盛岡心理カウンセリング・ハミングバード

ハミングバードは、心理療法カウンセリングのセラピールームです

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過去を振り返らず、前に進む?

反復性のうつを患っている人から聞いた話です。この人は精神科で数年前から薬物治療を受けているのですが、あるとき、自分の原因不明の繰り返されるうつは、幼少期の生い立ちに関係があるのではないかと思い当たりました。それで、主治医の先生に、カウンセリングを受けたいとお願いしてみたそうです。すると、その先生は、過去を振り返らずに前に進まなければならない、せっかく今安定しているのに、過去を思い出して不安定になってはいけないからと、反対したそうです。

この先生の考えが間違っているとはいいませんが、例え今は安定していても、原因になっている心の傷を何とかしない限り、この人はこの先もまた、繰り返しうつに襲われることになるでしょう。確固たるトリガー(引き金になるできごと)がないのに、原因不明のうつや不安症状が繰り返し起こる場合、過去から現在に至るまで抑制している感情的痛みが関連していることがよくあります。その痛みは、放っておいたら消えていくたぐいのものではなく、それを抗不安薬や抗うつ剤で抑制しても、根本的なところが取り除かれていないので、対症療法的な、いわば痛み止めのような一時的効果しか得られません。むしろ、痛みを感じないように紛らわせれば紛らさせるほど、その痛みを発している根本的なものの処置が遅れるので、痛みはだんだん悪化して、手をつけるのが難しくなるばかりです。

この感情的な傷は、いわば、過去ではなく、今、現在、自分に内在するものです。起った出来事は過去にあるかもしれませんが、今も強い感情を伴って思い出されるならば、現在に強い影響を及ぼしているという意味で、過去になっていません。その傷をちゃんと見て処置するという作業は、その傷を治して本当に過去のものにしてしまうために、実は必要なプロセスなのです。「前に進むためにこそ、過去を振り返らなければならない」こともあるということです。

潜在意識に閉じ込めていた否定的感情(本当は感情に否定的も肯定的もないのですが、ここでは便宜上否定的という言葉を使っています)は、顕在意識に浮上する時、通常、痛みを伴います。それは、その感情が強ければ強いほど、また、閉じ込めている期間が長ければ長いほど、強い痛みとなって感じられるはずです。でも、おう吐や下痢、発熱などの浄化プロセスがたいていそうであるように、毒が外に出るときは、苦しさや痛みを感じるもの。苦しみの原因を中に閉じ込めておくよりは、一時的に痛くても外に出して解消してしまう方が、後でずっと楽になるものです。

痛いのが嫌だから、気を紛らわせ続けるか、思い切って痛みを向き合って、根本的に取り除くか、どちらを選ぶかはその人次第です。でも、今は辛くても、痛みを引き伸ばさないほうが、長い目で見たらいいのではないかと私は思っています。

 

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呼吸でストレスを手当てする方法

感情は、体とつながっており、感情的なストレスは、何らかの身体感覚として感じられることが多いものです。感情をシャットアウトして麻痺させるのが上手な人は、体の感覚を感じることも下手になり、ストレスがあるのに感じられなくなって、対処が遅れ、病気になってしまうという結果になりやすいです。

下記のエクササイズは、体の微妙な感覚を感じ、心がためこんだストレスに気づいて、それをケアするための視覚化瞑想です。

今月のグループセラピーで、最後のリラクゼーションとしても行った内容です。

よかったら参考にしてみてください。

 

 

今や科学者は、ストレスが、ホルモン分泌、免疫システム、老化に関連する多くの生物学的プロセスに作用を及ぼすことを知っています。ストレスに対処する簡単な方法があればいいと思いませんか?幸い、ネガティブな感情やストレス、体の緊張をきれいに洗い流す、簡単なヴィジュアライゼーション(視覚化瞑想)があるので、ここにご紹介します。

 

どうやって

 

  1. 数分間、静かでいられる、安全な場所を見つけてください。これは、立っていても、座っていても、横になっていてもできるエクササイズです。
  2. 足底から始めて、ふくらはぎ、太もも、腰と、意識をゆっくり体の上へ徐々に移していき、ストレス、緊張、固くなっているところ、滞っているところ、ネガティブな感情がたまっているところがないか、感じてみます。それは筋肉かもしれないし、胃や心臓、ほかの場所にたまっている感情かもしれません。
  3. 次に、吸う息とともに、白か金色の光が体の中に入ってきてくるのをイメージしてみましょう。光が、あなたの鼻、口、または頭のてっぺんから入ってくるのを心の目で見てください。
  4. この光が、まっすぐにあなたのストレスや緊張、ネガティブな感情のある部分に入っていきます。光は、あなたがストレスをため込んでいる体の部分にゆっくり浸透し、満たしていきます。
  5. ゆっくり息を吐きましょう。吐く息とともに、すべての緊張やネガティブなものが、体を下へ下へと降りていき、両脚、足の裏を通って、地面に吸収され、リサイクルされるのをイメージします。
  6. 自分のペースで呼吸を何度か繰り返して、体の感覚を戻していってください。

 

 

いつ

 

これは、緊張したり、心がアンバランスになっているとき、いつ、どこででもできるエクササイズです。

 

参考文献:Altman, D. (2016). 101 Mindful Ways to Build Resilience: Cultivate Calm, Clarity, Optimism & Happiness Each Day. Eau Claire, WI. PESI Publishing and Media.

学力より人間力

現代の日本の社会的風潮では、学力があって、学歴が高い人がもてはやされる傾向があります。

でも、それってどうなんだろう、と私はいつも思います。

なぜなら、実際に社会に出て成功している人は、学歴や知力が高い人ではなくて、人間力が高い人だからです。主に学校教育に組み込まれた勉強ができるかどうかで計られる、インテリジェンス(知的能力)の高さとは関係ありません。

人間力、つまり、協調性、共感力、感情のコントロール力、判断力、社交性等の、自分をコントロールし人とうまく関わっていく力のことを、アメリカでは、近年、「エモーショナルインテリジェンス」といい、単なる知的能力よりも重視する見方が強まっています。

実際に多くの人と接してみて、学力が高いが人間力が未開発な人ほど、葛藤を抱えやすく、ネガティブになりやすいのではないかと思います。なまじ、勉強ができるがゆえにプライドがあり、現代社会が奨励する競争や履歴主義の風潮に翻弄されやすい。その結果、劣等感表裏一体の優越感を抱いてしまうと、それが心の妨げになってしまう。そういう人は、ささいなことで挫折しやすいので、仕事も長続きしなかったり、悪くすると引きこもりになってしまったりすることがあります。

逆に、学力がなくても、素直で、変なプライドがなく、人に寛容で、自分を律することができる人は、周囲の人に引き立てられやすいので、仕事もうまくいきやすいものです。感じがよく思いやりがある人は当然人にも愛されるので、愛情のある交流も起こりやすく、内面的にも充実するものです。

それなのに、一流大学出身ばかりもてはやす今の風潮って、本当にズレているなあ、としみじみ思います。

学校教育でも、知的学力ばかり追い求めないで、どうやって自分の心をコントロールするかとか、人とうまく関わるか、花とか小動物などの小さくて弱いものを大切にすること、困っている人を助けることなどに重点を置いた学びを取り入れたほうが、社会全体が幸せになるんじゃないかな、と思います。

 

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セミナー受講中

現在、ポリヴェーガル・セロリー(多重迷走神経理論)についてのセミナーを受講中です。これは、インディアナ大学のキンジー・インスティテュートの著名な科学者であり、ノースカロライナ大学の精神医学の教授でもある、Stephen W. Porgesが提唱したセオリーで、人間の神経と脳のシステムから、感情や愛着、トラウマの起こるしくみを解き明かす理論です。

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このセミナーは、ずっと前に購入しておいたビデオセミナーなのですが、なかなかゆっくり勉強する機会がなくて、今に至ったものです。でも、見始めるととても面白いです。

私のカウンセラーの免許はアメリカの免許なのですが、こういうセミナーを現地やウェブのライブセミナー、録画したセミナーなどで、2年間に40単位取ることが更新の条件になっています。だから、高いお金を払って、せっせと受講しなければならないのですが、実際、アメリカの心理学や精神医学のセミナーは最先端だし、実践的で、興味深いものが多く、損はないです。

勉強したことで、みなさんのお役に立てることがあれば、またシェアしたいと思います。

今年もありがとうございました。

2016年ももうすぐ終わり。1年間、ありがとうございました。

今までお会いした方たちが、今どうしているかな、幸せかなと思いを馳せながら、年末を過ごしていました。

今、辛い思いをしている人も、幸せだと思える時が早く訪れるよう、お祈りしております。

年始は3日までお休みをただきます。

カウンセリングのお申し込みは4日以降になりますので、よろしくお願いいたします。

よいお年をお迎えください。

 

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良好な関係を築くためのコミュニケーション術

よく、雑談が苦手で、人とどう接していいかわかならいという人がいます。

人が信用できないと心を閉ざす人も少なからずいて、そういう人はたいてい雑談も苦手です。

ここでは、人といい関係を築くことができるようなコミュニケーションの取り方について、ご紹介します。

また、どうやって人を信頼すればいいかのヒントにもなるかと思います。ご参考になれば幸いです。

 

相関的な信頼関係を築く

 

どんな関係も、即座に相手を信頼して始まることはありません。信頼は、1回1回の交流を通して、少しずつ獲得していくものです。それは、共通の趣味や、互いを思いやるやりとり、協力、敬意、相手の話を聴いたり理解しようとする姿勢を通じて、相関的に、レンガを一つ一つ積み上げるように築いていくものです。相関とは、相手が与えるものに、心からの興味を抱くことを意味します。そうすれば、たとえあなたの人生に難しい人が出現したとしても、架け橋を築くことが可能です。もし、あなたの相関的な関わりに相手の反応が返ってこなかったら?―たとえそのときでも、あなたは、理解という親切な贈り物を相手に送ることができます。

 

どうやって

 

  1. 注意深く、敬意を持って話を聴く。目の前の相手に、完全で途切れのない注意を向ける。スマホやテレビなどのテクノロジーをわきに置き、そのほかの気を散らすものも避ける。
  2. 自分の予定はしばらく頭から話す。後でいつでももとの視点に戻っていいので、今はジャッジや個人的な偏見を手放し、自由でオープンになる。
  3. 姿勢や身振りもオープンにする。胸の前で腕を組んだりといった、防衛的なポーズをやめる。脅威を与えず、安心できるような身振りをする。適度に視線を合わせる。
  4. 好奇心を持つ。さえぎらないで、かつ、もっと知りたがる探偵のように、話を明らかにするような質問をする。
  5. 共感する。相手の立場に立ってみる。相手が経験したことを自分が経験したらどんな気がするか、感じてみる。
  6. 関心を示す。相手の考えや趣味、生活に積極的な興味を抱く

 

いつ

コミュニケーションスキルを高めたいとき、誰かと親しくなりたいとき、対人関係でもっと楽天的になりたいときに使いましょう。

 

 

 

参考文献: Altman, D. (2016). 101 Mindful Ways to Build Resilience: Cultivate Calm, Clarity, Optimism & Happiness Each Day. Eau Claire, WI. PESI Publishing and Media.

 

不安列車を降りる

10月、アメリカにセミナーに参加した際、会場で購入したマインドフルネスの本から抜粋し、訳したものです。マインドフルネスに基づいた不安コントロール法です。参考にしてみてください。

 

「不安列車」を降りる

 

思考は、「一連の思考(a train of thoughts)」というように、連なる列車にとてもよく似ています。もしも、「不安な思考の列車」に飛び乗ってしまったら、どうなるでしょう?その列車は、あなたをどこに連れて行くでしょう。終点はどこでしょうか。あまり楽しい場所とはいえない、「心配の国」や、「悶々の村」や、パニックの町」に行きついてしまう人もいるでしょう。このエクササイズは、あなたがいつでも列車を降りて、プラットホームに戻るための手引きになります。切符を買ってしまったとしても、あなたには好きな時に、たとえ隣の駅ででも、列車を降りる力があるのです。

 

どうやって

 

  1. 自分の思考に対して、中立で、無判断でいてください。あなたの不安思考を、単に「頭がさまよっている状態」だと気づいてください。
  2. 不安列車に対し、オープンで受容的な態度をとってください。自分の思考と戦うかわりに、不安列車の車掌さんに、こうあいさつしましょう。「こんにちは、古いお友達。また会いましたね。」
  3. 証拠を探して、自分の思考の信ぴょう性を吟味しましょう。この考えが本当に正しいという証拠は何ですか?過去にこういう考えがあたっていなかったという事実はありませんか?恐れは現実のように感じられるかもしれませんが、本当はそれは真実に基づいていないかもしれず、そういう感じがするというだけでは、それが実現する根拠にはなりません。
  4. さあ、もう、あなたはプラットホームにいて、列車を降りています。楽に深呼吸しましょう。
  5. 微笑んで列車を降りた自分をたたえてください。

 

いつ

 

気が動転した時、不安がとまらなくなりそうなとき、パニックになりそうなとき、いつでもこれを使ってください。早い段階で使えば、それだけ列車を降りるのも簡単になります。

 

参考文献: Altman, D. (2016). 101 Mindful Ways to Build Resilience: Cultivate Calm, Clarity, Optimism & Happiness Each Day. Eau Claire, WI. PESI Publishing and Media.

 

 

自分を好きになる秘訣

失敗がなく、なんでもできて、スタイルもよく、見目麗しく、頭も抜群dね、お金持ちになれば、自分に満足して自分を好きになれるのでしょうか。決してそうではありません。

もし一時的にそうなったとしても、自己価値感が低い人は、また別の欠点を探して自分が嫌になるでしょう。

自分を好きになる秘訣は、完全無欠になるのではなく、不完全な自分を受け入れることです。

母親が子供を愛するのは、子供が完璧だからではなく、汚したり、物を壊したり、散らかしたり、駄々をこねたりする子供を、その不完全性を含めて、ありのまま愛するからです。それが無条件の愛というものです。

無条件の愛を、自分に対して向けること。

そうすれば、他者に対しても優しくなれるので、愛が広がり、結果としてこの世界はよりよい場所になっていくでしょう。

 

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なりたい自分になる

よく、自分のことを批判し続ける人がいます。

自分はダメ人間だ、なにもできない、魅力がない、役に立たない、うんぬん。

ひどいときには、何か月も、何年も、そう言い続ける人がいます。

そういう人を見るとき思うのは、

「自分でそういうなら、そうでしょう。」

ということ。

自分にレッテルを貼り、そうだと強く信じると、それはその人の生きる現実において、真実になります。

例えば、同じ条件の2人がいるとします。2人とも同じ年齢でアルバイトをしているとします。

一人は、自分はこの歳になって正社員にもなれず、アルバイトの身で、ダメな人間だと思う。

もう一人は、今のアルバイトをずっとやりたくはない、いつかはもっと安定した仕事につきたいと思ってはいるが、それが理由で自分をダメだとはみなしてはいない。

前者の人は、自分自身が、自分をダメ人間にしてしまっているのです。

現実というのは、結局、その人の意識が作り出すものなので、自分がそう思い続ける限り、誰が何と言おうと、その人はダメ人間です。(そういう人は、そんなことないでしょう、あなたはこれもできるし、これもできる、だからダメではない、と言っても、たいてい、頑なに耳に入れようとはしません。その反面、自分で自分を認めることができない分、穴埋めしようとして、人の承認を強く欲する傾向があります。)

後者の人は、同じ立場であっても、自分をダメだと思っていないので、自己卑下していない分、現実はそれほど苦しくないでしょう。現状に満足していなければ、自己批判することなく、ただ変わればいいわけですし、今すぐに変化を起こせないのなら、とりあえず、今の現状を受け入れればいい。そうすればそこに不必要な苦悩が生じるスペースはありません。

自分がダメ人間になりたいとか、役立たずになりたいとか、魅力のない人間になりたいとかでなければ、自分にそういったレッテルを貼るのをやめることです。

良くも悪くも、人は自分が定義したものになる。

自分の現実を自分で創造しているということを、忘れないでほしいと思います。

 

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