効果的なコミュニケーションの方法として、アサーティブネス(assertiveness=適切な自己主張)という言葉が、最近、日本でも聞かれるようになってきました。
では、アサーティブネスとはなんなのか、他の2つのコミュニケーションタイプと比較して、みてみましょう。
●攻撃タイプ(agressive):他者の権利を侵害する。
- 相手を批判したり、侮蔑したり、相手を支配しようとしたりする。
- 相手の言うことを皆まで聞かず、頻繁に遮る。
- 声を荒らげたり、脅したりする。
- すぐに苛立ち、それをあらわにする。
- 衝動的
- 高圧的で横柄な態度を取る。
- 相手をにらみつける。
●受動的攻撃タイプ(passive agressive):敵意を間接的に表す。
- はっきり言わないで、ぶつぶつ文句をいう。
- わざとぐずぐずする。
- ふくれっ面をする、あるいは怒っているのに笑みを浮かべる。
- 皮肉をいう。
- 視線を合わせない。
- 相手を無視する。
- 表面的には協力的だが、相手を害するような行動を取る。
- 問題を認めない。
●アサーティブタイプ(assertive):相手の権利を尊重しつつ、自分の気持ちや欲求を表現する。
- 遮らずに最後まで聞く。
- 自分の必要や欲求をはっきり伝える。
- 自分の気持ちを率直に伝える。
- 自分の権利のために立ち上がる。
- 視線をしっかり合わせる。
- 穏やかだが、はっきりした声で話す。
- 自信を持って堂々と主張する。
- 自分をしっかりコントロールしながら話す。
攻撃的なコミュニケーションは、相手の欲求や必要性を軽視し、パワーを駆使して、自分の欲求や必要性を押し通そうとする、支配的なコミュニケーションです。
受動的攻撃のコミュニケーションは、表立っては攻撃しませんが、相手を尊重しないという点では同じ。相手を避けたり、拒絶したりするしているので、相手とちゃんとつながることができず、よい関係を築くことができないという点では、攻撃タイプと同じです。
これらに対して、アサーティブなコミュニケーションは、相手の言い分を承認し、尊重しながらも、こちらの欲求や必要性をまっすぐ伝える、というやり方です。誰しも、自分を認めてもらえるとうれしいもので、そうなると、相手に対しても心が開きやすくなります。心が開くと、相手のいうことを受け入れやすくなるものです。
いらない画策や操作をせず、堂々と率直に自分の気持ちを伝えることは、コミュニケーションの早道でもあり、他者とポジティブなつながりを持つために必要なことです。
もちろん、相手が信用できる人かどうか、正確に見定めないうちに、こちらの意図や感情を必要以上に見せてしまうのは、場合によっては安全ではないかもしれません。また、どんなにアサーティブにうまく伝えたとしても、相手がこちらの要求を呑んで、自分の欲するように動いてくれるという保証もありません。相手がある場合は、相手の意図も関わってくるので、必ずしも思い通りにいかないのは当然です。
けれども、少なくとも、相手に効果的に自分の意志を伝え、かつ、相手に自分を尊重してもらう可能性を高めるためには、アサーティブネスは、必須なコミュニケーション方法だと思います。 (Chika)