盛岡心理カウンセリング・ハミングバード

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セラピストのコントロールの問題について

セラピストのコントロールの問題について

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心理セラピーでは、他の多くの治療行為の場と同様、クライアントとセラピストの間に、一種の力関係が生じます。

もちろん、人としての立場は平等で、どちらが偉いということは決してありません。

けれども、心理セラピーは、クライアントが自分の悩みを赤裸々に打ち明け、いわば弱いところを見せる場なので、どうしても、セラピストの方が立場的に強くなり、パワーを得やすい状況になります。弱みを見せて、頼っているほうが、頼られているほうに頭が上がらなくなる傾向になりやすいということです。

セラピストが無意識のうちに権力を行使してクライアントを利用したり、クライアントから搾取することを防ぐために、アメリカの心理カウンセラーの倫理経典には、セラピストがクライアントから物を買ったり、取引したりしてはならない(セラピストがクライアントのビジネスの顧客になってはいけない)、私的な関係(友人、恋人など)を築いてはいけない、という厳しいルールが設けられています。

セラピストがクライアントとの間に明確な境界線を引くことは必須です。そうしなければ、客観的にクライアントの問題を見ることができず、結果として、クライアントを助けることもできなくなります。境界線があいまいだと、クライアントの問題に心理的に影響されてしまったり、クライアントの感情を自分の感情と混同してしまったりして、効果的なセラピーができなくなります。ちなみに、この理由から、心理セラピストが知人、友人、家族にセラピーを行うことは禁じられています。

まだアメリカにいたころ、私は、第一線で長く活躍してきた心理セラピストの、こんな言葉に接する機会がありました。

「セラピストの中には、パワーがほしくて、クライアントをコントロールする人が、山ほどいる。」

残念ながら、私もそれはよく見聞きすることであり、事実だと思います。

例えば、

「あなたは、ここが悪い。だから、こうしなければならない/これをやってはいけない/こうすべきだ」等、クライアント本人の話を聞かないで決めつけたり、一方的に指示してきたり、自分の意見や価値観を押し付けてくる人。クライアントの自由意思を尊重しない人。

あるいは、

「私が治してあげる。」

「私のいうことを聞けば間違いがない」

「ほかの人に診てもらったらだめだ。」

「私を信じなさい。」

等を口にするセラピストも、コントロールの問題を抱えている可能性が高いと思います。

私が治してあげる、という医者やセラピストは、個人的には勘違いをしていると思うので、避けたほうが無難だと思います。治癒力を持っているのは患者やクライアント本人であり、医者やセラピストの役目は、それを引き出すこと。実際、クライアント本人が治りたくないと言えば、私たちは何もすることができません。それなのに、自分に治す力があると言うのは、ちょっと違うと私は思います。

そもそも、本当にすごい人というのは、決して自分のことをすごいと言ったりはしません。優れた人であればあるほど、必ず謙虚なものです。そういう人は、自分で自分を満たす方法を知っているので、他からパワーを獲得する必要がなく、したがって、名声や地位にとらわれる必要がありません。なので、クライアントをコントロールしてパワーを獲得しようとしたりもしません。

ただ、パワーの問題を抱えているセラピストのほとんどは、クライアントを故意にコントロールしようとしているのではないと思います。人をコントロールすることにより、パワーを得て、強くなったように感じて、自分を満たそうとする人の多くは、無意識でそれを行いますから。

いずれにせよ、人間、誰でもエネルギーを吸い取られるのは嫌だし、コントロールされるのは嫌なものです。心の奥底では、誰もがみんな、自分の自由意思を尊重してほしいと思っています。だから、権力を利用して、自由意思に反した押しつけをしようとする人に合うと、私たちは通常、反発を感じます。(共依存の人は、最初は気づくのが遅れるかもしれませんが、やっぱり最終的には嫌になるはずです。)

なので、最終的には、クライアントはコントロール欲求の強いセラピストからは、離れて行ってしまうものですが、その前に、クライアントが傷つく体験を余儀なくされるということは、とても遺憾に思います。すでに心に傷を負っていて、無防備な状態で助けを求めに来ている人たちであるから、なおさら・・・。

セラピストも医者も完璧な人間ではないので、間違うことはありますし、力が足りないということもあり得ます。治療家や施術者の言うことが絶対ということはありません。

専門的知識がある人だから、「立場が上の人」だから(初めに書いたように、本当は、人間として立場が上とか下ということはありません)といって、その人の言葉を鵜呑みにする必要はないのです。クライアントは、自分自身の感性を信じて識別し、自らを尊重して、最善の道を選択してほしいと思います。

 

                                               (Chika)

 

 

 

 

 

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