盛岡心理カウンセリング・ハミングバード

ハミングバードは、心理療法カウンセリングのセラピールームです

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01月

対人関係における問題解決の手引き

夫婦や親子、職場の人、友達同士で、自分と相手の意見が食い違ったり、対立したりした時、建設的に話し合いをするためのコツをお伝えします。参考にしてみてください。この中で、アイ・ステートメントというのがでてきますが、これについては、また改めて記事に書きたいと思います。

 

相手ではなく、問題に焦点を当てる 

意見の相違が、相手をさげすむような言動、バカにした調子、荒らげた声に転ずると、もはや建設的な会話のやりとりは望めません。相手を非難するのではなく、あくまでも問題に焦点を当てるよう、注意を払いましょう。意見の相違が個人攻撃になりそうになった時は、会話をいったん休止しましょう。 

リフレクティブ・リスニング*(Reflective Listening=聞き返し)を使う

*リフレクティブ・リスニングとは、相手の言葉によく耳を傾け、理解した後、「(つまり、あなたの言いたいことは)~ということですね」と、相手に聞き返すこと。 

議論の際、私たちは、相手の言うことに耳を傾けないで、自分の主張を相手にわからせることだけに一生懸命になってしまうことがあります。相手に言い返す前に、相手が今いったことを、自分の言葉で言い換え、相手に聞き返します。そして、こちらが相手の言い分をちゃんと理解していると相手が同意するまで、それを続けます。次に、あなたの言い分を伝えます。相手も同様に、こちらの言い分をちゃんと理解するまで、あなたの言い分に関して、聞き返しを行います。このテクニックを使えば、意見の相違に関わらず、双方が、相手に話を聞いてもらえた、理解してもらえた、という気持ちを持つことができます。 

アイ・ステートメント(“I” Statement)を使う 

問題を打ち明ける際、「私は」という言葉から始めます。例えば、「私は、あなたが約束を守ってくれなかったことに、傷ついた」など。「あなたは」ではなく「私は」を主語にすると、相手を非難するニュアンスが薄れ、自分の感情は自分が責任を持つ、という含みが言葉に表れます。「あなたはいつも約束を破る」という「あなた」を主語にしたいい方は、相手を防衛的にさせてしまうことがあるので、注意しましょう。

タイム・アウト(小休止)を取る時を知る 

相手との間に、言い争いや、侮蔑的な言動や、攻撃的なやりとりが生じた時には、タイム・アウトを取るといいでしょう。必要な際にはタイム・アウトを要求できるよう、あらかじめ相手と同意しておくとよいでしょう。タイム・アウトの間は一人で過ごし、何かリラックスできることを見つけます。ただし、途中で投げ出すのはよくないので、必ずタイム・アウトの後は話し合いに戻るようにしてください。双方の気持ちが落ち着いたところで、問題解決のための話し合いを再開します。 

解決に向けて努力する 

意見の不一致は、対人関係では普通にあることです。あなたと相手の意見が異なることが明らかになったら、解決策に焦点を当ててください。そして双方を益する妥協案を見つける努力をしましょう。また、この意見の相違が本当に相手との関係性に重大な影響を与えるかどうか自問自答し、答えがノーであれば、手放して前に進むことも時には大切です。                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                     (Chika)

 

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本当の自分とのつながりを断ち切るもの

本当の自分を覆い隠して、本質的な魂の部分とのつながりを断ち切ってしまう要因に、生きのびるために身に着けた仮面や、自らに課している役割があります。

これらの仮面や役割は、恐れや痛み、不快な経験に対処するための方法であり、通常、まだ若くて身を守る術がなかったころに身に着けた一種の処世術です。

これらは、自分の感情を感じることを避け、その状況において刹那的にパワーを獲得するための方法でもあり、現実から目をそらし、ぼんやりと、なんとなく生きることを手助けします。

ただ、これらのサバイバルスキルには大きな欠点があります。短期的には、痛みを感じないように助けてくれますが、長期的に使い続けると、自分の内面とのつながりを弱めてしまい、自分の魂の部分からくるシグナルを、わからなくしてしまうのです。

自分の本質的な魂は、すべてを熟知している潜在意識とつながっており、どうやったら本当の意味で満たされて幸せになれるか、いつも私たちにシグナルを送って導こうとしています。ただし、このシグナルはとても微妙で繊細な音で発せられるので、私たちが自分自身とつながり、内側に意識を向けていないと、容易に聞き逃してしまいます。

生存のための仮面をかぶったり、役割を果たすのに夢中になっていると、このシグナルをキャッチすることができず、自分が本当に行きたい方向から、どんどんずれてしまい、望まない現実を築き上げる結果になります。

それを防ぐためには、

①自分がかぶったり演じたりしている仮面や役割はどれか、気づく。

②その仮面や役割が、今でも本当に自分に必要なのか、それともデメリットの方が大きいか、それは本当に自分を満たしてくれているか、これからも続けていきたいか、自問する。

人は、自分の役に立たないこと、自分を害することは、通常、やらないものです。それがもう、自分に利をもたらしてはいないと意識することは、その行為をやめるための、第一歩です。

 

中毒/アルコール依存

–家族システムの中で恥を担う「病気持ち」。悪いことは全部この人のせい。衝動的・依存的な行動に没頭することで、現実や本当の気持ちに直面するのを避ける。

いじめっ子/支配者

–極度に怖がりで、不安定で、真の自己からかけ離れた存在。他者を身体的・精神的に支配することで、自分の中の恐れや不安を見ないようにしている。

世話人/救済者

–人の世話をすることで、自分を見ないようにする。人が必要なものは知っているが、自分が必要なものを知らない。世話することが、他者に及ぶ自分の影響力や、必要とされている感を得るのに役立っている。

不適合者/失敗者

–自尊心が低く、繰り返し恥の気持ちに見舞われる。自分は不完全、悪い、欠陥があると感じている。この信念体系を維持することによって、自分の人生に責任を負わなくてよくなる。

病みつきギャンブラー

–ゲームに依存することで、気晴らしやパワーの獲得感を得て、現実逃避する。孤独感や自己対峙の必要性から気をそらせている。

理屈屋

–感情的な問題を分析することで、直接的な対峙を避ける。知的レベルにとどまることで、本当の気持ちを感じなくて済む。

ロストチャイルド

–独りになることで、自分が注目されることを避ける。自分の世界に住む、「申し分のない」おとなしい子。人よりも物に愛着をもつ。人と深く関わるのが苦手。

マッチョな男/女

–見かけ上は強く、自分を律することができている。助けを求めるのが苦手。恐れや無力感を仮面の下に隠し、人を遠ざけようとする。

殉教者

–自己憐憫にひたり、自分は理解されない・感謝されない・重荷だ・希望がないなどと感じている。自分の人生に責任を持てず、救済者や調停役のふりをしている場合も。他者に面倒を見てほしがっている。

マスコット

–子供っぽく、かわいらしく振舞うことで、成長することを避けている。クラスのピエロ役。ユーモアを使って家庭内の緊張を和らげる。責任を避け、人に面倒を見てもらいたがる。

八方美人

–境界線が甘く、人につけこまれやすい。ノーということを恐れる。好かれるために、自分を犠牲にし、他者のニーズを満たそうとする。自尊心がとても低い。

完璧主義者

–失敗への恐怖に駆り立てられ、どんな間違いも避けようとする。心の奥深くにある無価値観を埋め合わせるため、外側で完璧であろうとする。

ぐずぐず屋

–習慣的な不注意や怠惰から、ものごとを先延ばしにする。問題を見るのを避けたり、自分の責任を人に取らせようとしたりする。

永遠の子供

–成長して大人の責任を取りたくない「ピーターパン」タイプ。遊んで楽しんでいたい。

反抗者

–反抗的な態度で責任逃れをする。否定的な行為で注意を引こうとする。学校で問題を起こしたり、法的なトラブルを起こしたりする。薬物問題を抱えることも。

生贄

–うまくいかないことがあると、いつも責めを負う。ネガティブヒーローの役割。家族の痛みや恥を表現する。

やり手の成功者

–自己価値観の低さを、生産性や競争にこだわることで埋め合わせしている。自尊心の基盤が「行為」であり、駆り立てられるようにそれを行う。

代理の夫/代理の妻

–代理の夫は、父親の代わりに母親の感情面のケアをし、母親の幸せに責任を感じている男性。代理の妻は、父親の感情面のケアをし、父親の幸せに責任を感じている女性。

尻軽男/女

–追い求めてセクシーに振舞うことで注意を引こうとする。愛を求めても、利用された感、孤独感だけが残る。

吸血鬼

–他の人の資源を使おうとする。与えるものがない人には興味を示さない。この人のそばにいると疲れる。

犠牲者

–慢性疾患を抱えた「病人」であることも。自分を哀れに思い、それを口にする。自分の痛みについてだらだら愚痴をこぼし、誰にもわかってもらえないと訴える。自分自身を助ける責任を逃れている。救済者や援助する専門家をひきつけ、人を操ろうとする。

仕事中毒

–駆り立てられるように忙しく、仕事や成功を追い求める。感情を麻痺させ、無力感を避けるために、仕事に没頭する。休暇を取ったり、娯楽や楽しみを得ることが困難。

買い物依存/物質主義者

–現実や自分の感情から逃げるために、衝動的に買い物をする。

 

いかがでしたか。ご自分に当てはまったものはありますか。

当てはまったからといって、心配したり自分を責めたりしなくても大丈夫です。誰でも一つや二つ、もしくはそれ以上の仮面や役割をもっているものですから。それがいいとか悪いとかジャッジするのではなく、ただ、気づいて認めてあげることが大切なんだと思います。

 

                                              (Chika)

効果的なコミュニケーション: アサーティブネス

効果的なコミュニケーションの方法として、アサーティブネス(assertiveness=適切な自己主張)という言葉が、最近、日本でも聞かれるようになってきました。

では、アサーティブネスとはなんなのか、他の2つのコミュニケーションタイプと比較して、みてみましょう。 

●攻撃タイプ(agressive):他者の権利を侵害する。

  • 相手を批判したり、侮蔑したり、相手を支配しようとしたりする。
  • 相手の言うことを皆まで聞かず、頻繁に遮る。
  • 声を荒らげたり、脅したりする。
  • すぐに苛立ち、それをあらわにする。
  • 衝動的
  • 高圧的で横柄な態度を取る。
  • 相手をにらみつける。

●受動的攻撃タイプ(passive agressive):敵意を間接的に表す。

  • はっきり言わないで、ぶつぶつ文句をいう。
  • わざとぐずぐずする。
  • ふくれっ面をする、あるいは怒っているのに笑みを浮かべる。
  • 皮肉をいう。
  • 視線を合わせない。
  • 相手を無視する。
  • 表面的には協力的だが、相手を害するような行動を取る。
  • 問題を認めない。

アサーティブタイプ(assertive):相手の権利を尊重しつつ、自分の気持ちや欲求を表現する。

  • 遮らずに最後まで聞く。
  • 自分の必要や欲求をはっきり伝える。
  • 自分の気持ちを率直に伝える。
  • 自分の権利のために立ち上がる。
  • 視線をしっかり合わせる。
  • 穏やかだが、はっきりした声で話す。
  • 自信を持って堂々と主張する。
  • 自分をしっかりコントロールしながら話す。

攻撃的なコミュニケーションは、相手の欲求や必要性を軽視し、パワーを駆使して、自分の欲求や必要性を押し通そうとする、支配的なコミュニケーションです。

受動的攻撃のコミュニケーションは、表立っては攻撃しませんが、相手を尊重しないという点では同じ。相手を避けたり、拒絶したりするしているので、相手とちゃんとつながることができず、よい関係を築くことができないという点では、攻撃タイプと同じです。

これらに対して、アサーティブなコミュニケーションは、相手の言い分を承認し、尊重しながらも、こちらの欲求や必要性をまっすぐ伝える、というやり方です。誰しも、自分を認めてもらえるとうれしいもので、そうなると、相手に対しても心が開きやすくなります。心が開くと、相手のいうことを受け入れやすくなるものです。

いらない画策や操作をせず、堂々と率直に自分の気持ちを伝えることは、コミュニケーションの早道でもあり、他者とポジティブなつながりを持つために必要なことです。

もちろん、相手が信用できる人かどうか、正確に見定めないうちに、こちらの意図や感情を必要以上に見せてしまうのは、場合によっては安全ではないかもしれません。また、どんなにアサーティブにうまく伝えたとしても、相手がこちらの要求を呑んで、自分の欲するように動いてくれるという保証もありません。相手がある場合は、相手の意図も関わってくるので、必ずしも思い通りにいかないのは当然です。

けれども、少なくとも、相手に効果的に自分の意志を伝え、かつ、相手に自分を尊重してもらう可能性を高めるためには、アサーティブネスは、必須なコミュニケーション方法だと思います。                                                                                                                                                    (Chika)

 

012                                                                    

 

 

反抗期の迎え方

生きることが苦しくなる時ってどんな時でしょう。それは、自分が自分らしくなれない時ではないでしょうか。

中学1年生のA子さんは、学校が怖いと言いました。お母様方がおっしゃるには、いじめがトラウマとなり学校に通えなくなったとのことです。

A子さんは、ご両親に愛され、とても大事に育てられました。教育上好ましくないものは周囲の大人が排除し、極力、好ましいものだけに触れる事が出来るよう整えられた環境の中で育ちました。御父母様も立派な方々できちんとされています。御両親も穏やかで、家庭的なお家です。A子さんはどちらかと言うと内弁慶でしたが、反抗期と言えるような時期は無く、育てやすい子どもだったようです。

そんなA子さんにとって、学校生活は驚きの連続だったかもしれません。経験のない怒鳴るような大きな声や同級生の汚い言葉遣い、相手が嫌がるようなことも気にかけないような態度など、A子さんには怖いものに映ったのでしょう。そのような態度がA子さんに向けられた時、A子さんは言葉を失い、言われるがまま、なされるがままだったのでしょう。おそらく「明日は何が起きるのであろう」と予測できない日々に怯える毎日だったでしょう。

本来、A子さんは、とても優しい子。友だちとのおしゃべりが大好き、習い事が大好き、勉強が大好き、学校にも本当は通いたいのです。そんな気持ちをお母様はよく知っていましたので、物静かな方でしたが、学校に掛け合うために一生懸命学校に足を運びました。担任の先生との手紙の交換から始まり、教科担任にA子さん用の宿題を出してもらうなどの支援がなされました。A子さんは学校に行けそうな気分とやはりまだ怖いという気分を繰り返しつつ、改善の方向に進んでいきました。そのうちに友だちから手紙がきたり、電話で話しをする場面が見られるようになり、ある日、A子さんは、「私は、◯◯の日から学校に行くから。」と言い始めました。親御さんは半信半疑でしたが、本人が言うとおり、確かに◯◯の日から時々ではありますが、学校に行き始めたのです。

A子さんを例にお話しましたが、A子さんのような環境に育てられた子ども全てがこのようになるわけではありません。元々持って生まれた子どもの気質もありますし、ご両親やその周りの大人との関係性など様々な要因があります。A子さんの場合は、たまたまその様々な要因が重なり合った結果、学校に通えないということが起きたまでです。しかしながら、自分らしい自分を信じて表現できる力は、いかなる時も強く逞しく生きていける力になります。

人は、自我が芽生える2~3歳の頃から反抗的な態度をとり、自分の気持ちを主張してきます。いわゆる「イヤイヤ」が始まります。それは、大人の言うことばかりを聞くのではなく、自分の意志で行動したい表れなのです。だから本当に嫌でなくても「イヤ」と言ったりしますし、親が「イヤなのね。」と言ってあげると、すんなりと言う事を聞いてくれたりもするのです。つまり、親とは違う存在であることを「イヤ」という言葉で表現し、そんな自分をまるごと認めて欲しいと言っている訳です。そして、小学校3年生くらいになると自分は何者かを問い始め、「僕はどこから生まれたの?」や「お母さんは私がいなくなっても平気なんでしょう!」などと言ったりもします。

それは、正に、自分の居場所がここであること確認し、安心したい気持ちの表れであったり、愛されているのか、認められているのか、必要とされているのか、生きる価値はあるのか‥‥そんな気持ちを表現している言葉です。

このようにして、親とは違う自分の気持ちを表現し、認められることで自分に自信を持ち、自分はこれでいいんだという気持ちを育んでいきます。そして、悶々とした思春期を抜け出し、自分らしい自分を築き上げていくのです。

この過程が不十分ですと、自分を表現する力が弱いので本来の意に反し、言われるがまま、なされるがままの流れになり易くなります。それは、とても苦しいことです。このような生活が続くと、本来表現したい自分がわからなくなるので人と接するのが怖くなります。

相談の中で反抗期に関する内容は多く、親御さんの悩みもとても大きいですが、子どもさんが自分らしい自分を見つけて、強く逞しく生きていく礎作りだと思って、しっかりと子どもさんと向き合っていただければと思います。

 

                                                                                                                            (佐々木 智恵)

 

 

記憶のしくみ

私たちは、日々、新しい体験を積み重ねて生きています。でも、その体験のすべてを記憶しているかというと、そうではありません。ある体験は記憶の彼方に葬り去られ、ある体験は、時がたっても昨日のことのように思い出してしまいます。その違いはなんなのでしょうか?

カギになるのは、その体験をしたときどれだけ心身が興奮状態にあったか、なんですね。

実は、人が最も覚えているのは、傷ついた体験、侮辱された体験です。身を脅かすものに直面し、ストレスホルモンであるアドレナリンが分泌されると、今後の防衛のために、その体験は私たちの意識にしっかりと刻み付けられます。そのため、アドレナリンがたくさん放出されたできごとほど、後々まで忘れずに覚えているというわけです。

人は、概して、いい体験よりも悪い体験の方を、よりよく覚えているものなのですが、これも生存のために古くからある原始的な脳がそのようなしくみに作られているからだと言われています。

いい体験を覚えていなくても命には別条がありませんが、身の危険を感じさせられた悪い体験を覚えていないとなると、その後、同じような体験が起きたときに危険を認識して避けることができず、命に関わります。脳の最優先事項は、命を守ること、体を生かしておくことです。感情的な快・不快は、脳にとって二の次。だから、つらい経験であっても、生存のために必要ならば、忘れることなく記憶に保存されるということです。

ただ、私たちの判断は、しばしば誤ることがあります。その結果、危険ではないものを危険だと誤認識し、不必要な警戒をして、無駄にストレスホルモンを放出し、心身を疲れさせてしまうことがよくあります。「ヘビを見たら3年縄が怖い」といいますが、ヘビを見るという恐怖体験がトラウマになり、縄のように安全なものであっても、いちいち過剰に反応してしまうというということなのです。この場合、もうこの体験は終わった、「ヘビ」はいない、あれは過去のことで現在ではない、今はもう安全だから大丈夫、ということを、身体レベルで納得させることが、過剰反応をやめるために必要になってきます。

また、その体験があまりにも恐怖や苦痛に満ちていて、心が耐え切れない場合は、安全装置が働いて、記憶は意識に刻まれる代わりに、一時的に顕在意識から消去されるということが起こります。幼児期に虐待を受けた多くの人が、子供時代何があったかよく思い出せないという、臨床現場ではよくみられる現象が起こるわけも、ここにあります。けれどもそれはあくまでも一時的な対処法であり、潜在意識に抑制された痛みの体験は、長く放っておけば置くほど、心を蝕むという代償を払わなければならないので、いつかは取り出して、直面しなければならなりません。

記憶に刻みつけられた体験であれ、一時的に消去された体験であれ、それを本当に忘れるためには、その体験がもたらした痛みの感情を昇華させることが必要です。昇華とは、消化することでもあります。痛みの感情には必ず意味があるので、それをちゃんと見つめて、受け入れ、理解するということ。自分の人生から除外するのではなく、その体験がもたらした意味を見つけ、自分の人生に必要なパーツとして組み込んみ、自分自身に統合するということ。その作業ができたとき、その体験は、痛みしかもたらさない厄介な体験ではなく、自分に力を与えてくれるリソース(資源)へと変わります。それと同時に、記憶や潜在意識にとどまっている必要性もなくなるので、自然に消えていき、私たちはその体験から自由になることができるのだと思います。                                (Chika)

幼少期の親子関係の重要性について

人間の発達において、先天的なものと生後の養育、気質と環境のどちらがより大きな影響を及ぼすかを調べるため、アメリカのミネソタ州で長期的な研究が行われたことがありました。この研究は、Minnesota Longitudinal Study of Risk and Adaptationといって、1975年よりおよそ30年かけて、180人の子供とその家族を詳細に調査するという大規模なものでしたが、その結果、次のようなことが明らかになりました。

子供が思春期に深刻な問題行動を起こすようになるかどうかは、母親の性格、子供の先天異常、IQ、子供自身の気質とは、あまり関係ない。カギになるのは親子関係であり、親がどう子供のことを思い、どのように接したかである。

幼児期、継続的によく世話をされた子供は、心身の統制が取れた子供へと成長し、不安定な子育てを受けた子供は、常に高ぶった生理状態になる。結果として、不安定な親の元に育った子供は、しばしば、承認を求めてうるさく騒いだり、ちょっとうまくいかないと強い苛立ちを覚えたりするようになる。継続的な高ぶりは慢性的な不安を生み出し、子供は大きくなると、神経質で冒険心に乏しい人になる。

幼児期にネグレクトされたり、過酷な環境で育った子供は、学校で問題行動を起こすようになり、他の子とトラブルを起こしたり、他の人の悩みに対する思いやりを持てないようになる。

私自身は、環境がすべてを決定するとは思っていないので、上記の研究結果はあくまでも一般的傾向であり、子供がどういう成長の仕方をするかには、生まれつきの気質も大きな役割を果たすことがあると思うのですが、確かに子供時代の親子関係が人の人生に多大な影響を与えるということは否めない事実だと思います。

私が見た中でいうと、不安定で一貫性のない子育てを受けた子供は、成長する過程で、強い不安、または怒りを持ち続けることが多いようです。

不安と怒り、どちらが強いかというのは、その子供の生まれつきの気質によります。特に男の子は、怒りが攻撃性を帯びる場合が多いように思いましたが、これはアメリカの臨床経験の観察によるもので、日本では違うかもしれません。(日本では子供のクライアントをまだほとんど扱ったことがないので、よくわかりません。)

例えば、ある10歳の男の子は、学校で「今度、銃を持ってきて、お前らみんな皆殺しにしてやる」と暴言を吐き、手におえないといわれてカウンセリングを受けていましたが、この子は、お母さんがアルコール依存で子育てができず、父親も不在で、お祖父さんに育てられていたのでした。強がってはいるけれど、本当は心の底で、母親のことをとても心配し、傷ついているのが、見ていてわかりました。

女の子にも似たような例がありました。小学校で問題行動を起こし、クラスメートとうまくいかずに、カウンセリングに連れてこられた子だったのですが、この子はとにかく怒りが強く、心を閉ざしていて、口をきかない。その時は私ではない別のセラピストが担当していたのですが、アートセラピーで絵を描くときだけ、夢中になって描くのだそうです。しばらくたって来なくなったこの子は、数年後、また問題を起こして、カウンセリングに連れてこられ、今度は私の担当になりました。10代半ばに成長した彼女は、以前よりも素直で穏やかになっており、私にこう打ち明けました。

「小学校のころは、私、いつも怒っていて、誰にでも攻撃的だった。とても悲しかったから、誰とも口をききたくなかったの。」

この子にも、アルコール依存で子育てはおろか、自分の世話もできない母親がいたのですが、彼女もやっぱり、母親のことをとても心配しており、だけど自分の手では母親を助けようがなく、無力感と深い哀しみに苛まれていたのでした。彼女の怒りも、前述の男の子と同様、抑うつ状態が転じたものだったと思います。

もしも、親が一貫した愛情をもって安定した子育てをするならば、例え物質的には多少の不自由があったとしても、適切な問題解決能力を備え、安定した心を持った大人が育ちます。そうなれば、結果として社会問題の多くが改善されるのではないだろうかと思います。

この研究結果を見て、社会における子育ての大切さを再認識させられた気がしました。              (Chika)

 

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境界線パーソナリティとトラウマ

境界線パーソナリティ障害は、10種類ほどあるパーソナリティ障害の一つで、対人関係、自己像、情緒が非常に不安定であり、かつ、行動が衝動的であることが主な特徴です。

境界線パーソナリティの人は、見捨てられ不安がとても強く、誰かに捨てられると思うと非常に取り乱し、必死でそれを食い止めようとします。そして、捨てられる恐怖が強いあまり、しばしば、自分から衝動的に関係を断ち切ったり、自傷行為をほのめかして、相手をつなぎとめようとしたりします。

対人関係においては、相手を理想化したと思うと簡単に幻滅するといった具合で、極端に揺れ動き、長続きしない関係を転々とする傾向があります。

情緒においては、とても繊細で過敏であり、非常に傷つきやすいので、ささいなことに激しく反応します。感情のコントロールが困難で、容易にイライラしたり、不安になりやすかったり、強烈な怒りを抑えられなかったりします。そして、いつも虚しさを抱えています。

行動においては衝動的で、しばしば、浪費、見境ない性的関係、過食、アルコールや薬物の依存、危険運転など、自分に害を及ぼすような行動に身を投じます。

自殺をほのめかしたり、自殺未遂や自傷行為を繰り返すのも、境界線パーソナリティの特徴です。

1980年代、ケンブリッジ病院に勤務していた精神科医のJudith HermanとBessel Van Der Kolkは、境界線パーソナリティと診断された患者のうちあまりにも多くが、子供時代のひどい体験を語っている事実に衝撃を受け、詳細な調査に乗り出しました。その結果、この病院の境界線パーソナリティ患者のうち81%が、子供時代、深刻な虐待かネグレクトを経験しており、そのほとんどが7歳以下に始まっているということが明らかになりました。

一般に、虐待やネグレクトは、始まった年齢が幼いほど、深刻な影響をその後の人生に与えます。子供の頃、家庭で虐待やネグレクトを受けた子供には、逃げるという選択肢はありません。頼る人もなく、隠れる場所もない環境で、恐怖と絶望の毎日を、なんとかやり過ごさなければならない。多くの子供が、外では何事もなかったようにふるまい、深い哀しみや怒りを心の底に閉じ込めて、生きているのが現実です。

そんな風に子供時代を生きた人が、大きくなって、誰でも助けてくれそうな人、わかってくれそうな人に必死にしがみつくのは無理もなく、また、現実から解離してしまう傾向をもってしまうのももっともなことだと、Bessel Van Der Kolk博士は述べています。

実際、ケンブリッジ病院の研究結果を見なくても、私が境界線パーソナリティのクライアントさんたちと接した経験からいって、ほぼ例外なく全員が、虐待かネグレクトを受けており、ごく若い年齢で凄まじい体験をしていました。仲のいい両親のもとで、愛情を受けて育った人は皆無であり、親が薬物やアルコール依存等で親として機能しておらず、複数の加害者によるレイプ、近親相姦、日常的なひどい暴力、身内の自殺や殺人、といった、強烈なトラウマ体験が数多くみられました。

子供の頃に刻印されたトラウマは、大人になったからといって自然に消えてなくなるということはありません。概して、境界線パーソナリティやPTSD、そして双極性障害といった、過去のトラウマの影響で生じることが多い精神疾患は、回復するまでに、長い時間と努力を要します。そして、自分の心の傷と向き合うことは必須であり、それはとても痛みを伴うので、楽な作業ではありません。

けれども、もしそれが効果的にできた場合、その人たちは、まず例外なく、さなぎが蝶に生まれ変わるように、まず人格において、そして日々の生活においても、素晴らしい変革を成し遂げることを、私は自分の臨床経験から知っています。だから、今、苦しんでいる人たちも、自分の人生は変わりうるということを信じて、希望を捨てないでいてほしいと思います。                                                                                                                                                      (Chika)                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                    

 

 

 

 

 

 

考え方と症状の関係性について

認知行動療法は、端的にいうと、思考(認知)を変えることにより感情を変える療法です。物事をどうとらえるか、状況をどう考えるかが、感情や気分を作り出す、という考え方が、その基盤にあります。

今回は、認知行動療法的な観点から、どういう考え方や思い込みが、どのような症状や気持ちを引き起こしやすいか、みてみましょう。

 

うつ

  • 私には価値がない
  • 価値ある人間になるためには、完璧でなければならない
  • 私は~だから、人に愛されない。
  • どうでもいい。どうせ失敗するだけだから。
  • 私は役立たずだから、何もかもダメにしてしまう。

 

不安

  • 心配しなければ、何か悪いことが起こる。
  • 価値ある人間であるためには、完璧でなければならない。
  • まわりの人や状況を思い通りコントロールしなければ、私は制御不能に陥ってしまう。
  • 退屈や不快な感情を避けるために、忙しくしておかなければならない。
  • すべてがきちんとして、正しい場所に収まっている限り、私は大丈夫だ。

 

怒り

  • 人は私が望むとおりに行動するべきだ。
  • 人は私を尊重して、もっとよく扱うべきだ。
  • 人はもっと賢くあるべきだ。

 

痛み

  • もう~できないから、私は役立たずだ。
  • このうんざりした気分は、永遠に続く。
  • この痛みは、自分がしたことの当然の報いだ。

 

いかがでしょうか。何か、ご自分に当てはまるものはありましたか? 

うつに関していうと、無力感を感じさせる言葉、生まれながらに備わっている自己価値を否定する言葉が、うつ気分を引き起こしやすいといえます。

不安で特筆したいのは、完璧主義者、コントロール欲求・承認欲求の強い人は、不安になりやすいということ。

怒りでいうと、相手は~すべきである、という思いが強いと、そうならなかったときに怒りを感じやすくなるということがいえます。例えば、あの人はカンニングをするべきではない、など。確かにそうなんですが、相手の行為は自分次第ではなく、あくまでも相手次第。生きていれば、自分の理想通り・思い通りにならない場合は、日常茶飯事です。それを、人は~すべき、~すべきではない、と、厳格に思い決めていると、腹が立った心身に害をこうむるのは、その相手ではなく、自分。だから損、というわけです。

ちなみに、相手ではなくて、自分は~すべき、~すべきではない、と、いわゆる「~べき思考」を自分に適用すると、自分自身への怒り、ひいては理想通りにできなかったときの罪悪感や不安感を招きやすくなります。

一般に、「かくあらねばならない」という厳正で融通の利かない思考形態よりも、柔軟で順応性がある考え方ができるほうが、心は健康でいられると思います。                                                                                                                                     (Chika)

 

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盛岡心理学セミナー及び東京セッションのお知らせ

●1月24日に開催予定の、盛岡での心理学講座のお知らせです。

☆「感情の扱い方・心の癒やし方」(2014年9月6日に行ったものと、同じ内容です。)

☆日時:9月6日(土)AM: 9:00-12:00

☆場所: サンライフ盛岡 (仙北2丁目4-12)

☆ 参加費用:1,000円 (資料代込)  

☆内容:感情をテーマに、感情の性質やその作用、上手な扱い方を、詳しくお伝えします。「ネガティブな感情」と呼ばれる辛  い感情を癒やして解放するにはどうしたらいいか、自分の本質とのつながりを邪魔するものはなにか等、実践的な自己ヒーリング法を含め、詳しくお話いたします。

 

●1月22日の、東京出張個人セッションのご案内です(満席となりました。お申込みありがとうございました。)

☆日時:2015年1月22日(木)

☆場所:目黒駅から徒歩1分(ご予約いただいた時点で、詳細をご案内いたします。)

☆料金:1時間半 15,000円(東京出張料金となっております。)

☆セッション枠
 ①11:30~13:00 (ご予約済み)
 ②13:00~14:30 (ご予約済み)
 ③14:30~16:00 (ご予約済み)

 

以上、参加ご希望の方は、ご予約フォームよりお申し込みください。                                                                                                                                               (Chika)