盛岡心理カウンセリング・ハミングバード

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05月

春の癒しを取り入れる

春は、自然の癒やしのエネルギーが増す季節だと思います。

春には、新芽が吹いて、花が咲き、草木がどんどん伸びます。つまり、生命力が活性化され、力強く躍動しているということ。

目には見えなかもしれないけれど、活性化された生命エネルギーを感じることは、誰でもできるのではないでしょうか。

私たちが、花が咲き乱れて草木が芽吹いている場所にいると、気分がリフレッシュするとか、元気をもらえるとか感じるのは、この自然界の生命エネルギーを取り入れて、エネルギー補給をしているからなのだと思います。

気持ちが落ち込んでいたり、なんとなく元気が出ない時、この春の自然界のきれいで力強い生命エネルギーを意識的に取りこむことは、心身のエネルギーを活性化させる、とても効果的な方法だと思います。

具体的には、天気がいい時に、自然がたくさんあるところにいって、息を吸うとき、吸気とともに、植物のパワーが体の中に入って、体の隅々まで行きわたるのを、イメージすること。イメージをしながら意識して取りいれることにより、自分のエネルギーを高める効果が格段にアップします。

美しいものを見るとき、私たちの生命エネルギーは強化されます。

なので、きれいな花とか、光り輝く空など、美しいと思えるものを見たときも、同様に、その美しさを自分の中に吸い込むイメージをすることをお勧めします。

ただし、落ち込みや不安感、怒りなどがあまりに強いときは、自分のエネルギー回路がまわりから遮断されていしまう状態になりがちで、周りのいいエネルギーが入ってきにくくなります。

なので、美しいものを見ても、美しいと感じにくくなったりするんですね。

こういう時は、やはり、原因となっている感情をまず自分の中から出してきれいにするという作業が、先に必要になってくると思います。すでに何かがたまっていっぱいになっている入れ物に、新しくものを入れようとしても、先にスペースを作らないと入っていかないのと同じです。

体や心が元気になるために、いいもの、必要なものを取り入れて、悪いもの、いらなくなったものは、出すというのが、心身のエネルギーのバランスを取り、いい状態に保つための、基本です。

落ち込みや不安や怒りなどが、深いところに根差している場合は、解消するためにそれなりのワークを必要としますが、もし軽くて浅い場合は、吐き出す息とともに、それが自分の中から出て行ってしまうところを想像するだけでも、効果がある場合があります。

その際、その感情に色をつけて、それが煙になって出ていくのをイメージしてもいいと思います。

色々工夫をして、ぜひ、春にしか得られない、この特別の癒やしのパワーを活用してみてください。

 

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祈りと心配の源泉

アメリカにいたころのあるクライアントさんの話です。

彼女はまだ20歳そこそこでしたが、お母さんのことをひどく心配して、不安にさいなまれていました。

心配になるのも無理はなく、彼女のお母さんは、重度の麻薬依存症で、もう心身ともにボロボロ、最後に見かけたときには、見る影もなくやつれ果てていたのだそうです。

最後に見かけたとき、と書いたのは、彼女はお母さんにもう何年も会っていなかったからです。虐待とネグレクトを繰り返した母親から引き離され、里親に出されたこのクライアントさんは、その後の母親の消息すら知りませんでした。

彼女は、自分を辛い目に合わせた母親に対して、複雑な感情を抱いてはいましたが、恨んではおらず、やはり心の奥では愛しており、とても心配していました。

彼女の心配は、心に重くのしかかり、彼女の鬱の症状を悪化させていたので、なんとかする必要がありました。なんとかするといっても、実際、不安を取り除くために、今、どこにいるかもわからない母親に対して、彼女が直接できることは何もありません。

なので私は、不安という負の感情エネルギーを、祈りというポジティブなエネルギーに変えてみたらどうか、と彼女に提案しました。

不安というのは、「こうなったらどうしよう」という想念。「お母さんが麻薬で身を滅ぼしていたらどうしよう」という思いは、気持ちをかき乱して重くするだけで、建設的な働きはしません。でも、彼女の不安な思いは、もとはといえば母親への愛情から発生しているものなので、前向きなエネルギーに転換することが可能なのです。そのためには、これをこうなってほしいという願い・祈り・アファメーションの形に変えてあげること。

「お母さんが大変なことになっていたらどうしよう」と思うより、「お母さんが大丈夫でありますように」「お母さんが麻薬依存を乗り越えて、強く生きられますように」と思ったほうがずっと建設的です。そうすることにおり、心を蝕んで侵食するような想念が、希望とか守護の想念に、質が変わるので。

実際、彼女はこの提案をすぐに受け入れ、さっそく数分間、どこにいるかもわからない母親のために、集中して祈りました。目を開けたとき、彼女の顔は数分前よりずっと明るくなっていました。

「今の、お母さんに伝わったと思う。」

という彼女の表情から、不安の影はもう消えていました。

私自身は、何の宗教にも属していませんが、自分のため、誰かのために、強く願ったり祈ったことは、見えないレベルでそれなりの影響を及ぼすと考えています。

でも、それが実際そうかどうかは置いておいて、心理的にみても、同じ愛情という源泉から出たものであるなら、心配よりは祈りの形にして表現したほうが、心にとっていいということは、確かだと思います。

 

 

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パーソナリティ障害(人格障害)の治療について

パーソナリティ障害(人格障害)は10種類ほどあり、精神疾患の中では治療が難しいとされています。

その大きな理由としては、本人に自覚がない、もしくは治したいという動機に乏しいということがあげられます。

パーソナリティ障害は、どちらかというと、本人よりも周りの人が違和感を感じて、なんとかしてほしいと思うケースの方が多いです。

人は自分が変わりたいと思わない限り変われないものなので、基本的に心理療法は、クライアント本人が治したい、変えたいと思わない限り、適用が難しいものです。加えて、周りの人がこうしてほしいと思う症状を、心理療法を使って本人の了承なく無理に変えさせようとするのは、人を操作することになり、倫理に反する場合もあります。

治療が難しいケースのわかりやすい例が、犯罪者に多い、反社会性パーソナリティ障害です。平気で法律を破ったり人をだましたりする、衝動的で攻撃的である、などの行動的な特徴が診断基準にあげられますが、本人は罪の意識に乏しいので、自分から心理療法を受けて治療したいということは、まずありません。なので、反社会性パーソナリティの人がサイコセラピーを受ける場合は、たいてい、何かやって捕まってから、弁護士とか保護観察官、裁判官の命令で連れてこられることになります。

けれども、刑を免れるためという便宜上の理由で、表面的におとなしくセラピーを受けて、改心したふりをしても、心の底から本人が変わりたいと思わないのであれば、本質的には何も変わらず、症状はそのままでしょう。

例外なのは、境界線パーソナリティ障害で、この精神疾患の症状は本人がとても苦しいので、自発的に心理療法の治療に来られる方は多いです。そして、自殺未遂や自傷行為を繰り返し、命の危険に及ぶ場合もあるので、心理療法による治療研究もよくされています。

実際、境界線パーソナリティ障害の治療法としては、DBT(Dialectical Behavioral Thearpy=弁証法的行動療法)という、効果的な療法が開発されており、私も主にグループセラピーで使っていましたが、時間と労力を惜しまなければ、境界線パーソナリティだけではなく、双極性障害やPTSDにも効果が期待できる、優れた療法だと実感しました。

それでは、境界線以外のパーソナリティ障害の人は、セラピーの施しようがないのかというと、そんなことはありません。

私がいたアメリカの職場は、基本的にどんな症状の人であっても絶対に必ず断らず受け入れる入れる、というスタンスで、かつ、アメリカは重症の精神疾患の患者でも、精神病院ではなく、コミュニティのメンタルヘルスで治療するシステムになっていたので、色々なパーソナリティ障害の人がたくさんいました。

パーソナリティ障害と診断されるクライアントさんは、ほとんどの場合、それだけではなくて、うつ、PTSD、双極性障害の、感情障害や不安障害等、複数の診断名を同時に持っています。なので、辛いとか、困っているという本人の自覚症状のある疾患をターゲットにして、セラピーを行うわけです。

これは個人的な意見ですが、パーソナリティ障害と、並行して発症している他の精神疾患とでは、おおもとになっている原因が同じ場合が少なくなく、他の精神疾患が深いところからよくなれば、パーソナリティ障害の症状も緩和することがあるように思います。

例えば、境界線パーソナリティは「認めてもらえなかった」という幼少時の不承認の体験が根底にある場合が多いといわれています。そのトラウマを癒やしていくにつれ、不安やうつの症状とともに、パーソナリティ障害の症状も収まっていくことは実際あると思います。

自己愛性パーソナリティ障害の人で、並行してうつやPTSD、双極性障害と診断されている人は珍しくなく、この疾患の特徴である膨張したエゴの裏には、自尊心の低さが隠れていると言われることがあります。その場合、虚勢を張って過剰に防衛的にならなければならないほど自尊心が傷ついた体験があるなら、それを探り当てて癒やしていくことにより、併発している鬱や不安が回復するといういこともありえます。

いずれにしても、パーソナリティ障害単独の治療は、境界線以外はまだ難しくて発展途上であることは確かでしょう。また、パーソナリティ障害の診断は、診断する側の主観に左右されることが多く、信頼性の点で議論の余地があるということも、ここに付け加えておきます。

 

 

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