盛岡心理カウンセリング・ハミングバード

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17日

認知行動療法について

「ネガティブな思考は、意識の奥深くに潜んでいる、機能不全の信念(思い込み)や前提からくる。これらの信念が、人生の様々な状況やできごとに触発されると、うつが発症する。この機能不全の思考を変える努力をすれば、多くの心理的な症状から解放される。」

これは、認知行動療法の発案者の一人、アーロン・ベックの唱えた説です。


認知行動療法は、いちばんよく研究され、効果が実証されている心理療法です。

人は、何かできごとを体験すると、思考、感情、行動、この3つにおいて、反応します。

例えば、「先生に怒られた」というできごとを体験した場合。人や状況によって異なりますが、

思考においては、「自分はダメな人間だ。」

感情においては、恥、落ち込み、悲しみ。

行動においては、無口になり、引きこもりがちになる、等が起こると考えられます。

思考、感情、行動の3つは、お互いに影響しあっています。なので、この3つのうちの1つを変えると、他の2つも必然的に影響を受けて変わります。

3つのうち、直接変えることが一番難しいのは、感情です。

思考と行動は、自分の意志で変えることが、可能であり、思考か行動を変えると、感情もおのずと変化します。

ごく簡単に言うと、「思考(認知)を変えることによって、感情を変える」のが認知療法、「行動を変えることによって、感情を変える」のが行動療法、「思考と行動を変えることによって、感情を変える」のが、認知行動療法です。

例えば、「自分はダメな人間だ」という思考を、「先生は今日は機嫌が悪かっただけだ」「怒られたのは自分だけではない」「先生は、自分のとった行動の一部を否定しただけで、人格が全否定されたわけではない」等に変えてあげると、恥や落ち込み、悲しみといった感情が和らいだりします。

また、無口になって引きこもりがちになる、という行動を、あえて、信頼する友達に打ち明ける、外に遊びにいって気分転換する、というふうに変えてあげると、やっぱり、感情の部分に変化が起こるはずです。

認知行動療法は、うつや不安の症状によく使われる、一般的な療法です。

利点としては、比較的単純明快であり、自分で実践することができること、短期間の間に効果が得られる可能性があるということ。

弱点としては、抽象的な理念や、論理的思考が苦手な人には使いづらいこと、また、深い感情的なトラウマには効果が薄いということがあげられると思います。

アメリカでは、やたらと、認知行動療法を使え、と奨励する風潮があります。

アメリカでは心理療法にも保険が適用されるのですが、保険会社によってはその期間が限られていることがよくあって、短期間で行える療法が使い勝手がいいため、という事情が、この風潮の裏にあります。また、論理思考、左脳的思考が好きな欧米人に向いているから、というのもいえると思います。

私の考えでは、認知行動療法は、確かに、比較的浅い、日常的な悩みには、効果的で便利な方法だと思います。
また、「視点(ものごとをどう捉えるか)が、その人の生きる世界を作っている」という認知行動療法の前提となる考え方は、まぎれもない真実であり、そこに気づくことは、幸せな人生を築くにために、とても有用だと思います。

ただ、心理療法としては、限界があり、特に根が深いトラウマや、長期的に抑圧された感情が元になっている症状の場合、認知行動療法では役不足だと感じることが多いです。なぜなら、思考が司る範囲は、顕在意識で認知された部分であり、実際、心の問題というのは、思考よりももっとずっと奥深いところに根差していることが多いからです。

例えば、家もお金もすべてを失って、

「 ポジティブシンキングでいこう。物がすべてではない。やり直しはいくらでもできる。」

と、自分にいいきかせて、頭(思考)を切り替えて、新しいスタートを切ろうとしても、心が納得しないので、気持ちがついていかないでしょう。

この場合、心に自然に湧き起こってくる喪失感、虚しさ、悲しさ、怒りなどの気持ちを認め、ちゃんと悲嘆してからでないと、再出発することはできないだろうし、無理に切り替えようとすると、おそらく後で心にもっと負担を抱えることになります。

つまるところ、心という実体のないものを治療するにあたり、万能の療法というのはありません。人によっても合う方法、合わない方法があるし、同じ人でも、プロセスによって異なる方法が必要になる場合はあると思います。

私個人としては、複数の療法を、その人の性質や状況によって、使い分けるのが、効果的な心の治療を施すにあたり、必要だと思っています。
                                              (Chika)
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