盛岡心理カウンセリング・ハミングバード

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20日

赤ちゃんの素晴らしい能力

子どもは、お母さんのお腹の中にいた頃の体験を覚えていると聞いたことがあるので、我が娘が2~3歳の頃に尋ねてみたことがあります。

長女は、「ロープで縄跳びをした。」といい、二女は、「暗くて、温かくて、気持ち良くて、ザーザーと音がした。」と言いました。

ロープはへその緒でしょうか。長女は、活発で、じっとしていない子どもでしたから、縄跳びと答えた時は、あまりにも、長女らしい回答でしたので、可笑しくて、大笑いしたのを覚えています。

長女の愉快な発言に比して、二女の言葉は、ドキッとするほど、子宮内空間を的確に表現していました。何より、すでに、五感が発達しており、快・不快の感覚を身につけていたのだということを証言しているようで、我が子でありながらも、我が子でないような不思議な感覚に襲われ、畏敬の念を抱いたことを覚えています。

赤ちゃんは、生まれながらにして、多くの力を身につけているといいます。

生まれたばかりでも、お母さんの胸に抱かれると、即座におっぱいを探します。そして、お母さんが声をかけると、まるで、お母さんの声に耳を澄ましているように、ふと、動きが止まります。「お腹の中で聞いた声と同じだ‥」とでも思っているのでしょうか。

お腹の中は、長い間、気持ち良く、安心する場所として過ごしてきましたので、その時に聞こえたお母さんの声は、赤ちゃんにとって、安心安全なものということになります。

妊娠中の10か月は、お母さんと赤ちゃんの絆を育む期間なのですね。

視力は、ちょうど、赤ちゃんがおっぱいを飲む位置から、お母さんの顔までの距離くらいは、ぼんやりと見えるといわれています。これは、私の勝手な解釈ですが、この話を聞いた時に、きっと、神様がおっぱいを飲む時間を使って、安心安全な感覚を覚えさせた声の主の顔を認識できるように授けてくれたのだと思いました。

他にも、寝ている時に大きな音がすると、ビクッと反応しますが、同じ音を何度も聞かせていると反応しなくなるという、「慣れ反応」とか、ストレスを感じると自らをなだめようとする、「なだめ反応」など、赤ちゃんには、生まれながらにして外界の刺激と付き合っていく力が備わっているそうです。

以前、赤ちゃん訪問の仕事をしていた頃、赤ちゃんが示す様々な反応や能力について、できるだけ説明するように心がけていました。
「ちゃんと、声は聞こえていますよ。」
「お母さんの声には、ことさら、反応しますね。」
「お母さんの顔をじっと見ていますよ。」
「テレビの音よりもお母さんの声の方によく反応しますね。日頃、よく声をかけているからですよ。」 etc‥‥

生まれたばかりでも、反応は千差万別、持って生まれた個性でしょうか。本当に一人一人違います。

嬉しいことに、その説明を受けたお母さん方は皆さん、パッと表情が明るくなり、赤ちゃんをいっぱい褒めてくれていました。素直に嬉しかったです。

空腹やオムツの汚れなど、不快なことを泣いて訴える力や心地よいものを選択して、取り入れる力、そして、不快な感覚を自ら対処する力、これら全てを赤ちゃんは、生まれながらにして兼ね備えています。すなわち、厳しい外界に生まれても、強く生きていくための基本的な力はすでに持っている訳です。

生まれたばかりの赤ちゃんは無力で弱い存在と思うと、お母さんの不安がより一層大きくなるような気がしますが、このようなことを予め知っていると、子育ても楽しくなりそうな気がしませんか?

どうぞ、妊娠中のお母さん、出産されたばかりのお母さん、そして、それを見守るパートナーの皆さん、是非、赤ちゃんの素晴らしい能力を見つけ、感動し、そしていっぱい褒めてあげてください。そうすれば、赤ちゃんは、心地よく、安心安全な感覚に包まれ、一生涯、無意識の中に記憶され、心の安定につながることでしょう。

                                                                                                                                   (佐々木智恵)