前回、自分自身との関係が、周囲と自分との関係にリンクするという話を書きましたが、その補足です。
自分を嫌って辛く当たっていると、虐待的な関係を招きやすくなります。
例えば、アメリカで会った、ある若い女性のクライアントさんの話ですが、彼女は、幼少期にお兄さんから、「お前はブスだ。醜い」とからかわれ続けて育ちました。それがとても心の傷になっていて、大きくなっても自分のことを醜いと固く信じていました。実際その人は、顔だちも美しく気品もあって、ブスどころか正反対だったのですが、醜形恐怖症になってしまっていて、人に見られたくないあまし外出もあまりできないくらい、自分に自信を失っていました。
この人は、以前つきあっていた彼がとても虐待的な人で、過激な暴力や破壊行為があり、カウンセリングをしていた当時は刑務所に入っていたのですが、出たら彼女を殺すと脅しており、実際にやりかねなかったので、彼女はとてもおびえていました。
この例は極端かもしれませんが、自分のことを愛さず、辛辣に扱っていると、同じように扱われる人間関係を引き寄せてしまいがちにはなるでしょう。典型的な共依存タイブであれば、ひどい相手であっても見捨てられず、例え自分がズタズタに傷ついても、自分を愛せない代わりに相手を愛して癒そうとするので、不健全な関係から抜け出せなくなってしまうことも多々あります。「大事な私を粗末に扱うような人とはつきあわない」と宣言できるくらい、自分を愛せるようになると、共依存関係に陥ったり、攻撃的な相手と引き合ったりはしなくなります。
結果的に、この人は、出所した元彼となんとか完全に切れて、本当に自分を愛してくれる人と巡り会い、幸せになっていました。心の優しい人だったので、幸せになってくれてよかったなと思います。