人間の脳は、太古の昔から、ポジティブなことよりネガティブなことをより多く捉え、長く記憶するようにできています。これは、人間がまだ原始的な生活を送ってきた頃、危険を察知し、記憶に刻み、未来の危険から身を守るよう学習することが役に立っていたからなのです。
けれども、昔のように生存を脅かされるような危険が少ない現代では、ネガティブなことにばかりフォーカスする脳は、必要がないばかりか、不幸せな精神状態を作り出し、鬱や不安の温床にもなりかねません。
ネガティブなことを多く考える脳の状態を変えるには、ポジティブなことにも焦点を当てるよう、意識的な訓練が必要である、という概念に基づいて作られたのが、ポシティブサイコロジーという療法です。
今日は、ポジティブサイコロジーの中でも、比較的よく知られているエクササイズを1つご紹介しましょう。
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エクササイズ:「3つのいいできごと」日記
少なくとも2週間の間、毎晩、寝る前に、その日に起こったよかったことを思い浮かべて、3つ書き出してください。
どういう風にそれが起こったのかをよく思い出してください。また、どうしてそれが起こったか、その出来事に自分がどう貢献したかも考えてください。同僚が缶コーヒーをおごってくれた、友達が久しぶりに連絡をくれた、車で運転中、誰かが道を譲ってくれた、誰かの親切を目撃したなど。大きなできごとでも、ささいなできごとでも結構です。
例)今日起こったいいこと
できごと(1):
今日は仕事に集中して頑張れた。特にミスもなく、1日の終わりには快い疲れと達成感を得られた。
どうしてそれが起こったか・自分がどう貢献したか:
昨夜、スマホをだらだら見ないで早く寝たおかげで、頭がすっきりして集中力を保てた。
できごと(2):
夕飯に、自分の好きな生姜焼きとアボガドのサラダが出て、おいしく食べた。
どうしてそれが起こったか・自分がどう貢献したか:
前回、生姜焼きやアボガドのサラダが出た時、奥さんに、「これ、おいしい。ありがとう。」「また食べたい。」と、好きだという意思表示と感謝の気持ちを伝えた。
できごと(3):
今日は天気がよくて、空がきれいだった。
どうしてそれが起こったか・自分がどう貢献したか:
心配なごとにふけるのをやめて、天気に気づき、空を見る時間を持った。
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そのできごとがなぜ起こったか、それにに自分がどう貢献したかを考えることは、そのできごとの要因をはっきりさせ、よいことは自分の力で起こすことができる、人生を自分でコントロールし、幸せな現実を作っていけるという認識を促し、そのような行動の動機づけになります。
そのできごとを思い起こして、自分の幸運や目にした親切を、じっくり味わってください。その時の感情を思い起こし、感覚に刻むことで、セロトニン(気分の落ち着きに関係する)やドーパミン(幸福感に関係する)が増えるなどのよい変化が脳内の神経物質に起こり、また、ポジティブ思考が起こりやすくなるよう、脳内の神経回路(正確には、脳神経をつなぐ神経節細胞)がつながっていきます。これを繰り返すことで、ポジティブ思考になりやすい脳に変化していきます。
参考文献:
Knnedy, A: Positive Psychology: Exercises for building happiness-Part 1. Retrieved from https://www.alustforlife.com/tools/mental-health-positive-psychology-excercises-for-happiness-part-1
19 Positive psychology Exercises To Do With Clients or Studentshttps:// positivepsychology.com/positive-psychology-exercises/