たまには、肩の凝らない記事をと思いまして、アメリカに住んでいた頃の話を書きます。
ある日曜日、同僚のおじいさんセラピスト、トムと一緒に、近くにあるキャニオンにハイキングに行きました。
その頃、私は、仕事のストレス解消に、時々休みの日に、同じ趣味を持つトムと落ち合って、自然の中に出かけてはハイキングをするのが、マイブームになっていました。
「この近くに、なんとかキャニオンていう(すみません、何キャニオンか忘れました)ところあって、わしも行ったことがないが、とてもきれいだと、知り合いのご婦人が、昔、教えてくれたんだ。だいたいの場所ならわかるよ。」
というので、行ってみることにしました。
「こっちかな。うん、この道であっているはずだ。いや、ここで曲がるのかな。」
と、なんだかおぼつかないので、
「そのご婦人にもう一度電話して聞いてみたら?」
と聞くと、
「いや、その人は10年前くらいに死んでしまったから、もう聞けないよ。」
という回答。
うん、そら、もう聞けないわ。(;一_一)
しかしながら、舗装されていない道をガタゴトしばらく行ったのちに、我々は無事に目的地に着いたのでした。
知る人ぞ知る(そして、日本人で知っている人は多分ほとんどいないであろう)なんとかキャニオン。
崖の上にあさっての方を向いているラクダみたいな岩があります。
当たりには、切り立った崖がいっぱいあります。
私たちは、崖の一つを選んで、ロッククライミングを試みることにしました。
若い頃、ボーイ・スカウトに入っていたというトムは、車に、ジャックナイフ、毛布を何枚か、帽子2つ、水のボトル何本か、その他いろいろ、万全の装備を車いっぱいに積んでいました。
が、家から車で15分くらいのところにあるこのキャニオンに行くのに、そんな装備がはたして必要だったのか、いまだにわかりません。しかも、いざ崖に上るときは、ペットボトルの水以外なにも持たず、私もトムも丸腰でした。
崖は結構険しく、登りは両手を使ってよじ登らなければならない場面、そして下りはかなり高いところから飛び降りなければならない場面が多々あったので、ペットボトルの水がたいそうじゃまでした。私はスーパーのレジ袋にペットボトルの水を入れて持っていたので、まだ持ちやすかったのですが、崖のあちこちにぶつけて、レジ袋は最終的には穴だらけのボロボロになってしまいました。
っていうか、二人とも、せめてもっと、リュックサックを背負うとかせんかい、ロッククライミングするのに、スーパーの袋ってあんた(-“-)、と、今思えば、自分で自分を突っ込みたくなります。
でも、苦労して上った甲斐あって、崖の上からの景色は、絶景でした。
はるか地平線の彼方の山々まで見渡せて、空気も澄んでいて、風の音以外とても静かで、気持ちがよかったです。
これが、トム。
以前、トムに「ブログとかに写真出してもいい?」と聞くと、「わしゃ、かまわん。この年になったら、もうどうでもいい。」という答えだったので、遠慮なく掲載させていただきます。
このキャニオンには、一度行ったきりでしたが、たまに地元の家族づれや友人同士がバイクや車で来るくらいで、訪れる人もほとんどなく、なかなかの秘境です。ぜひ、藤岡弘さんに行ってもらいたいくらいです。
私自身はもう二度といく機会はない気がしますが、今となっては、いい思い出になっています。