盛岡心理カウンセリング・ハミングバード

ハミングバードは、心理療法カウンセリングのセラピールームです

お問合せ: 019-681-2268 (完全予約制です。ご予約の際は、留守電にご連絡先を残していただくか下記お問い合わせフォームよりメールでご連絡ください。)
☆営業時間:9時~18時  定休日:第二、第四土曜、日曜、祝日

ブログ

正直に生きる

自分を偽って生きると、最終的に精神を病みます。

それで表向きは社会的に成功したとしても、結局のところ、幸せではないでしょう。

なぜなら、自分の心に不誠実であるという葛藤のために、怒りや恥などの負の感情が、知らないうちにたまってしまい、何かが違うという思いにつきまとわれ、満たされることがないからです。

自分の心に正直に生きるということは、外的な成功を凌駕する、内面的な成功をもたらすでしょう。

 

IMG_4792

 

自尊心とガソリン

今日、読んだ何かの文で(英語だったけど)、

「才能に恵まれているけど自尊心がない人は、ガソリンのない高級車みたいなものだ。体が不自由だけど自尊心が高い人のほうが、多くを成し遂げることができる。」

と書いてあり、なるほど、その通りだな、と思いました。

高学歴でも、自尊心が低いために、社会に出て仕事に就けず、不安やうつにさいなまれて引きこもっている人を知っています。

一方で、障がいがあっても、生き生き働いたり、人生を楽しんだりしている人は、世の中にたくさんいます。

自尊心っがあるって、自分を大切な存在と認識している、自分に対する愛がちゃんとあるってことですよね。内在する愛のパワーは、車のガソリン、つまり、エネルギー源になります。

自分に自信がない人は、例え体格がよくても、なんとなくエネルギー不足に感じられ、自己に尊厳が備わっている人は、体が小さくても、冒しがたい力づよさを感じるわけも、ここにあるのだと思います。

 

007

静かな時間を持つ

思考が静まり無になるための、静かな時間を持つことは、どんな人にとってもとても重要です。

なぜなら、今の自分に必要なものは、心が静かな時にのみ、わかるものだからです。

そして、自分にとって必要なものがわからなければ、人生の道に迷って、間違った方向に行くことは必然だからです。

自分の本当のニーズというのは、頭でせっせと考えてわかるものではありません。

心で感じられるものです。

頭で考えだすことは、知性のレベルであり、は顕在意識の領域です。

心で感じることは、直観のレベルであり、潜在意識の領域です。潜在意識は神域につながっています。人智を超えた領域ですね。なので、間違いがないのです。

ただ、人間レベルの頭脳でせっせと忙しく思考していると、心で感じて神域につながることができないんですね。なので、思考をやめて、頭を空っぽにし、ハートで感じるという時間を持つことは、正しい導きを得るために、絶対必要なわけです。

絶え間ない思考は不安を生み出します。

不安は心を曇らせ、判断力を鈍らせ、精神力を消耗します。

どんな悩みも、いったん横に置いて、なにも考えない時間、心を自由にする時間を1日のうち何度か持つようにする。これだけで、ずいぶん楽になり、かつ、人生が好転していく可能性は高くなると思います。

 

IMG_2015

 

 

 

 

存在価値について

よく、「自分なんか役に立たない、何もできない、だから存在してはいけないんじゃないか」という人がいます。

こういう人は、自己肯定感が低く、他者に肯定してもらうことで自己価値を埋めようとするため、承認欲求がとても強いことが多いようです。

承認欲求が強い人は、「どうか、ください」と、すがりつくような雰囲気を発するので、かえって人に距離を置かれてしまうことが多いです。だって、「くれ、くれ」とせがまれたら、かえってあげたくなくなることはないですか?「ほしい」と追い回されたら、逃げたくならないですか?

なにをほしいかというと、「人の承認=肯定的な念=愛」なわけです。結局、自己愛がない人は、人からもらおうとして、人に依存してしまうんですね。でも、自分から喜んで与えるのではなく、せがまれて与えるという行為は、エネルギーを消耗して疲れてしまうので、人はこれを無意識に嫌がるわけです。自発的に与える愛は、与えるほうもエネルギーで満たしてくれるので、消耗にはならないんですね。

話を戻しますが、「自分なんか役に立たない。」という人にいいたいのは、役に立たなくてもいい、ということ。役に立つ、立たないという視点を、まず外してください。役に立つ人が価値があって、役に立たない人は価値がないというのはまず真実ではありませんから。そもそも、誰でも時と場合によって、役に立ったり立たなかったりするものです。常にどんな状況でも役に立つ人なんていません。役に立とうが立たなかろうが、生まれてきた以上、誰でも存在していいし、存在価値はあるのです。

「役に立つ」というのを目標に見据えてなにかすると、結局、先に述べた、「人に認めてもらいたい」という承認欲求から物事を行うことになります。それより、ただ、自分がしたいからする、という、自然な喜びの為にするほうが、無理がないと思います。それは、見返りを期待しないで、ただ為すということにつながります。

そして、「何もできないから存在してはいけない」という考えですが、これもシンプルに真実ではありえません。何もできない人なんてそもそもいませんから。誰でも、何かはできるし、できないものもある。究極、例え寝たきりでも、存在している以上、この世界に何らかの意味をもたらすことはできるものです。何かができるから存在価値がある、できなければ存在価値はない、という考えも、やはり手放したほうがいいと思います。それだと、存在価値を証明するために、せっせと業績を上げないといけないことになります。そういう人は常に不安に駆られて何かをし続けるが、決して満足しない人になりがちです。

存在価値は、何をしようがしまいが、何かの役に立とうが立たなかろうが、存在するすべてのものに最初から備わっているものです。存在価値を信じている人は、そもそも、自分に存在価値があるとかないとか、問題にしません。そんなことにとらわれずに、自分の心に従って、自由に生きるのがいいと私は思います。

 

IMG_2916

 

問題から逃げないこと

環境を変えれば、問題は解決する。今度はうまくいく。

そう思って、違う職場や学校に移ったり、家がいやだからさっさと結婚したりしても、間もなくまた問題が起こってしまう。

そういうことは、多々あります。

結局、問題は環境ではなく、環境に反応する自分自身にある場合、まだそこに残って、気づいたり、学んだりすることがある場合は、違う場所に行ったとしても、自分の中に残っている本質的な問題を浮き彫りにする事柄が起こるものです。

例えば、どの職場に行ってもパワハラや、同僚のいじめにあってしまう人。

これは、自分の中の恐れや、自尊心の欠如が引き寄せている場合が多いものです。

それに気づいて、自分の考え方や感じ方、行動様式を変えない限り、どこへ行っても同じことが起こります。

どうしても辛い、これ以上はもう無理、という場合は、自分が壊れてしまうくらいなら、一時的に逃げたほうがいいと思います。でも、本当はもう少し頑張ったほうがいいとどこかでわかっているけど、楽な方へ行きたいから逃げよう、と思うなら、もう少しとどまってチャレンジしたほうがいいかもしれませんね。

結局、お金を借りたら後で利息がついてもっと支払いが大変になる、みたいに、一時的に楽をしても、後でさらに困難なレッスンになって返ってくると、しんどいのは自分ですから。

必ずしも楽ではなくても、本当に自分が幸せになる道を選んで歩きたいものですね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

グループセラピー・ご感想

グループセラピーのご感想を新たにいただきましたので、掲載させていただきます。

 

☆最初は心理学を学びたく参加していましたが、回数を重ねていくうちに、自分の心までほぐれていき、いろんな感情に気づかされました。Chikaさんの教え方は分かり易くすぐ身につきます。これからも続けて身近な人たちにも伝えていけたらと思います。

                                       (S.N.さま)

 

☆私は、自分たちの感情の扱い方や、心のしくみについて学んでみたいと思い、ハミングバードのメンバーにしていただきました。

 いままでに「慢性的不安への対処」「感情の扱い方」「対人関係保持スキル」「マインドフルネス」等、それぞれのテーマに従って多くの知識と具体的な活用法を学んできました。 

 重いテーマの割には、やさしくステキな先生方がなごやかに進行してくれるので、参加してとても楽な気分になります。アメリカでも豊富な臨床経験をされている先生ならではの驚きのエピソードを聞くことができたり、数々のリラクゼーションの体験ができることも楽しみです。自分の心の中で、こんがらがって心を縛り付けている紐を少しずつほどいて行ったり、思いっきり空回りしている心に、そっとやさしい声をかけて休ませてあげたり、無理なく「しかたないね」が言えたりとか、いろいろな体験をすることができました。

 他のメンバーもそれぞれの体験を得ていると思います。

 私たちの勉強も1年半以上たちました。その間にメンバーの中には、はた目にも素晴らしい変化をみせてくれる人たちがいます。

 私も地味ですが自分では内面が変化していると確かに感じています。自分の心の呼吸を自分のものとして味わい感じる感覚をつかみかけています。それは自然で楽な気分の日常生活につながるものです。

 普段の生活の中では、なかなか得ることのできない素晴らしい勉強会に参加できていることを本当にラッキーだと感じています。

                                      (A.熊谷さま)

 

素敵な感想を本当にありがとうございました。

グループセラピーは、引き続き、土曜に加え、日曜のメンバーも若干名募集中です。興味がある方はご連絡お待ちしております。                          
  

 

 

 

 

 

 

 

気の回路の接続先

自分の気(エネルギー)をどこに注いだか振り返るのを毎日の習慣にしよう。

気が体を離れているときにどう感じるかに注意を払い、なぜ、どこに行ってしまったのかを評価してみるのだ。

もしも自分の気を流出させてしまうような対象にくっついていたら、そこから自分を「切り離す」よう命ずる。

体から気が流出しているとき、逆に体内に入ってきているときの流れを感じ取ることを学ぶ。

それは意識するだけでできることだ。

怒ったり、恐れを感じたりして、気が出て行ってしまっているときの感触はもう知っているだろう。

即座に体が弱くなるのをかんじるはずだ。

激しい頭痛や腰痛になってしまう人もいる。体の症状は、どんなものであっても、エネルギーを失っている信号だと解釈しよう。

自分から積極的に行動にでるには、まず気の回路を力と光で満たしてくれるポジティブなものに向けることだ。

(「チャクラで生きる」キャロライン・メイス著 川瀬勝訳 サンマーク文庫)

 

何かに気を取られているとき、私たちは、文字通り、「気を取られて」います。キャロライン・メイスの言葉を借りると、「エネルギーを流出させている」ということです。

わかりやすい例でいうと、一緒にいて、疲れる人と、元気になる人がいますね。疲れる人は、たいてい、自分がエネルギー不足なため、無意識に周りからエネルギーを吸い取って補給しようとしている人です。こういう人といると、気を奪われるので疲れます。具体的に言うと、人の話を聴かないで一方的にしゃべる人、自慢する人、人を力で支配しようとする人、犠牲者の役割を演じて、人の関心を引こうとする人など。また、例えいい人であっても、性質や好みが違いすぎて「気が合わない」人と一緒にいると、異質なものに無理に合わせようとして「気を使う」ので、疲れます。

前向きで力強い、あるいは穢れのない清浄なエネルギーに満ちた人は、周りにもエネルギーを与えてくれるので、一緒にいると、元気になったり癒されたりします。

一緒にいない時でも、その人のことを考えるだけで、私たちの気は身体から流出して消耗したり、反対に気をもらって元気になったりします。なので、誰かに憎しみや恨みを抱くと、損なのです。憎しみや恨みの感情が、気を奪う相手と自分をくっつける接着剤の役割を果たすので、その人のことをついつい考えて「気を取られ」やすくなり、私たちはエネルギーを失って心身ともに消耗してしまうことになるからです。これは、対象が人でなくても同じです。恐れもまた、強力な接着剤になるので、恐れの対象、すなわち不安に思うことを延々考えて、エネルギーを消耗させてしまうことになります。

どうせなら、元気をもらえる対象に、気の回路を接続したほうがずっと得ですね。そういう対象として選ぶのは、必ずしも生きている人に限らず、歴史上の人物でも、想像上の存在でもOKです。困難を切り抜けて成功した人、気高い存在、花や木、川、星、太陽などの自然に属するものからは、パワフルなエネルギーや清らかなエネルギーをもらうことができます。

「気の回路を力と光で満たしてくれるポジティブなものに向ける」方法として、キャメロン・メイスは、下記の例をあげています。

A)信仰の対象(聖人など)や、太陽、その他大自然を表すものと回路がつながるようすを思い浮かべる。

B)呼吸を使って、回路をつなげたり、切り離したりする。  

1)息を吸うとき、自分の気を奪っている対象からそれを取り戻していると想像する。

2)息を吐くまえに、力と強さを表す象徴を思い浮かべる。

3)その象徴と融合し、それが常に自分に流れ込んでくるよう、意図しながら、息を吐く。

呼吸というのは、気をコントロールするのにとても重要な役割を果たすので、是非、取り入れてみてください。ちなみに、私は上記の通りではなく、吸うときに自分の中にいいものを取り入れるようにし、吐くときにいらないものを手放すようイメージする方が好きです。自分がやりやすいように実践してみてください。

 

 

 

グループセラピー・メンバー募集

ハミングバードでは、月に1度、盛岡市中央公民館で、DBT(弁証法的行動療法)のグループを行っています。これは、一言でいうと、心の苦しみを減らし、幸福感を上げるためのスキルを学ぶグループで、マインドフルネス、対人関係保持、感情調節、苦悩耐性の4つのスキル群から成り立っています。現在、土曜日のグループメンバーを若干名募集中です。次回のグループは21日(土)AM 9時半~11時半に開催予定です。興味がある方は、ご予約・お問い合わせフォームよりご連絡ください。


参考までに、現在参加中のメンバーの方たちのグループのご感想を掲載させていただきます。快くご感想をくださった方、ありがとうございました。

*自分の感情のコントロールの仕方や、良い対人関係の構築の仕方を学べるだけでなく、自分の悩みなどをシェアすることもできて、とてもためになる場所です。(M. M. 様)

*仕事で辛い思いをしていましたが、グループセラピーを受けて学んだことを実践したら気持ちが楽になりました。(A. A. 様)

*私は、家庭の中の問題と職場の人間関係の難しさに悩み、解決できずにいました。少しでも自分自身が楽に生活できればと思い、勉強会に参加し、1年ぐらいが経ちましたが、自然と学んだことが日常に身についてき、役に立っています。とても楽しいグループセラピーです。(S. K. 様)

 

 

 

 

 

 

 

 

心と体を壊すものと癒すもの

この仕事で多くの人を見てきて思うことがあります。

憎しみや妬みや恨みが、いかに人を害するか。

悲しみは、否定的な思いが人に向けられていない分、まだましなのですが、人に向けられた否定的な思いは、それが強烈であればあるほど、場合によっては相手も幾分か害するでしょうが、何よりもその人自身の心身をむしばんでいきます。その思いを発する人は、苦しく殺伐とした気分になるだけでなく、容貌が衰え、病気にもなりやすくなります。おそらく、それらの感情を作り出すために、自分の中にある非常に多くのエネルギーを燃やさなければならないため、エネルギーが枯渇してとても疲れるし、免疫も落ちるのだと思います。否定的な感情のエネルギーというのは不調和で不自然なため、大量に長い間持続させると、有害な影響を自分の心身にもたらします。

自分の苦しみを人や環境のせいにして、人や社会を害するような言葉や行動を強烈に生み出している、負のエネルギーが非常に強い人は、顔つきが近寄りがたい凶悪さを帯びるだけでなく、体の方もだんだん衰弱していくようです。こういう人の奥に垣間見えるのは、たいていとても強い恐れなので、本当はそれに直面して対処しなければならないのですが、本人が自分の内面にある恐れを自覚できるレベルまで覚醒するには、長い道のりを要することが多いようです。なぜなら、こういう人たちは、自分の中ではなく、外の世界ばかり見ようとするからです。

逆に、人を瞬時にして癒しパワーアップするものは、愛の感情です。愛のエネルギーは宇宙と調和的なのです。誰かに対して、思いやりや慈しみ、優しさといった、純粋な愛の感情を抱くと、相手の癒すでしょうが、何より自分自身を癒し、パワーで満たすことができます。自分の中に内在する愛につながると、そのポジティブなエネルギーは身体や脳を駆け巡り、一瞬で波動があがります。波動が上がるというのは、具体的には、「軽い、明るい、柔らかい」という感覚として感じられます。目の前がパッと明るくなり、筋肉がリラックスしてゆるみ、体が軽く感じられるようになります。恨みや妬みを抱いている人が生きている「暗く、重く、固い」世界とは対極の状態です。

今まで苦しみの世界に生きてきた人が、自分の中の愛にアクセスしたことにより、短時間で意識状態が切り替わり、悩みから解放される例を、私はたびたび見てきました。そういう人たちは、別人のように顔が穏やかになり、表情も柔らかくなります。愛の調和的なエネルギーで満たされると、当然、心も体も元気になります。こういう状態にある人は、おのずといい現象を引き付けるので、人生もよりよく変わっていきます。

人生って、結局のところ、自分の心(意識)の持ちようなんだと思います。

 

IMG_2571

 

原因不明のうつが繰り返される時

あるクライアントさんのケースです。(プライバシー保護のため、詳細は変えてあります。)

彼女はとても前向きで明るい性格です。大学にもバイト先にも友達がたくさんいて、リーダー的存在でした。

ところが、数年前から年に何度か、わけもなくうつ状態に陥るようになりました。いつも些細なきっかけで立ち直るのですが、うつの程度は年々ひどくなり、最近では、無気力になって授業をさぼり単位を落としたり、バイトを無断欠勤したり、発作的に死にたくなったりするようになりました。あるいは、一晩中、ほとんど寝ないでスナック菓子を大量に食べ続けることもあり、ちょっと聞くと躁鬱を疑うような症状が見受けられます。

反復性のうつの場合、もし冬だけに起こるようなら、季節性感情障害(日照時間が短いため、うつになる病気)も考えられるのですが、彼女の場合、発症に決まった時期はないといいます。

そこで、私はふと思いついて、聞いてみました。

「子供時代は幸せでしたか。」

彼女はその質問に、最初は明るい表情のまま、次のような話をしました。

彼女の両親は、幼児期に離婚しており、彼女は実の父親が誰か知りません。母親は小学校の頃に再婚し、義父は母親の目を盗んでは、彼女に暴力をふるい続けました。暴力のエスカレートを恐れ、また、母親に言ったら家庭が壊れると考えた彼女は、体のあざを隠し、何年も誰にも何も言わず、平気なふりをしてきました。

彼女には幼い腹違いの幼い弟がおり、自分は長女だからしっかりしなければならない、弟を守らねばならないという思いで、共働きの親にかわって家事をこなし、表面上は明るく元気に振る舞っていました。親戚や周囲の人は彼女をしっかりしたいい子、頼りになる子だと褒め、彼女はその役割を演じ続けました。

義父の暴力は、顔にあざができたとき問い詰められ、隠し通せずついに発覚し、以来なくなったそうです。

気持ちが落ち込んだ時も、こんな気持ちになる自分は嫌だから明るく振る舞おうと、無理に気分を変え、一人になると悲しみが襲ってくるので、あえて友達と騒ぐように努めていました。

このクライアントさんの場合、原因不明のうつが繰り返される理由は明らかに感情の抑圧です。本当は辛くて仕方がなかったのに、その気持ちを無視して、元気なふりをして生きてきた。これでは、潜在に押し込まれた自分の本当の気持ちが、

「ここにいることにどうか気づいて。ちゃんと見てください。」

とばかりに、認めてもらえるまで強く訴え続けるでしょう。それでも無理やり気を紛らわせ続けると、感情はコントロール不能なレベルまで暴走し、最終的には極度のうつや躁うつになったり、強迫観念症になったり、怒りを抑えられなくなったり、といった心の症状に悩まされるようになります。ひどい場合には幻聴を発症する人もいます。

「本当はとても怖かったし、寂しかったでしょう。」

と私がいうと、それまで元気そうに振舞っていた彼女は号泣し、

「そうだったんだ。私は寂しかったんだ。」

と、そこで初めて見ないようにしていた自分の気持ちに気づいたのでした。

どんな感情でも、ちゃんとそれを認識し、感じてあげると、やがては消滅します。反対に、見ないようにすると、自分の中に閉じ込められたまま、感情は持続し、その感情が強ければ強いほど、また、抑圧期間が長ければ長いほど、痛みは増していき、解消するのが困難になります。

自分の内面と、外側でどう振る舞うかという外面に、ギャップがあればあるほど、心というものは苦しくなります。ギャップがない人は、いわゆる自然体の人なのですが、矛盾がないので生きるのがより容易になり、自然な気持ちを素直に表現する為に感情に滞りができにくく、なにかあって落ち込んだとしても、切り替えも早いでしょう。

このクライアントさんは、たくさん泣いた後、すっきりして軽くなった、今まで他のことで紛らわせていたのが、本当は心の癒しにはなってはいなかったとわかったと言い、笑顔で帰っていきました。一度のセッションで彼女の未解消の感情がすべて解消されたとは思いませんが、少なくとも今後は心の声を無視するようなことはせず、もっと上手に自分の感情を扱うことができるようになるでしょう。

身体の傷が、ちゃんとそこにあることを認識し手当してあげないと癒えないように、心の傷も、痛くてもちゃんと直面して見ないことには、癒すことができません。このクライアントさんはそれが今回身に染みてわかったので、もう逃げないはずです。原因と正しい対処法を知ったことで、彼女の反復性のうつは、今後よくなっていくだろうと思います。

 

IMG_2019