盛岡心理カウンセリング・ハミングバード

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11日

心のお医者さんの選び方

 

私がアメリカから帰国して、日本の精神医療事情を初めて知ったとき、ショックを受けたことは多々あるのですが、その一つに、処方薬の多さがあります。

あまりにも多種類の、重複した薬を出しすぎているように思います。「不安」というひとつの症状に、5種類も6種類も薬が処方される。

私は精神療法士なので、精神科医や心療内科医と違って、薬の処方はできませんし、薬物療法は専門外なので、意見する筋合いはないのかもしれません。それでもアメリカでは私たちは精神科医とチームを組んで共通の患者を治療するので、どういう症状の人にどういう薬がどのくらい処方されているかは、割合よく把握していました。

アメリカでは日本以上に向精神薬の処方薬の依存が問題になっており、何年も何十年も向不安薬や麻酔的な作用のある痛み止めを飲み続けた人が、それなしでは生きていけなくなる姿を、実際に私も見てきました。そういう薬に依存してしまうと、麻薬と同じで、薬が切れると強い不安に耐えられず、半狂乱になったりします。そして、薬を手に入れるためならなんでもするようになる。慢性的な痛みがあって痛みどめを処方されている自分の母親のかばんから、薬を全部盗み出すことを繰り返す。母親は娘に盗まれないよう枕の下に薬を隠して寝ている、というケースも割合よくありました。こういう場合、娘の薬への依存のために、親子関係もひどく傷ついてしまっていました。

特にベンゾ系の向不安薬は、即効性がある代わりに依存性が高いので知られています。その結果、やめられなくなり処方した医者が訴えられるということが多くなり、ベンゾ系の薬はもうアメリカでは処方されなくなってきました。日本では、おそらくまだ一番多く処方されている薬の一つですが、アメリカに持ち込めば、麻薬扱いで処罰されます。

向精神薬を飲みすぎて薬漬けになっている人の顔は、見ただけでわかります。表情に生気がありません。向精神薬は、丹田に蓄積されている生命エネルギーを大幅に奪うので、人を無気力にします。活力を奪うだけでなく、集中力、記憶力も鈍らせ、意志の力も奪ってしまう。だから、自分の心を自分の意志でコントロールする力は低下します。自分の心をコントロールできなくて、どうやって心を健康な状態に戻せるでしょう。

もちろん、このようなデメリットがあっても、向精神薬を飲むメリットの方が大きい場合も、中にはあるでしょう。飲まなければ自傷他害しかねないほど心が不安定な場合などは、薬を飲んだほうがいいと私も思います。

でも、薬を飲むことにより、余計症状をひどくしている場合や、もともとの症状以外に、体調を悪化させる等、別の症状を引き起こしている場合も、多々見受けられるのも事実です。

こういうことを踏まえて、精神科医や心療内科医にどうしてもかからなければならないというなら、副作用を訴えたとき、ちゃんと耳を傾けてくれる先生を選ぶよう、お勧めします。それと、薬を処方するとき、それが何の薬で、どういう作用があり、どういう副作用があるかまで、ちゃんと教えてくれる人。向精神薬に副作用はつきものです。そこまでちゃんと説明してくれるお医者さんは、少なくとも誠意があると思います。

これは、身体のお医者さんにも言えることですが、心のお医者さんものいうことも、権威のある人だからといって鵜呑みにしないこと。誤診というのは残念ながら実際あるので。(それも残念ながらよくあることです。)

心の問題には必ず原因があります。原因を見ないで、表面に出ている症状だけを薬で抑えるというのは、根本的解決にはならないです。たぶん、今の日本の精神医療システムでは、ちゃんと原因まで探って根本的治療をするというのが時間的にもその他の事情的にも難しいのでしょうが、「この人、そんなにたくさん薬を飲み続けなくても、治るのに。(っていうか、薬を飲み続けても、ここを改善しなきゃ治らないのに。)」と思う人が巷にあまりにもたくさんいて、本当に歯がゆいです。

そこまで薬に頼らなくても、心の治療ができるようなシステムが、早く日本にできたらいいのに、と切に願う今日この頃です。                                                                                                                                                      

 

 

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