盛岡心理カウンセリング・ハミングバード

ハミングバードは、心理療法カウンセリングのセラピールームです

お問合せ: 019-681-2268 (完全予約制です。ご予約の際は、留守電にご連絡先を残していただくか下記お問い合わせフォームよりメールでご連絡ください。)
☆営業時間:9時~18時  定休日:第二、第四土曜、日曜、祝日

メンタルヘルス

勇気を作る方法


最初から勇気のある人はあまりいません。 怖いけれど、逃げない選択をしている人が、勇敢な人になります。

なぜなら、勇気は、怖いことから逃げないで、前向きに向かうときに生み出されるパワーが蓄積して、作られていくものだからです。

なので、勇気は、鍛錬して増やしていくことができます。

「よし、怖いけど、向かっていこう」と決心した時に、自分の中に、目に見えないけれど一種のエネルギーが発生するのですが、これが丹田のパワーを増やしていきます。

丹田のパワーが増えると、地に足がつき、ものに動じない人になっていきます。些細なことを気にしない、心も安定した人にもなります。

逆に、大変そうなことがあると、すぐに逃げ出す選択をすると、丹田の力は養われず、自分の力は弱まっていき、不安気質にさらに拍車をかけてしまうことになります。

逃げれば逃げるほど、大変なことに対する恐怖心は増えていき、困難なことに対するパワーは失われて行くでしょう。ストレスによわい人、環境要因に作用されやすい人になってしまいます。

どうしても怖かったら逃げてもいいのですが(弘法大師もそういっているので)、「怖いけれど逃げない」という選択を、できる範囲で増やしていくと、胆力が増強されて、自信がついていきます。

自信とは、「自分を信じる」という意味です。

逃げてばかりいる人を、信じられるかというと、信じられないでしょう。怖くても向かっていく人は、頼もしく、頼りにしたくなるはずです。

自己信頼は、物事に対し、自分がどうあることを選択するか、自分を信じ、尊敬できるような選択をするかどうかによって培われるものです。

信じることの大切さ

最近、カウンセリングに、幼少期、壮絶な生い立ちだった方がよくいらっしゃいます。

そういう人たちを見ていて思うのは、その経験があっても、なお、人を信じる気持ちが少しでも持てるかどうかで、違いが出てくるということ。

人によってひどく傷つけられた人が、人を信じにくくなることは自然なことだと思います。

それが傷つかないよう身を守ることにもなるので。

だけど、人間不信が強く、人も世界も自分からすべて締め出してしまうと、そこに救いはありません。そういう人を助けるのは非常に困難です。人を信じられないという人は、結局のところ、自分も信じられない人が多い。

思いやりのある、誠実な人はきっといる、いつかそういう人に出会いたい、と思うだけでも、全然、救いようがあります。そのすき間から光が入っていって、広がっていけるから。違う言い方をすると、その人の奥に埋もれている光が、その隙間から出てこられるのです。

実際のところ、世界は真っ黒ではなく、真っ白でもない。黒も白も混在している(正確には、黒よりのグレーか白よりのグレー)。同じ人が、時と場合によって、白っぽくなったり黒っぽくなったりもする。みんな、いろいろな経験をしてもまれながら、だんだん白く純化してくのを目指しているのがこの世界です。

今日も、辛い目にあいつづけて、もう信じられない、でも信じたい、という人と、お話をしていたのですが、その人の顔に少しずつ光がさして、最初と最後とでは光の度合いが変ったのが印象的でした。この人は、これからの人生を、今までとは違う、明るいものにしていくことができるだろうと思えた次第です。

傾聴だけではよくならない

以前、傾聴のカウンセリングに500万円費やしたけど、よくならなかったという方にお会いしたことがあります。

時々、何十年も前のことを、少しも衰えない感情の熱で、昨日のことように話す方がいらっしゃいます。

吐き出して、受けとめてもらえ、共感してもらったら、その場ではすっきりするかもしれないけど、また、その感情が戻ってきて、吐き出さなければならなくなる。

その繰り返しを、何十年もしている。

こういう場合は、聞いてもらうことによって、一時的に慰めを得るかもしれないけど、作用はごく表面的なものであり、本当に癒しが起こっているわけではありません。

その人が、その感情を再現し、強化してしまっている、大元の意識を変えなければ、いつまでたっても同じ繰り返しになってしまいます。

大元の意識こそが、その人の感情の製造機なので、それを変えないとどうにもならない。

大元の意識は、思い癖という形で表に現れやすいです。

ちなみに、人のせいにしていると、永遠に続きますね。

大事なのは、本人が変わることなんだけど、人のせいにしていると、自分は変わろうとしないので。

あと、寂しいから話を聞いてもらいたい、とか、褒めたり、認めたりしてもらいたいとかいう理由だと、カウンセラーに限らず、他の人との関係であっても、一時の慰めだけで、問題は未解決のまま、繰り返されます。依存できる人がいると、やっぱり自分の問題を自分でどうにかするということをしなくてすむので。

ただ、未解決のまま、その場にとどまって足踏みをしている状態だと、レコードの溝をなぞるみたいにして、意識の中で溝を深めてしまうわけで、長く繰り返せば繰り返すほど、修復が困難になります。

不可能ではないですけど。

なので、傾聴だけでは人は変わらない場合が多々あります。(自分で気づけて変われる人はいますが、そういう人は、そもそも、傾聴もあまり必要ではない気がします。)

色々なやり方で(どんなやり方で、どう変えていくことが必要かは、その人によるので、一概にいえません)、その意識状態をいかに変えるか、がポイントになってくると思います。

怒りの対処法の奥義

アンガーマネジメントの具体的な方法は、色々いわれていますよね。

10秒数えるとか、その場を離れるとか、深呼吸するとか、そういう方法も一時的に怒りからくる衝動的な反応を回避するためには有効だと思います。

でも、そのやり方では、一時しのぎにしかならず、怒りが戻ってくる可能性があります。

本質的に怒りを鎮めるために有効なのは、怒りを引き起こした(と自分が思っている=本当は相手が引き起こしたのではなく、自分自身が怒りで反応しただけ)相手ではなく、自分の心の中に生じた怒りに目を向けること。

私たちがやりがちなのは、相手を物理的または心理的に追いかけ、相手を責めたり、悪口や不平不満を並べたりして、いかに相手が悪いか、間違っているかに焦点を当てることです。

でも、それは怒りを増して、悪化させる方法にほかならないんですよね。これを続けると、被害者意識が根付き、怒りが恨みに変わり、下手をすると、何年も何十年も、過ぎた出来事に付着した自分の感情にさいなまれ、苦しまねばならなくなる場合もあります。

本当は、相手を追うのをやめ、自分の心の中に入っていき、自分の怒りを認識するいこと。さらには、怒りの後ろに隠れている痛みを見てあげることが大切なのです。

「ああ、自分は腹が立っているんだな。傷ついたんだな。心が悲鳴をあげて、思わず相手を攻撃しようとしている。無理もないな。すごく嫌な体験をしたな。」

といった具合に、自分の心の状態を感じ取り、理解してあげる。

ただそれだけで、怒りはものの数分、いや、数十秒で、さっきよりも落ち着いて、気持ちがおだやかになります。

自分の感情に気づいて、しばらくの間、ただ感じてあげると、その感情は消えていくようにできています。(その際、その感情をいい悪い、正しい間違っているで判断しないこと、無理に変えようとしないことがポイント)。

怒りだけではなく、すべての感情は、気づいて観てあげると消えていきます。

怒りを感じたときは、外側ではなく、内側に意識を向けること。

これが、アンガーマネージメントの奥義です。

生命力を半減させるもの

感情を抑圧すると、例えていうなら、自分というエネルギーシステムに、電流が半分しか流れないみたいになります。

生命力が半減するといったいメージ(厳密によると、少し減るのか、半分減るのか、半分以上減るのかは、その人の状態によります)。

そうなると、フルに生きていないということになります。

生き生き物事を感じられないだろうし、気持ちも鈍くなるし、体も重くなる。

かつ、抑圧という不自然なことをしつづけるのには、潜在的にものすごく力を使うので、しんどいし、疲れる。

慢性的に疲れやすくなるでしょう。

本当は、気持ちは外に出ていきたいもの。

感じることを許せば、解き放たれる。

無理に止めてしまわなければ、電流のように心と体を駆け巡り、伝達したいことを伝えた後に、感情は出ていき、消滅してしまいます。

そうなると、私たちは再び、楽に、軽くなり、生命力はフルに回転しつづけるものです。

ポジティブサイコロジー

人間の脳は、太古の昔から、ポジティブなことよりネガティブなことをより多く捉え、長く記憶するようにできています。これは、人間がまだ原始的な生活を送ってきた頃、危険を察知し、記憶に刻み、未来の危険から身を守るよう学習することが役に立っていたからなのです。

けれども、昔のように生存を脅かされるような危険が少ない現代では、ネガティブなことにばかりフォーカスする脳は、必要がないばかりか、不幸せな精神状態を作り出し、鬱や不安の温床にもなりかねません。

ネガティブなことを多く考える脳の状態を変えるには、ポジティブなことにも焦点を当てるよう、意識的な訓練が必要である、という概念に基づいて作られたのが、ポシティブサイコロジーという療法です。

今日は、ポジティブサイコロジーの中でも、比較的よく知られているエクササイズを1つご紹介しましょう。

...☆彡...☆彡...☆彡...☆彡...☆彡...☆彡...☆彡


エクササイズ:「3つのいいできごと」日記

少なくとも2週間の間、毎晩、寝る前に、その日に起こったよかったことを思い浮かべて、3つ書き出してください。

どういう風にそれが起こったのかをよく思い出してください。また、どうしてそれが起こったか、その出来事に自分がどう貢献したかも考えてください。同僚が缶コーヒーをおごってくれた、友達が久しぶりに連絡をくれた、車で運転中、誰かが道を譲ってくれた、誰かの親切を目撃したなど。大きなできごとでも、ささいなできごとでも結構です。

例)今日起こったいいこと

できごと(1):

今日は仕事に集中して頑張れた。特にミスもなく、1日の終わりには快い疲れと達成感を得られた。

どうしてそれが起こったか・自分がどう貢献したか:

昨夜、スマホをだらだら見ないで早く寝たおかげで、頭がすっきりして集中力を保てた。

できごと(2):

夕飯に、自分の好きな生姜焼きとアボガドのサラダが出て、おいしく食べた。

どうしてそれが起こったか・自分がどう貢献したか:

前回、生姜焼きやアボガドのサラダが出た時、奥さんに、「これ、おいしい。ありがとう。」「また食べたい。」と、好きだという意思表示と感謝の気持ちを伝えた。

できごと(3):

 今日は天気がよくて、空がきれいだった。

どうしてそれが起こったか・自分がどう貢献したか:

心配なごとにふけるのをやめて、天気に気づき、空を見る時間を持った。


...☆彡...☆彡...☆彡...☆彡...☆彡...☆彡...☆彡


そのできごとがなぜ起こったか、それにに自分がどう貢献したかを考えることは、そのできごとの要因をはっきりさせ、よいことは自分の力で起こすことができる、人生を自分でコントロールし、幸せな現実を作っていけるという認識を促し、そのような行動の動機づけになります。

そのできごとを思い起こして、自分の幸運や目にした親切を、じっくり味わってください。その時の感情を思い起こし、感覚に刻むことで、セロトニン(気分の落ち着きに関係する)やドーパミン(幸福感に関係する)が増えるなどのよい変化が脳内の神経物質に起こり、また、ポジティブ思考が起こりやすくなるよう、脳内の神経回路(正確には、脳神経をつなぐ神経節細胞)がつながっていきます。これを繰り返すことで、ポジティブ思考になりやすい脳に変化していきます。



参考文献:

Knnedy, A: Positive Psychology: Exercises for building happiness-Part 1. Retrieved from https://www.alustforlife.com/tools/mental-health-positive-psychology-excercises-for-happiness-part-1

19 Positive psychology Exercises To Do With Clients or Studentshttps:// positivepsychology.com/positive-psychology-exercises/


即席自信アップ法

自信を増やすための、簡易的で即効性のあるやり方をご紹介します。

それは、丹田(おへその下)を意識し、ここに力を入れること。

そうすると、自然に姿勢がよくなり、体が安定します。

姿勢がよくなると、体を流れているエネルギーの通りもよくなります。

自信にあふれている人で、しおれた野菜みたいに前かがみになってうなだれる人はいないと思います。

自信があって堂々としている人は、姿勢よく、胸を張ります。

丹田を意識して力をいれると、自信があって堂々としている人の身体のポジションになるわけです。

こうして、形から入ることで、気持ちも変化させることも可能です。

インドには、ムードラといって、指でいろいろな形をつくることで、心身のエネルギーを変えるやり方が伝わっています。仏様の手印ですね。

普段から自分を信じて、前向きでいるためには、その人が標準にしている意識状態を変えていく必要であり、もちろん、それは、一時、姿勢を変えるだけで達成できるものではありません。

けれども、丹田に力を入れるだけで、例え一時であっても、瞬間的に気が下がって、エネルギー強化されます(気が上がっているときは、不安になりやすいく、気が下にあるほうが、重心が下がり、安定します)。それに従い、不安な状態から、落ち着いた強い状態に心身が変化するのを、多くの人は、多少なりとも実感できると思います。

歩くときも、(最初のうちだけでも。ずっとでは疲れるでしょうから)丹田を意識しながら歩くと、視点が以前よりポジティブになり、世界が変わって見えると思います。よかったら試してみてください。

カウンセリングを有効にするもの

先日、クライアントさんに、どうやれば有効なカウンセリングができるのか?といった趣旨の質問をされました。

「こんなことができるのは、やっぱり技術や知識があるからなんですか?」

と。

その方は、とても素直で反応が早い方で、そのせいもあって、セッション開始時と、終了時では、気分がまったく変わり、打って変わって元気になって帰られたのですが、帰られる間際にその質問を受けました。その時は、正直、なんて答えようか、戸惑ってしまいました。

技術や知識が最重要でないことは確かです。それが全く必要ないとは言わないし、あったほうがいいのだろうけど、技術や知識だけではいいカウンセリングはできないというのが、私の考えです。

確かに、私はアメリカの大学院で心理セラピーを学び、その後もいまだに多くの専門的なセミナーに参加して、知識を増やし、スキルアップを図るよう心掛けてはいますが(なぜなら、そうしないと2年ごとに更新されるアメリカのカウンセラー免許を維持できないシステムになっているので)それだけではありません。それに、知識や技術の面でいうと、私にはまだ学ぶことはたくさんあり、十分あるとは思っていません。

ただ、頭だけの知識だけが下手にたくさんあったとしても、それを心に落とし込んでいないと、真理にならず、現実では役に立たないと思います。かえって表面的なセッションに終始してしまい、クライアントさんの心の深いところまで変えることはできなかったり、知識が邪魔をして、ほんとうにクライアントさんが必要としていることを見誤ったりすると思います。

例えば、認知行動療法の知識があっても、それが効果的なクライアントさんとそうでないクライアントさんがあり、また、同じクライアントさんでも、それが必要な場合とそうでない場合があります。それはその人と対したときに、感覚でわかります。だけど、特に日本では、例えば、ここでは認知行動療法を使うという前提が先にあって、どんな人にも、どんな場合にも、それを当てはめようと、頭で考えた治療を行うことが多い気がします。日本は精神医療が発展途上なので、まだいろんな療法を使いこなせる専門家が少ないというのもあるのでしょうが、本当に効果的なカウンセリングは、なんとか療法といったセオリーを越えたところにあると私は思います。

私がセッションをするときは、この症状だからこの療法を使おうとか、このスキルを使おうとか、あらかじめ準備することはいっさいありません。そんなふうに頭で分析してセッションに臨んでも、実際にクライアントさんと対面してその方の心の状態や問題を感じ取ったときに、それがあてはまることがほぼ皆無であることを、経験上わかっているからです。例えそのナントカ療法が有効なクライアントさんであっても、実際に目の前にその方が座ると、その方が、今、その場で欲しているのはそれではないことが大変多いです。

セッション前に、頭を動かして準備をする代わりに、私が心がけているのは、自分を空っぽにすることです。可能であれば、少なくとも数分前までにはほかのことをやめて、思考を静めて心を落ち着け、自分をニュートラルな状態にします。

クライアントさんとセッション中には、何をしているかというと、割と近年になって気づいたのですが、いわば、クライアントさんの周りに漂っている見えない情報を感じ取って読み取る、という作業を、ほぼ無意識にいつもやっている気がします。多分、いわゆるオーラを読み取るというのに近いのだと思いますが、私は霊能者ではないので、読み取る情報がスピリチュアルなものではなく、感情とか思考とか、或いは意識状態、心の状態などに限られてはいるのですが。

それから、もうひとつ秘訣があるとしたら、わりと頻繁に、祈りに似た念を向けながらカウンセリングをします。セッションが始まる前や、特に難しい局面にはセッションの最中であっても、目の前の方にとって最善が起こりますよう、幸せになられますようにと、祈るような意図を持つようにしています。

最近、インドの有名なアーユルヴェーダ医に治療してもらった人の話をマンガで読んだのですが、その時、そのお医者さんが、1日の始まりに、まず、アーユルヴェーダ神様に祈りをささげてから治療を始めるというのを見て、なるほど、やっぱりそうか、意図って大事なんだと思ったことがあります(私は、治療者として、まだまだその高名なお医者さんの足元にも及ばないので、自分と同じだなんておこがましいことは言うつもりはないのですが。)

私がすべてのクライアントさんに効果的なセッションができているとは限りませんが(そうなりたいですが)、ただ、あえて言うなら、上記に書いたようなことが、私の場合は、知識やスキルそのものよりも、カウンセリングに重要な役割を果たしているような気がします。


摂食障害について

摂食障害に悩む人は多いと思います。

摂食障害は、完治するのに比較的長くかかる精神疾患で、通常のカウンセリングではなかなか回復しにくいのではないかと思います。摂食障害の専門家の治療を受けるのが望ましいでしょうが、なかなかそういう専門家は日本では見つけにくいと思います。アメリカでは、摂食障害の人専門の入院施設があって、食べるところから指導して治療していました。

私は摂食障害の専門家ではないのですが、摂食障害で悩んでいる方が時々いらっしゃるので、何かの役に立つかと思い、アメリカのオンラインセミナーを先日受けてみました。このセミナーは、摂食障害の中でも、特に、過食症にフォーカスしたものでしたが、いい内容だったので、参考までに、少しシェアしたいと思います。

まず、過食症になりやすい人。気質的に、完ぺき主義、衝動的、白黒思考が強い人(こうあるべき、いい・悪い、正しい・間違っているの判断が強い人)、離人症的(ぼーっとしていて、意識が飛びやすい人)がなりやすい。その他、不安や鬱、ダイエットや食事制限、外見や体重のことでいじめを受けたり、恥の気持ちが強い人がなりやすいです。

過食症の人は、食べた後吐いたり、下剤を使ったり、絶食したりして、無理なダイエットをしがちですが、これは全くの逆効果です。ダイエットという行為自体が、過食を引き起す原因になってしまうからです。過食をやめるためにダイエットすると、脳や体が食べることを渇望するようになり、感情はイライラして乱れるということが、自然の摂理として起こってきます。過食をやめたければ、体重を減らすことを目標にするのではなく、健康やボディイメージに対する概念をよりよいものにすること、よりよいセルフケアを目指すことが必要不可欠です。

過食症を直すためには、調和的な食べ方(attuned eating)をする必要があります。ダイエット=厳格、過食=混沌、調和的な食べ方=統合。つまり、欲求を極度に制限するのではなく、かといって、欲望のままに無秩序な食べ方をするわけでもない。その二極を統合するということ。要するに、自分の心と体の声を聴いて、それと調和した食べ方をするということが大切というわけです。

調和的な食べ方をするために、知っておくべきことは、

「いつ」「何を」「どのくらい」の3つです。

◎あなたはいつ自分がおなかがすいているか、知っていますか。

◎たくさんの種類の食べ物のなかから、自分がいま、何を食べたいか、知っていますか。

◎おなかがいっぱいになって満足したとき、食べるのをやめますか。

この3つの質問がカギになります。

「いつ」に関しては、

1.飢えている

2.とてもおなかが空いている

3.おなかが空いている

4.ちょっとおなかが空いている

5.おなかが空いているわけでも、満腹なわけでもない

6.ちょっとおなかがいっぱい

7.おなかがいっぱい

8.すごくおなかがいっぱい

9.満腹で苦しい

の中から、その都度選びます。

「何を」に関しては

暑い、冷たい、歯ごたえがいい、やわらかい、なめらかな、しょっぱい、辛い、甘い、味がたんぱくな、たんぱく質、炭水化物、脂っぽいもの、の中から選びます。

「どのくらい」に関しては、

◎調和(おなかがすいているかどうか、何を食べたいか、どのくらい食べる必要があるかを考え、それに適合した食べ方をする)

◎意図(食べ終わった後、どう感じたいか。上記の1~9のうち、体が心地いいと思うのはどれか、を意識する)

◎マインドフル(味、香り、見た目、触感に注意を向け、食べていることを意識しながら食べる、体がどう感じるかを意識しつつ食べ、体が満たされたらやめる)

の3つを心がけるといいでしょう。

例えば、ファストフードのハンバーガー=悪い、オーガニックのサラダ=いい、と頭で決めつけないことが大事です。白黒思考は、過食を引き起こしやすいメンタリティーでしたね。それよりも、体が何をどのくらい欲しているかに注意を向けます。ファストフードのハンバーガーを体が欲しているなら、それを、体が必要な分だけ食べるほうが、満足を覚えて、過食しにくくなる場合もあるというわけです。

過食してしまうとき、感情をコントロールするために食べてしまうことがあります。気持ちを「なだめる」「気をそらす」「心地よくせる」「麻痺させる」「落ち着かせる」ために、食べ物を使うのです。そういうときには、感情的になって過食してしまった自分に腹を立てるのではなく、「おなかがすいていないのに、食べ物に手を伸ばしてしまったな。何かで気持ちが乱れているんだね。」自分に対して優しい慈悲の気持ちを向けることが大切です。そして、自分が本当は何に満たされないのか、どんな感情があって、どうしたらそれが満たされるのかに、ちゃんと気づいて、ケアしてあげること。

もし、自分の見た目を恥じてダイエットと過食を繰り返している人がいたら、自分のボディイメージを改善するために、こんな方法を試してみてください。

1.最後に言ってしまった(考えてしまった)自分の身体に関する悪口を、パソコンやスマホに打つ。

2.消去する

3.自分の身体をいつくしむ言葉を打ち直す

あるいは、体重計に、「この目盛りは、自分の価値がどのくらいか、家族や友達がどのくらい好きになってくれるかとは無関係だ。私は今のままでも価値があり、自分次第で、今、この瞬間、幸せでいることができる。」と書くなどしてもいいでしょう。

基本的に必要なのは、気持ちを落ち着かせて、心に静けさを持ち、自分自身とつながる時間を持つこと。それを練習すること。そうすれば、心身の声を聴くことが上手になってくるので、体が喜ぶものを、必要なだけ食べられるようになってくるでしょうし、心が幸せでない理由もわかって、それを自分で修正することもできるようになってくるでしょう。

(参考資料:Matz, J. (2018) Emotional Eating, Chronic Dieting, Bingeing and Body Image: What Every Clinician Needs to Know. Pesi Degital Seminar.)

 

 

 

 

 

思考や感情にとらわれない方法

どんな思考や感情も、一時的に訪れているものにすぎません。

自分の考えや感情にとらわれているときは、それにどっぷりとつかっているので、自分がその考えや気持ちと一体化しているような感覚を覚えるでしょう。

でも、あなたという存在は、あなたが持っている思いや気持ちよりも、もっとずっと大きな、ゆるぎない存在です。思いや気持ちには実態がなく、現れては消えていくものです。自分に一時的に訪れて、体験されるものにすぎない。それを忘れないようにしましょう。

その為に役に立つこととして、自分が今持っている思いや気持ちを、一歩引いて眺めるという方法があります。

「今、自分は、あの人の悪口を延々頭の中で繰り返しているな。」

「さっきから、なんとかあれを避けようとして、頭の中で言い訳を考えているな。」

「今、自分は怒っているんだな。」

「すごく恥ずかしくて、プライドが傷ついたから、重苦しい気持ちでいるんだな。」

など、自分の考えていることや、抱いている気持ちを、一歩引いて眺めると、その時点ですでに、思考や感情に取り込まれて一体化している状態から抜け出すことができます。

客観的に距離をもって、対象として眺めてると、思考や感情と、自分が分離します。取り込まれている状態だと、思考や感情に支配(コントロール)されて身動きができないのですが、分離していると、自分がそれをコントロールする余地ができるわけです。

そういう難しことを考えなくても、自分の思いや気持ちをありのまま眺めると、思いや気持ちの自分に対する効力が、例え少しであっても確実に弱まるので、ちょっと楽になるはずです。

感情コントロールのコツのひとつなので、感情に翻弄されやすいと感じる人は、やってみてはいかがでしょうか。