、行為の修正を促す働きがあります。罪悪感を覚えるのは、健全な証拠であり、罪悪感は役立つ感情でもあり得るということです。

(ただし、生い立ちの過程で認知に何らかの歪みができた場合、不当な罪悪感を覚えることがあります。幸せになってはいけないと思い、いいものを受け取ることに罪悪感を覚えるなどがこれに当てはまります。その場合、罪悪感は役に立たないばかりか、足を引っ張るものなので、手放した方がいいです。この場合の処方箋は、罪悪感を覚えても、それをし続けて、慣れるということです。罪悪感を覚えながらも、与えられるものを受け取り、幸せを許す、それを何度も繰り返す、ということをすれば、罪悪感はだんだん薄れて消えていきます。)

これに対して、恥は、自分という存在自体を、悪い、間違っていると認識するとき、感じる感情です。自分のしたことではなく、自分そのものを悪いとみなしているわけです。なので、恥を覚えている人は、通常、殻に閉じこもり、人から自分を切り離し、孤立しようとします。

大事なのは、どんな感情も、その人自身ではないということ。「その人=恥」ではないのです。いかなる思考も、感覚も、その人自身ではなく、その人が一時的に持って、体験しているものに過ぎません。自分というのは、自分がもつどんな感情、思考、感覚よりも、大きな存在なのです。

なので、「自分は何をやってもダメだ」「人に受け入れない、恥ずかしい存在だ」と思ったり、感じたりしたとしても、そしてそれがどんなにリアルに感じられたとしても、それは、自分がその時に握っている、一時的に訪れてはいても、やがて移り行く思考や感情のひとつにすぎないということを理解してください。どんな体験も、自分の存在そのものではないということを理解し、それと自分を同一化してしまわないことが大切です。

トラウマ解消にかかる時間

カウンセリングを受けた際、トラウマが解消するまでにどのくらいの時間がかかるかは、人それぞれです。

一般的に、トラウマが深く、その人の心にトラウマが内在していた時間が長いほど、解消するまでに時間がかかるというのは確かにいえるかもしれません。ただし、これはあくまでも大まかな傾向にすぎず、そうでない多々見受けられます。

例えば、同じようないじめにあった人でも、比較的早く立ち直り、心に負の痕跡を残さない人もいるし、いつまでも傷がいえない人もいます。起こった出来事自体よりも、その後、その出来事をどう捉えるかも、トラウマに発展させるかどうかのポイントになります。例えば、容易に人を許せる人、こんな人ばかりじゃない、世の中にはきっといい人もいると思える、人を信じる心を捨てずにいられる人、自分が辛かったから自分は絶対人をいじめないでおこうと思う、利他的な心の強い人は、傷の風化も早いように思います。一方で、頻繁にされたことを思い出して、「あいつのせいでこうなった」と恨みを募らせていれば、10年たっても傷はいえず、むしろ深まってしまいます。

ちなみに、自分の不幸は人のせい、または、自分がすべて悪いからこうなった、という、人を責める思いは、心の傷を深め、精神的な成長の歩みを止めてしまいます。自責・他責の念は、負の体験のまま、心を足止めしてしまう効果があるので、持たないほうがいいし、持ってしまっていたら早めに手放した方がいいです。

アメリカでカウンセリングをしていた時、深刻なトラウマを抱えた人を、数多く治療していました。アメリカは犯罪大国で、殺人や自死、虐待やネグレクトも多く、レイプや近親相姦も多発しています。そんな中、多重のトラウマを抱えていながら、劇的によくなった人も、何人もいらっしゃいました。

マギーさん(仮名)は当時50代の女性でした。彼女は、小学生だったある日、遠足に行って帰宅したら、竜巻で家が崩壊しており、母親が亡くなり、父親も半身不随になっていました(父親は自暴自棄の数年を過ごした後、ケガがもとで亡くなりました)。育ててくれる人がいなくなったマギーさんは、親戚をたらいまわしにされました。親戚の集まりでは、聞こえよがしに迷惑がられ、自分の押し付け合いをされ、深く傷ついたそうです。その後、引き取られた遠縁の女性には性的虐待を受け、10代後半では見知らぬ人にレイプされて、20代の頃はやけになり、色々な男性と派手に遊び歩いたといっていました。そんなことで心が癒えるはずもなく、やがて重症のうつ病に陥り、何度か自殺未遂もしています。後に、ようやくいい男性と巡り会って、生涯の伴侶を得た彼女ですが、私が担当した時は、慢性的な鬱状態が治ってはいませんでした。

マギーさんは、もともと、とても心優しく誠実な人柄で、イマジネーションも豊かな人でした。また、何十年もかけ、紆余曲折を経て、トラウマ解消の土壌ができていたのもあったと思います。もし、解消するまでの準備ができていなかったら、私に今までの辛かった過去を詳しく話すこともできなかったでしょうから。彼女の場合は、数回のカウンセリングの後、とある、自分を癒すイメージングをしてみるように誘導したら、一回で、今までの痛みの大浄化がワーッと起こりました。それ以降、彼女はそれを家でもするようになりました。セルフヒーリングの結果、マギーさんは長いトンネルを抜け出たかのように180度変わり、過去に煩わされなくなり、幸せを感じられるようになりました。

このように、何かのきっかけで、大きな転換が起きる人もまれにいますが、多くの人は徐々に良くなっていくコースをたどります。

やはりアメリカでカウンセリングをしていた時のクライアントさんだった、ショーンさん(仮名)は、子供の時に、男性から性的虐待を受けました。女性でも幼少期の性的虐待は深い心の傷になりますが、男性の場合、恐怖はもちろん、恥の気持ちも痛烈で、長い間、誰にも言えないまま、大人になるケースが多いです。ショーンさんは、当時、30代で、結婚して子供もいました。料理が好きで、料理人を職業とし、女優のシャロン・ストーンに料理を提供してことがある、飛行機でくるんだ、と言っていたので、きっと腕のいいコックさんだったのでしょう。けれども、彼は長年、鬱と不安に苛まれていて、職場を転々としていました。どこに雇われても、些細なことで、男性の上司に対して強い怒りを抱いてしまい、トラブルを起こしてしまうのです。無力だった幼少期に、年上の男性から有無を言わさず乱暴された過去から、男性のコントロールに対する嫌悪感や反発心が非常に強かったのでした。

ショーンさんの場合は、はじめは、トラウマになっている過去の話をすると、沸き上がる憤怒で顔を赤くし、汗をかくほどでしたが、カウンセリングを重ねるうちにだんだんとそれも収まってきて、穏やかになってきました。はじめのうちは、人に対する警戒心が強くて、スーパーで人とすれ違うだけでも怒りと不安を覚えるほどでしたが、それもなくなり、ずいぶん、生きやすくなったといっていました。彼の場合は、そうなるまでに、1年もかからなかったでしょうか。

同様に、ジェーンさん(仮名)も、幼少期の性的虐待を何十年も引きずり、人を信じずに、過剰に警戒して壁を作り、怒りを抱いていてた人でした。彼女は、何年もの間、別のカウンセラーが担当した後に、私のところに来ました。鬱と不安の症状が強く、仕事はしておらず、生活は福祉に頼って引きこもりがちの人でした。スーパーに行くと、並んでいるだけで、周りの人が自分を見て嘲笑っているような気がして、腹が立つといい、男性に繰り返し性暴力を振るわれたために男嫌いで、レズビアンでした。最初のうちは、私に対しても警戒心をいだいていた様子がありましたが、少しずつ心を開いてくれ、強烈だったフラッシュバックも和らいでいきました。彼女はユーモアのセンスがあり、面白い人でもあったので、そこから話を切り込んで信頼関係を築くこともできたと思います。

ジェーンさんは、ホイットニー・ニューストンが大好きで、私がアメリカの職場を退職して、日本に帰る時、大事にしていたホイットニーのCDの歌詞カードにメッセージを書いて、プレゼントしてくれました。

ちょっとたどたどしい字で、「Take care of my woman Chika. Thanks for all your help and you are the only one that was able to get me out of my anger! And so grateful ‘cause now I’m not so angry. God bless you. I’m gonna miss you. 」と書いてあります。(ざっと訳すと、「助けてくれてありがとう、あなたは私を怒りから救ってくれたたった一人の人です!もうあんまり怒らなくなったので、とても感謝しています。神のご加護がありますように。いなくなって寂しいです」とあります。最後に本名で署名がしてありますが、マスキングしました。)

アメリカで働いてたのは15年くらい前ですが、このCDを久しぶりに見つけて、ジェーンさんのことを思い出し、元気にしているかなと懐かしく思い出しました。彼女は、性的虐待のトラウマ以外にも、お母さんに愛されていないというトラウマがありました。最初のトラウマが薄れてきたら、次の心の痛みが浮上してきました。こちらのトラウマも、最初のトラウマに負けず劣らず深いもので、痛くてなかなか口にすることができないほどの痛烈な記憶がありました。それは彼女の現在に、母親との不健全な距離感として影響していましたが、そちらの方も徐々に正常化していき、生きづらさは解消していきました。

ジェーンさんの場合は、2~3年かかってよくなっていき、最終的には鬱や不安の症状がほぼなくなっていたように記憶しています。

ジェーンさん以外にも、アメリカでは、壮絶な過去にさいなまれた人たちと数多く関わってきて、今でも忘れられない人たちが多くいますが、今頃どうしているかな、幸せだったらいいなと思います。

このように、トラウマから回復する時間や過程は人によって違いますが、一つ、付け加えるとすれば、アメリカは麻薬が円満していて、心の痛みを消すためにドラッグを使っていたクライアントさんがほとんどだったので、心の回復もその分時間がかかったと思います。日本のクライアントさんはそうでない分、回復が早く、何年もかからない人が多いように思います。ただ、日本では、カウンセリングに保険が効かないので、経済的に恵まれていない人であっても、気軽に何度も受けられるアメリカと違い、よくなるまで、ある程度の期間続けるのが、費用面で難しいと思います。日本でも、早く、アメリカみたいに、国の補助や保険制度が整って、専門的な心理療法へのアクセスが容易になればいいですね。

頭を空っぽにするコツ

家に帰っても、仕事のことを考えてしまうという方はいっしゃいますか?

それって、心が休まらないですよね。  

今、目の前に仕事があるならともかく、明日、職場に行かないとどうしようもない問題について考え続けるのは、エアーで仕事をしているようなもの。

脳は現実と想像の区別をつけません。仕事のことを考えるだけで、本当に仕事をしていると勘違いした脳が体に指令を出し、アドレナリンやコルチゾールというストレス物質を体内に作り出して、心と体を「頑張るモード」にしてしまいます。結果として、疲れるけど、何もはかどっていないということが起きます。なんだか、とてももったいないですね。

どうせなら、お休みの日は仕事のことを考えずにゆっくり休んで、消耗したエネルギーを回復したほうが、いざ出勤したときは、より冴えた頭で、元気に働けます。

そのためにも、考えるのをやめて、頭をからっぽにする時間を持つことは、とても大切なのです。

そうはいっても、「考えたくなくても考えてしまう。どうやって考えるのをやめたらいいのかわからない」、という人、多いかもしれません。

今日は、そんなとき、どうしたらいいのか、というお話です。

皆さんは、ブルース・リーの「don’t think,feel」というセリフを知っていますか?「考えるな、感じろ」という意味ですが、これは奥が深い名言だと思います。

感じることに集中すると、考えなくなり、 やがて頭が無になっていきます。頭が無になると、心が穏やかで平和になります。

(これは余談ですが、そうなると、自分の中のとても賢い部分、すべてを見通せるスーパーコンピューターである潜在意識につながりやすくなります。潜在意識につながると、一生懸命頭で考えるより、ずっとよい方法を、「ひらめき」という形で、瞬時に、苦労なく、見つけやすくなります。体的にも、そのほうが余分な力が抜けて、楽に、最大の力を発揮できることを、ブルース・リーは知っていたんですね。)

では、ここで、感じる練習として、試しに、1~2分でいいので、次のうち、どれかをやってみてください。

  • 今、周りにある音を3種類、聞き分けてみてください。そのうちで、一番耳に心地いい音を選んで、しばらく耳を傾けてみてください。
  • 今、目に入るものを3種類選んで、その形や色を観察してみてください。地球を訪れた宇宙人が、初めて見るものを興味深く観察するみたいに、眺めてみてください。
  • 呼吸に意識を向けてください。息を吸ったときと吐いた時に、空気が鼻の裏側を通る感覚を、丁寧に心地よく味わってください。
  • 呼吸するときに、自分の胸やおなかがどんな風に動くか、じっくり観察してみてください。

いかがでしょうか。これをやっている間は、「観察モード」になり、感覚に集中するので、自然にあまり考えなくなるのが実感できましたか?

「何かについて考える」という思考モードのときは、人は頭の中で、ものごとを分析したり、自分なりに解釈したり、「いい・悪い」で判断したりしようとします。その結果、脳が働いて疲れるのはもちろん、自分の思考がいろいろな感情を作り出してしまい、心が波立ちやすくなります。

これに対して、観察モードになって、感じることに専念すると、頭の判断がやむので、脳が休まり、ニュートラルな視点になり、結果的に心が穏やかな状態になりやすいのです。

この1~4のエクササイズは、ネガティブなことを考え続けて疲れてしまうとき、思考を断ち切って自分をリセットするためにも使える、簡単な方法なので、よかったらやってみてくださいね。

仕事で心掛けていること

カウンセリングのお仕事をする際に、ささやかながら、できるだけ心がけていることが2つあります。

1つ目は、カウンセリングに入る前に、気持ちを落ち着かせて、自分をニュートラルにすること。

例えば、カウンセリングの直前まで、スマホやテレビや、関係ない本を見てほかの情報を入れるということはしないようにしています。外部からの影響は、自分の中に不協和音というか、けがれというか、そういうものを作り出してしまう可能性があるからです。もちろん、個人的な出来事で心を乱したり、というのも、ないようにしておきます。何か突発的な出来事が起こるのは防げませんが、それで心を乱すかどうかは自分次第です。例え、感情的になるようなことがあったとしても、いったん横に置き、切り替えて、自分の中を静かで曇りない状態に整えるスキルは、この仕事をするためには、とても必要だと思います。

2つ目は、カウンセリングに入る前、「このクライアントさんのためにお役にたてますように」と、祈ることです。

神社とか教会で祈りをささげるようなたいそうな祈りではありません。場合によっては、相談が立て込んでいて、ほとんど合間に時間がないこともあり、そういう場合は、クライアントさんをお部屋に誘導しながら、ちらっと思うだけ、ということもよくあります。でも、クライアントさんがよりハッピーになるための媒体に、自分がなれますように、という意図を持つことは、この仕事では、とても大切です。意図すれば、その方向にエネルギーが動きますから。

というか、どんな仕事でも、自分が働くことで、人や社会がより幸せになるように、という奉仕の気持ちを持つことは、仕事がうまくいくための重要な秘訣だと思います。そういう意図をもって仕事をしていれば、不思議なことに(本当は量子力学の仕組みをしれば、不思議じゃないんですけど)食べ物やさんだったら、食べ物がおいしくなるし、大工さんだったら、丈夫で住み心地のいい家ができるし、学校の先生だったら、生徒が勉強を好きになって、成績が上がる、ということが、本当に起こります(そういう仕事の担い手を、私はたくさん目撃してきました)。

「はたらく=傍を楽にする」という言葉を聞いたことがありますが、それは真理だと思います。

勇気を作る方法


最初から勇気のある人はあまりいません。 怖いけれど、逃げない選択をしている人が、勇敢な人になります。

なぜなら、勇気は、怖いことから逃げないで、前向きに向かうときに生み出されるパワーが蓄積して、作られていくものだからです。

なので、勇気は、鍛錬して増やしていくことができます。

「よし、怖いけど、向かっていこう」と決心した時に、自分の中に、目に見えないけれど一種のエネルギーが発生するのですが、これが丹田のパワーを増やしていきます。

丹田のパワーが増えると、地に足がつき、ものに動じない人になっていきます。些細なことを気にしない、心も安定した人にもなります。

逆に、大変そうなことがあると、すぐに逃げ出す選択をすると、丹田の力は養われず、自分の力は弱まっていき、不安気質にさらに拍車をかけてしまうことになります。

逃げれば逃げるほど、大変なことに対する恐怖心は増えていき、困難なことに対するパワーは失われて行くでしょう。ストレスによわい人、環境要因に作用されやすい人になってしまいます。

どうしても怖かったら逃げてもいいのですが(弘法大師もそういっているので)、「怖いけれど逃げない」という選択を、できる範囲で増やしていくと、胆力が増強されて、自信がついていきます。

自信とは、「自分を信じる」という意味です。

逃げてばかりいる人を、信じられるかというと、信じられないでしょう。怖くても向かっていく人は、頼もしく、頼りにしたくなるはずです。

自己信頼は、物事に対し、自分がどうあることを選択するか、自分を信じ、尊敬できるような選択をするかどうかによって培われるものです。

信じることの大切さ

最近、カウンセリングに、幼少期、壮絶な生い立ちだった方がよくいらっしゃいます。

そういう人たちを見ていて思うのは、その経験があっても、なお、人を信じる気持ちが少しでも持てるかどうかで、違いが出てくるということ。

人によってひどく傷つけられた人が、人を信じにくくなることは自然なことだと思います。

それが傷つかないよう身を守ることにもなるので。

だけど、人間不信が強く、人も世界も自分からすべて締め出してしまうと、そこに救いはありません。そういう人を助けるのは非常に困難です。人を信じられないという人は、結局のところ、自分も信じられない人が多い。

思いやりのある、誠実な人はきっといる、いつかそういう人に出会いたい、と思うだけでも、全然、救いようがあります。そのすき間から光が入っていって、広がっていけるから。違う言い方をすると、その人の奥に埋もれている光が、その隙間から出てこられるのです。

実際のところ、世界は真っ黒ではなく、真っ白でもない。黒も白も混在している(正確には、黒よりのグレーか白よりのグレー)。同じ人が、時と場合によって、白っぽくなったり黒っぽくなったりもする。みんな、いろいろな経験をしてもまれながら、だんだん白く純化してくのを目指しているのがこの世界です。

今日も、辛い目にあいつづけて、もう信じられない、でも信じたい、という人と、お話をしていたのですが、その人の顔に少しずつ光がさして、最初と最後とでは光の度合いが変ったのが印象的でした。この人は、これからの人生を、今までとは違う、明るいものにしていくことができるだろうと思えた次第です。

傾聴だけではよくならない

以前、傾聴のカウンセリングに500万円費やしたけど、よくならなかったという方にお会いしたことがあります。

時々、何十年も前のことを、少しも衰えない感情の熱で、昨日のことように話す方がいらっしゃいます。

吐き出して、受けとめてもらえ、共感してもらったら、その場ではすっきりするかもしれないけど、また、その感情が戻ってきて、吐き出さなければならなくなる。

その繰り返しを、何十年もしている。

こういう場合は、聞いてもらうことによって、一時的に慰めを得るかもしれないけど、作用はごく表面的なものであり、本当に癒しが起こっているわけではありません。

その人が、その感情を再現し、強化してしまっている、大元の意識を変えなければ、いつまでたっても同じ繰り返しになってしまいます。

大元の意識こそが、その人の感情の製造機なので、それを変えないとどうにもならない。

大元の意識は、思い癖という形で表に現れやすいです。

ちなみに、人のせいにしていると、永遠に続きますね。

大事なのは、本人が変わることなんだけど、人のせいにしていると、自分は変わろうとしないので。

あと、寂しいから話を聞いてもらいたい、とか、褒めたり、認めたりしてもらいたいとかいう理由だと、カウンセラーに限らず、他の人との関係であっても、一時の慰めだけで、問題は未解決のまま、繰り返されます。依存できる人がいると、やっぱり自分の問題を自分でどうにかするということをしなくてすむので。

ただ、未解決のまま、その場にとどまって足踏みをしている状態だと、レコードの溝をなぞるみたいにして、意識の中で溝を深めてしまうわけで、長く繰り返せば繰り返すほど、修復が困難になります。

不可能ではないですけど。

なので、傾聴だけでは人は変わらない場合が多々あります。(自分で気づけて変われる人はいますが、そういう人は、そもそも、傾聴もあまり必要ではない気がします。)

色々なやり方で(どんなやり方で、どう変えていくことが必要かは、その人によるので、一概にいえません)、その意識状態をいかに変えるか、がポイントになってくると思います。

怒りの対処法の奥義

アンガーマネジメントの具体的な方法は、色々いわれていますよね。

10秒数えるとか、その場を離れるとか、深呼吸するとか、そういう方法も一時的に怒りからくる衝動的な反応を回避するためには有効だと思います。

でも、そのやり方では、一時しのぎにしかならず、怒りが戻ってくる可能性があります。

本質的に怒りを鎮めるために有効なのは、怒りを引き起こした(と自分が思っている=本当は相手が引き起こしたのではなく、自分自身が怒りで反応しただけ)相手ではなく、自分の心の中に生じた怒りに目を向けること。

私たちがやりがちなのは、相手を物理的または心理的に追いかけ、相手を責めたり、悪口や不平不満を並べたりして、いかに相手が悪いか、間違っているかに焦点を当てることです。

でも、それは怒りを増して、悪化させる方法にほかならないんですよね。これを続けると、被害者意識が根付き、怒りが恨みに変わり、下手をすると、何年も何十年も、過ぎた出来事に付着した自分の感情にさいなまれ、苦しまねばならなくなる場合もあります。

本当は、相手を追うのをやめ、自分の心の中に入っていき、自分の怒りを認識するいこと。さらには、怒りの後ろに隠れている痛みを見てあげることが大切なのです。

「ああ、自分は腹が立っているんだな。傷ついたんだな。心が悲鳴をあげて、思わず相手を攻撃しようとしている。無理もないな。すごく嫌な体験をしたな。」

といった具合に、自分の心の状態を感じ取り、理解してあげる。

ただそれだけで、怒りはものの数分、いや、数十秒で、さっきよりも落ち着いて、気持ちがおだやかになります。

自分の感情に気づいて、しばらくの間、ただ感じてあげると、その感情は消えていくようにできています。(その際、その感情をいい悪い、正しい間違っているで判断しないこと、無理に変えようとしないことがポイント)。

怒りだけではなく、すべての感情は、気づいて観てあげると消えていきます。

怒りを感じたときは、外側ではなく、内側に意識を向けること。

これが、アンガーマネージメントの奥義です。

生命力を半減させるもの

感情を抑圧すると、例えていうなら、自分というエネルギーシステムに、電流が半分しか流れないみたいになります。

生命力が半減するといったいメージ(厳密によると、少し減るのか、半分減るのか、半分以上減るのかは、その人の状態によります)。

そうなると、フルに生きていないということになります。

生き生き物事を感じられないだろうし、気持ちも鈍くなるし、体も重くなる。

かつ、抑圧という不自然なことをしつづけるのには、潜在的にものすごく力を使うので、しんどいし、疲れる。

慢性的に疲れやすくなるでしょう。

本当は、気持ちは外に出ていきたいもの。

感じることを許せば、解き放たれる。

無理に止めてしまわなければ、電流のように心と体を駆け巡り、伝達したいことを伝えた後に、感情は出ていき、消滅してしまいます。

そうなると、私たちは再び、楽に、軽くなり、生命力はフルに回転しつづけるものです。

ポジティブサイコロジー

人間の脳は、太古の昔から、ポジティブなことよりネガティブなことをより多く捉え、長く記憶するようにできています。これは、人間がまだ原始的な生活を送ってきた頃、危険を察知し、記憶に刻み、未来の危険から身を守るよう学習することが役に立っていたからなのです。

けれども、昔のように生存を脅かされるような危険が少ない現代では、ネガティブなことにばかりフォーカスする脳は、必要がないばかりか、不幸せな精神状態を作り出し、鬱や不安の温床にもなりかねません。

ネガティブなことを多く考える脳の状態を変えるには、ポジティブなことにも焦点を当てるよう、意識的な訓練が必要である、という概念に基づいて作られたのが、ポシティブサイコロジーという療法です。

今日は、ポジティブサイコロジーの中でも、比較的よく知られているエクササイズを1つご紹介しましょう。

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エクササイズ:「3つのいいできごと」日記

少なくとも2週間の間、毎晩、寝る前に、その日に起こったよかったことを思い浮かべて、3つ書き出してください。

どういう風にそれが起こったのかをよく思い出してください。また、どうしてそれが起こったか、その出来事に自分がどう貢献したかも考えてください。同僚が缶コーヒーをおごってくれた、友達が久しぶりに連絡をくれた、車で運転中、誰かが道を譲ってくれた、誰かの親切を目撃したなど。大きなできごとでも、ささいなできごとでも結構です。

例)今日起こったいいこと

できごと(1):

今日は仕事に集中して頑張れた。特にミスもなく、1日の終わりには快い疲れと達成感を得られた。

どうしてそれが起こったか・自分がどう貢献したか:

昨夜、スマホをだらだら見ないで早く寝たおかげで、頭がすっきりして集中力を保てた。

できごと(2):

夕飯に、自分の好きな生姜焼きとアボガドのサラダが出て、おいしく食べた。

どうしてそれが起こったか・自分がどう貢献したか:

前回、生姜焼きやアボガドのサラダが出た時、奥さんに、「これ、おいしい。ありがとう。」「また食べたい。」と、好きだという意思表示と感謝の気持ちを伝えた。

できごと(3):

 今日は天気がよくて、空がきれいだった。

どうしてそれが起こったか・自分がどう貢献したか:

心配なごとにふけるのをやめて、天気に気づき、空を見る時間を持った。


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そのできごとがなぜ起こったか、それにに自分がどう貢献したかを考えることは、そのできごとの要因をはっきりさせ、よいことは自分の力で起こすことができる、人生を自分でコントロールし、幸せな現実を作っていけるという認識を促し、そのような行動の動機づけになります。

そのできごとを思い起こして、自分の幸運や目にした親切を、じっくり味わってください。その時の感情を思い起こし、感覚に刻むことで、セロトニン(気分の落ち着きに関係する)やドーパミン(幸福感に関係する)が増えるなどのよい変化が脳内の神経物質に起こり、また、ポジティブ思考が起こりやすくなるよう、脳内の神経回路(正確には、脳神経をつなぐ神経節細胞)がつながっていきます。これを繰り返すことで、ポジティブ思考になりやすい脳に変化していきます。



参考文献:

Knnedy, A: Positive Psychology: Exercises for building happiness-Part 1. Retrieved from https://www.alustforlife.com/tools/mental-health-positive-psychology-excercises-for-happiness-part-1

19 Positive psychology Exercises To Do With Clients or Studentshttps:// positivepsychology.com/positive-psychology-exercises/