盛岡心理カウンセリング・ハミングバード

ハミングバードは、心理療法カウンセリングのセラピールームです

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08日

望ましい判断と行動の育み方

自分のとった行動が、良いのか悪いのか曖昧であると、自信を持って行動できません。
望ましい行動をとったら、必ず、「その行動で良いこと」を本人にわかるように伝えてあげましょう。
言葉が拙い子どもさんの場合は、ジェスチャーで、言葉がわかる子どもさんには、端的な言葉で伝えましょう。

望ましくない行動をとった時は、「何故、そのような行動をとったのか」を尋ね、本人の気持ちや考えを一度受け止めましょう。
その上で、小さい子どもさんの場合は、望ましい判断と行動を教えてあげましょう。
自分で考える力がある子どもさんの場合は、「他者の気持ちはどうだったのか」を考えられるよう問いかけをすると良いでしょう。

このような対応の積み重ねが、望ましい判断と行動を育て、社会のルールの大切さを身に付けていきます。

子どもには、「これくらいわかるだろう」という考えは通じません。また、どんなに簡単なことでも一度でわかることはないと心得た方が良いと思います。大人には当たり前のことでも、子どもにとっては、全てが初体験。常識も通じません。感情的にならずに、お手本を示して教えてあげましょう。

「良いことは良い、悪いことは悪い」ときちんと伝える親の姿勢は、子どもにとって、頼れる姿であり、信頼と尊敬を育んでいきます。

逆に、良いことをしても、悪いことをしても、親や周りの大人たちが無反応だと、子どもはとても不安になります。
どのように振舞ったらいいかわからなくなります。
2〜3歳くらいの知能になりますと、やってはいけないことがわかるようになってきます。
その時に親や周りの大人たちが注意しなければ、子どもは「何故、注意されないのか?」と混乱します。
「おそらく、良くないことをしていると思うのに、何も言われない。じゃあ、良くない行動をし続けていいのか?」
ここまでくると、混乱だけでなく不安も芽生えてきます。
このようなことが続くと、苛立ちを感じ、粗暴という形で表現してきます。
そして、親や周りの大人たちの言うことを聞かなくなったり、試すような行動をとったりします。

よく、「褒めて育てましょう」と言われますが、私は、「褒めて」というよりは、上記で述べたように、「良いことは良い、悪いことは悪い」ときちんと伝え、丁寧に教えていくことが大切だと思います。そして、当たり前のことですが、子どもがお手伝いをしてくれたら、「ありがとう、助かったよ。」と感謝の気持ちを伝え、嬉しかったら、「嬉しい」と表現すれば良いのだと思います。

「褒める」ことは、大切だと思いますが、これは、使い方が難しいものだと感じます。褒めすぎるとプレッシャーになったり、バカにしていると勘違いされたり、子どもの方が親に合わせてしまい、本来の自分を出せなくなったりと、様々な副作用があり、私個人としては、あまりお勧めしません。

「良いことは良い、悪いことは悪い」と伝え、出来たら笑顔でOKサイン。そんな子育てができたらいいなと思います。

                                                                                                                                    (佐々木智恵)

セラピストのコントロールの問題について

心理セラピーでは、他の多くの治療行為の場と同様、クライアントとセラピストの間に、一種の力関係が生じます。

もちろん、人としての立場は平等で、どちらが偉いということは決してありません。

けれども、心理セラピーは、クライアントが自分の悩みを赤裸々に打ち明け、いわば弱いところを見せる場なので、どうしても、セラピストの方が立場的に強くなり、パワーを得やすい状況になります。弱みを見せて、頼っているほうが、頼られているほうに頭が上がらなくなる傾向になりやすいということです。

セラピストが無意識のうちに権力を行使してクライアントを利用したり、クライアントから搾取することを防ぐために、アメリカの心理カウンセラーの倫理経典には、セラピストがクライアントから物を買ったり、取引したりしてはならない(セラピストがクライアントのビジネスの顧客になってはいけない)、私的な関係(友人、恋人など)を築いてはいけない、という厳しいルールが設けられています。

セラピストがクライアントとの間に明確な境界線を引くことは必須です。そうしなければ、客観的にクライアントの問題を見ることができず、結果として、クライアントを助けることもできなくなります。境界線があいまいだと、クライアントの問題に心理的に影響されてしまったり、クライアントの感情を自分の感情と混同してしまったりして、効果的なセラピーができなくなります。ちなみに、この理由から、心理セラピストが知人、友人、家族にセラピーを行うことは禁じられています。

まだアメリカにいたころ、私は、第一線で長く活躍してきた心理セラピストの、こんな言葉に接する機会がありました。

「セラピストの中には、パワーがほしくて、クライアントをコントロールする人が、山ほどいる。」

残念ながら、私もそれはよく見聞きすることであり、事実だと思います。

例えば、

「あなたは、ここが悪い。だから、こうしなければならない/これをやってはいけない/こうすべきだ」等、クライアント本人の話を聞かないで決めつけたり、一方的に指示してきたり、自分の意見や価値観を押し付けてくる人。クライアントの自由意思を尊重しない人。

あるいは、

「私が治してあげる。」

「私のいうことを聞けば間違いがない」

「ほかの人に診てもらったらだめだ。」

「私を信じなさい。」

等を口にするセラピストも、コントロールの問題を抱えている可能性が高いと思います。

私が治してあげる、という医者やセラピストは、個人的には勘違いをしていると思うので、避けたほうが無難だと思います。治癒力を持っているのは患者やクライアント本人であり、医者やセラピストの役目は、それを引き出すこと。実際、クライアント本人が治りたくないと言えば、私たちは何もすることができません。それなのに、自分に治す力があると言うのは、ちょっと違うと私は思います。

そもそも、本当にすごい人というのは、決して自分のことをすごいと言ったりはしません。優れた人であればあるほど、必ず謙虚なものです。そういう人は、自分で自分を満たす方法を知っているので、他からパワーを獲得する必要がなく、したがって、名声や地位にとらわれる必要がありません。なので、クライアントをコントロールしてパワーを獲得しようとしたりもしません。

ただ、パワーの問題を抱えているセラピストのほとんどは、クライアントを故意にコントロールしようとしているのではないと思います。人をコントロールすることにより、パワーを得て、強くなったように感じて、自分を満たそうとする人の多くは、無意識でそれを行いますから。

いずれにせよ、人間、誰でもエネルギーを吸い取られるのは嫌だし、コントロールされるのは嫌なものです。心の奥底では、誰もがみんな、自分の自由意思を尊重してほしいと思っています。だから、権力を利用して、自由意思に反した押しつけをしようとする人に合うと、私たちは通常、反発を感じます。(共依存の人は、最初は気づくのが遅れるかもしれませんが、やっぱり最終的には嫌になるはずです。)

なので、最終的には、クライアントはコントロール欲求の強いセラピストからは、離れて行ってしまうものですが、その前に、クライアントが傷つく体験を余儀なくされるということは、とても遺憾に思います。すでに心に傷を負っていて、無防備な状態で助けを求めに来ている人たちであるから、なおさら・・・。

セラピストも医者も完璧な人間ではないので、間違うことはありますし、力が足りないということもあり得ます。治療家や施術者の言うことが絶対ということはありません。

専門的知識がある人だから、「立場が上の人」だから(初めに書いたように、本当は、人間として立場が上とか下ということはありません)といって、その人の言葉を鵜呑みにする必要はないのです。クライアントは、自分自身の感性を信じて識別し、自らを尊重して、最善の道を選択してほしいと思います。

 

                                               (Chika)