盛岡心理カウンセリング・ハミングバード

ハミングバードは、心理療法カウンセリングのセラピールームです

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コミュニケーション術

頭じゃなくて心でしゃべる

コミュニケーションがうまくいかない人は、頭で考えてしゃべっていることが多いかもしれません。

例えば、「今日はいい天気だなあ」と、まず、心に感じて思ったとき、「今日はいい天気ですね」、と口にするのと、何か話をしないと気まずいし、天気の話でもしておこうか、と思って同じ言葉を口にするのとでは、違いがあります。前者は、心と言葉にギャップがないけれど、後者は、本当にそう感じたのではなく、頭で打算してしゃべっています。だから、心を伴っていない、形だけの言葉になってしまうわけです。

コミュニケーションは、意思伝達と訳せますが、本来、人がコミュニケーションをとるときは、言葉以前に、心で生まれた感覚的なものが先行して、それを言葉という形をつけて外に現わすという作業をするものです。

例えば、嫌です、という言葉を口にする前には、不快感が最初に心に生まれているはず。あれ、いいよね、という言葉を口にする前には、ぱっと明るい、高揚するような感覚がまず生まれているはずです。

心の感覚を純粋に言葉にして伝えると、言葉は一種のエネルギーを帯びるので、相手によく伝わり、相手にも影響を及ぼしやすいものです。

けれども、打算や下心があって、本当は思っていないのに言うと、それは中身のない形骸化された言葉に過ぎず、生き生きしたエネルギーを持ちません。

例えば、こういえば、相手によく思われるかな、嫌われないかな、とか、こういったらかっこよく聞こえるかな、とか。あるいは、なにも思いつかないけど、その場しのぎに何か言っておこうとか。そういうのが、打算や下心です。「うまく話そう」という思いもそうです。そうすると、かえってうまく話せないという逆説的な結果が生まれやすいです。

心を伴わない頭で考えた言葉は、生きたエネルギーを伴わないので、周囲にインパクトを与えず、与えたとしてもその場限りで、真の反響を生み出しません。(ロボットと会話するより、生の人間が会話するほうが、充実感を得られるのとも、同じような原理だと思います。)

だから、「よく思われるように、嫌われないように」という意図とは裏腹に、よく思われるという効果も持たないのです。効果があったとしても、一時的で、数秒後にはすぐに相手の意識から消えてしまいます。

加えて、自分の心に沿った言葉を表現しないということは、自分の心を尊ばないという行為になり、心にない言葉を言えばいうほど、自尊心は損なわれていくでしょう。自尊心が低いと、自分を好きだと思えなくなりますし、人にも好かれなくなっていきます。

では、心に思っていることを、なんでもかんでも口にするのがいいかというと、もちろんそうではありません。例えば、「あなたのこと、嫌い」と、本心をそのまま言葉にしたら誰かを傷つける場合、自分の心はそれを相手に伝えることを欲しているかというと、欲していないはずです。それをしたら、自分が嫌な気持ちになるはず。その気持ちを相手に伝達しないほうが、自分の心は安らぐはずです。それなら、言わないことが、自分の心を尊ぶことになりますね。

思考ではなく、心に従ったコミュニケーション、自分の心に嘘をつかないコミュニケーションを心がけていると、まず楽になるし、不思議と、人間関係も心地よいものになっていくので、心がけてみてください。

コミュニケーションの極意

よく、コニュニケーションが苦手で、人とうまく話せないという方がいらっしゃいます。

思ったことを伝えられなかったり、上手に返事ができなかったりという人たちを見ていると、ある共通点があります。

それは、「相手にどう思われるか」という意識が強すぎること。

コミュニケーションは「意思伝達」です。その神髄は自分の中に生まれた思いを、相手に伝えるということ。もし「人によく思われたい」という余計な思考が入りこまず、純粋に、自分の中に生まれた一種の衝動として感じられるエネルギーを伝えるならば、相手に最も効果的に伝わるものです。

それなのに、「自分が何を伝えたいか」ではなくて、「どうやったらよく思われるか」がコミュニケーションの動機になってしまうと、動機が不純なゆえに余計な思考が発生し、もともとあった「これを表現したい」という自分のエネルギーの発現を邪魔します。

「よく思われたい」という下心がなければ、直観とつながり、最適な言葉の選択やタイミングで表現することができるもの。今、それを言っていいかどうかも、自分の中の微妙な感覚に意識を向けることができれば、おのずとわかるものなのです。多すぎる思考は直観を感じ取ることを邪魔するので、あれこれ、ぐるぐる考えるけど、わからないという迷路にはまっていきます。

相手が話しているときも、「次になんて言おう」と意識を自分に向けるのではなく、ちゃんと集中して相手の話に耳を傾けていれば、相手が話し終わったとき、自然に自分の中に、最善のレスポンスが生まれるものです。もし何の反応も起きなければ、何も言わないのが最善の反応ということ。何もいうことが思い浮かばないのに、無理に頭で考えだした言葉を発するということは、自分の中の純粋なエネルギーとつながっていないゆえに、コミュニケーションを円滑にするどころか、阻害するということを覚えておいてください。

コミュニケーションは、頭ではなく感覚を大切を大切にすること。頭だけとつながったコミュニケーションは、表面的です。人を言いくるめたり惑わしたりすることはできても、人の心を打ちません。自分の純粋な感覚を感じ取りながら、それを素直に言葉に変えて相手に伝えるということを心がければ、自然と、目に見えないレベルで意義深い交流が起きて、お互いに発展的な関係を築くことができるようになると思います。

 

 

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良好な関係を築くためのコミュニケーション術

よく、雑談が苦手で、人とどう接していいかわかならいという人がいます。

人が信用できないと心を閉ざす人も少なからずいて、そういう人はたいてい雑談も苦手です。

ここでは、人といい関係を築くことができるようなコミュニケーションの取り方について、ご紹介します。

また、どうやって人を信頼すればいいかのヒントにもなるかと思います。ご参考になれば幸いです。

 

相関的な信頼関係を築く

 

どんな関係も、即座に相手を信頼して始まることはありません。信頼は、1回1回の交流を通して、少しずつ獲得していくものです。それは、共通の趣味や、互いを思いやるやりとり、協力、敬意、相手の話を聴いたり理解しようとする姿勢を通じて、相関的に、レンガを一つ一つ積み上げるように築いていくものです。相関とは、相手が与えるものに、心からの興味を抱くことを意味します。そうすれば、たとえあなたの人生に難しい人が出現したとしても、架け橋を築くことが可能です。もし、あなたの相関的な関わりに相手の反応が返ってこなかったら?―たとえそのときでも、あなたは、理解という親切な贈り物を相手に送ることができます。

 

どうやって

 

  1. 注意深く、敬意を持って話を聴く。目の前の相手に、完全で途切れのない注意を向ける。スマホやテレビなどのテクノロジーをわきに置き、そのほかの気を散らすものも避ける。
  2. 自分の予定はしばらく頭から話す。後でいつでももとの視点に戻っていいので、今はジャッジや個人的な偏見を手放し、自由でオープンになる。
  3. 姿勢や身振りもオープンにする。胸の前で腕を組んだりといった、防衛的なポーズをやめる。脅威を与えず、安心できるような身振りをする。適度に視線を合わせる。
  4. 好奇心を持つ。さえぎらないで、かつ、もっと知りたがる探偵のように、話を明らかにするような質問をする。
  5. 共感する。相手の立場に立ってみる。相手が経験したことを自分が経験したらどんな気がするか、感じてみる。
  6. 関心を示す。相手の考えや趣味、生活に積極的な興味を抱く

 

いつ

コミュニケーションスキルを高めたいとき、誰かと親しくなりたいとき、対人関係でもっと楽天的になりたいときに使いましょう。

 

 

 

参考文献: Altman, D. (2016). 101 Mindful Ways to Build Resilience: Cultivate Calm, Clarity, Optimism & Happiness Each Day. Eau Claire, WI. PESI Publishing and Media.

 

アサーティブネス

先日、セラピーグループでお話しした内容をシェアしたいと思います。

アサーティブネスは、コミュニケーションの方法の一種であり、対人関係を良好に保つための重要なスキルでもあります。

少し長くなりますが、ご参考ください。

 

<アサーティブネスと4つのコミュニケーションスタイル>

 

◎4つの基本のコミュニケーションスタイル

 

アサーティブネスとは、相手を尊重しながら、明快で、率直、かつ誠実に、自分の考えや要望を相手に伝えるコミュニケーションの方法です。健全な対人関係を築くためには、アサーティブなコミュニケーションを学ぶ必要があります。他の3つのコミュニケーションスタイルと共に、アサーティブなコミュニケーションの特徴を、詳しくみていきましょう。

 

1. 消極的コミュニケーション(passive communication)とは、自分の意見や気持ちを表現したり、自分の権利を守ったり、ニーズを満たしたりすることを避けるコミュニケーションスタイルです。消極的コミュニケーションは、通常、低い自己価値感に根差しており、そこには「私は大切にされる価値はない」という思い込みがあります。消極的な人は、傷つけられたり、普通なら腹を立てたりするような状況でも、表立っては反応しません。その代わり、気づかないうちに不平不満を募らせ、我慢の限界に達した時、些細なきっかけで、異常に爆発してしまう傾向があります。爆発の後は、通常、恥や罪悪感、混乱を感じて、消極的な状態に戻ります。

消極的コミュニケーターは、しばしば、

  • 自己主張ができません。
  • 他の人が、故意に、あるいは気づかずに、自分の権利を侵害するのを許します。
  • 自分の気持ちやニーズ、意見を表現できません。
  • 小さな声で、申し訳なさそうに話します。
  • 視線をあまり合わせず、うなだれた姿勢を取ります。

消極的コミュニケーションは、それを使う人たちに、しばしばこんな影響をもたらします。

  • 人生がコントロール不能に思えて、不安になる
  • 行きづまり、希望を見出せず、落ち込む
  • 自分の必要が満たされないので(自分でも気づかないうちに)憤慨する
  • 自分の本当の気持ちを無視しているので、混乱する
  • 本当の問題に言及することがないので、成長できない

消極的コミュニケーターは、こう言い、思い、振る舞います。

  • 「私は自分の権利を守ることができない。」
  • 「私は自分の権利というものが何かわからない。」
  • 「私は、みんなに踏みつけにされる」
  • 「私は弱くて、自分を守ることができない」
  • 「人は決して私の気持ちを考えてくれない」

 

2. 攻撃的コミュニケーション(aggressive communication)とは、他の人の権利を侵害するようなやり方で自分の意見や気持ちを表現し自分のニーズを主張するコミュニケーションスタイルです。攻撃的コミュニケーターは、言葉や体の暴力を振るいます。攻撃的コミュニケーションは、低い自己価値感、癒されていない傷、無力感から生まれます。

攻撃的コミュニケーターは、しばしば、

  • 他の人を支配しようとします。
  • 相手に屈辱を与えることで支配しようとします。
  • 批判、非難、攻撃をします。
  • とても衝動的です。
  • すぐにイライラします。
  • 声が大きく、きつくて横柄な話し方をします。
  • 強迫的で、無礼な態度を示します。
  • 人の話をよく聞きません。
  • 頻繁に人の話を遮ります。
  • youステートメントを使います。
  • 射貫くような目で、威圧的な態度にでます。

攻撃的コミュニケーションは、それを使う人たちに、しばしばこんな影響をもたらします。

  • 他の人たちから疎んじられる
  • 他の人たちを疎んじる
  • 他の人たちの心に、恐れと憎しみをもたらす
  • 自分の問題を認識することなく、いつも人のせいにするので、成長できない

攻撃的コミュニケーターこう言い、思い、振る舞います。

  • 「私は正しく、あなたは間違っている。」
  • 「私は優れていて、あなたは劣っている。」
  • 「私はうるさくて、威張っていて、押しつけがましい。」
  • 「私はあなたを支配し、怖がらせることができる。」
  • 「私はあなたの権利を侵害できる。」
  • 「私は何がなんでも自分の思いを通す。」
  • 「あなたにはなんの価値もない。」
  • 「全部あなたが悪い。」
  • 「私は即、応じる。」
  • 「私は特別だ。」
  • 「あなたは私に借りがある。」
  • 「私はあなたを所有する。」

 

3. 消極的-攻撃的コミュニケーション(passive-aggressive communication)は、表面では消極的でも、実際は、わかりにくい微妙なやりかたで、こっそり怒りを表します。消極的-攻撃的コミュニケーターは、通常、無力感と行き詰りを覚え、憤っています。しかし、怒りを直接表現できないので、表向きは笑顔で従うふりをしながら、裏で抵抗し、相手に妨害工作を行います。

消極的-攻撃的コミュニケーターは、しばしば、

  • 相手や問題に直接立ち向かわず、ぶつぶつ口の中でつぶやきます。
  • 自分の怒りをなかなか認識できません。
  • 気持ちと顔の表情が一致していません。(例: 怒っているときに微笑む)
  • 皮肉をいいます。
  • 問題が存在することを否定します。
  • わざと嫌がらせや邪魔をしながら、協力的なふりをします。
  • 仕返しのために、微妙な妨害工作を行います。

消極的-攻撃的コミュニケーションは、それを使う人たちに、しばしばこんな影響をもたらします。

  • 周囲の人たちから疎んじられる
  • 無力なままで身動きができない
  • 本当の問題に言及することなく怒りを吐き出しているので、成長できない

消極的-攻撃的コミュニケーターこう言い、思い、振る舞います。

  • 「私は弱く、憤慨している。だから、妨害工作をし、苛立たせ、邪魔をする。」
  • 「私は真正面からあなたに向き合うには弱すぎる。だからゲリラ戦に持ち込む。」
  • 「私は協力的に見えるが、実際はそうではない。」

 

4. アサーティブ・コミュニケーション(assertive communication)とは、自分の意見や気持ちを明快に述べ、他の人の権利を侵害することなく、自分の権利やニーズをはっきり主張するコミュニケーションスタイルです。アサーティブ・コミュニケーションは、高い自己価値感から生まれます。アサーティブ・コミュニケーターは、他の人の権利をとても大切に扱う一方で、自分の時間や、感情的・精神的・身体的ニーズを尊び、自分の為に断固として主張します。

アサーティブ・コミュニケーターは、

  • 自分の必要や欲求を、はっきり、適切に、礼儀正しく伝えます。
  • 自分の気持ちをはっきり、適切に、礼儀正しく伝えます。
  • I ステートメントを使います。
  • 他の人に敬意を示します。
  • 遮らずに聞きます。
  • 自己コントロールができていると感じます。
  • しっかり目線を合わせます。
  • 穏やかではっきりした声で話します。
  • くつろいだ態度を示します。
  • 他の人とのつながりを感じています。
  • 自分が有能で、自己統御できていると感じています。
  • 他の人が自分をひどく扱ったり、操作したりするのを許しません。

アサーティブ・コミュニケーションは、それを使う人たちに、しばしばこんな影響をもたらします。

  • 他の人たちとつながっていると感じる
  • 自分の人生を統御していると感じる
  • 問題が起きたらそれにきちんと向き合うので、成長することができる

アサーティブ・コミュニケーターこう言い、思い、振る舞います。

  • 「私たちは皆、お互いを敬いながら自己表現する権利を有している。」
  • 「私は自分に自信がある。」
  • 「私は自分の人生を選択できることに気づいている。」
  • 「私ははっきり、率直に、わかりやすく話す。」
  • 「私は他人をコントロールできないが、自分はコントロールできる。」
  • 「人に自分の権利を尊重してもらうことは、自分にとって重要事項だ。」
  • 「相手を尊重しつつ自分のニーズを満たすのは、自分の責任だ。」
  • 「私は他の人の権利を大事にする。」
  • 「私は自分の幸福に100%責任がある。」

参考資料: serenity online therapy (http://serenityonlinetherapy.com/assertiveness.htm)

以上です。中に、Iステートメント、youステートメントという言葉が出てきましたが、これもコミュニケーションスキルの重要なポイントです。端的に言うと、あなたは、で始まる言葉は、相手に対する非難や攻撃のニュアンスを含みやすく、私はこういう気持ちになるという、「私」を主語にした話し方は、責任は私にあるというニュアンスを含むので、相手が防衛的になりやすいということです。機会があれば、このへんもまたシェアしたいと思いますが、長くなるので今日はこの辺で。

 

 

効果的なコミュニケーション:アイ・ステートメント

相手にこちらの要望をうまく伝えたい時に役立つコミュニケーションスキルの1つに、アイ・ステートメント(”I” statment)があります。こちらのニーズを伝えようとすると、相手とケンカになってしまいがちな方は、言葉の使い方をユー・ステートメント(”You” statement)からアイ・ステートメントに変えるだけで、コミュニケーションがよりスムーズになるはずです。

 

ユー・ステートメント(「あなたは」で始まる言い回し) 

例)「あなたは帰りが遅くなる時、連絡のひとつもくれない。(あなたは)本当に自分勝手な人ね。」

  • 相手の言動に焦点を当てているので、相手を非難するニュアンスになりやすい。
  • 相手を評価してレッテルを貼り、暗に「起こった状況や、自分が抱いた感情は相手の責任である」と示唆する。
  • 結果として、相手は防衛的になり、怒って反論したり、拒絶的になったり、はぐらかして逃げ出したりしやすくなる。

 

アイ・ステートメント(「私は」で始まる言い回し) 

「あなたが~するとき、私は~と感じる。」

 (状況の描写 )  (感情ワード)

例)「あなたが連絡なく遅く帰ってくると、私はとても心配。そういうときは電話してくれたら、(私は)うれしい。」   

  • 自分を主体にしているので、「あなたのことはわからないけれど。私はこう感じる/こう思う」と、相手の言動と自分の気持ちを切り離すニュアンスになり、相手は責められていると感じにくい。
  • 「あなた~だ」というユー・ステートメントは「いや、私は~ではない」と相手に反論の余地を与えるのに対し、「私はこう感じている」というユー・ステートメントは自分自身の感情について述べているため、相手に「いや、あなたはそう感じていない」と否定されにくい。
  • 自分の感情をストレートに伝えているので、相手に与える影響が大きく、その分、相手にメッセージを受け取ってもらえやすい。

 

<その他の例> 

ユー・ステートメント「あなたは本当にいい加減な人だ。毎回遅刻してきて、あなたにはいつもイライラさせられる。」

アイ・ステートメント「あなたが約束に遅れてくると、私は待ち疲れて腹が立つし、大事にされていないと感じてがっかりしてしまいま す。」

 

ユー・ステートメント「(あなたは)うるさい。声が大きい。静かにして。」

アイ・ステートメント「(私は)今、集中しているから、もう少し静かな声で話してくれたらうれしいな。」 

                                           (Chika)                                     

                  

 

 

 

 

対人関係における問題解決の手引き

夫婦や親子、職場の人、友達同士で、自分と相手の意見が食い違ったり、対立したりした時、建設的に話し合いをするためのコツをお伝えします。参考にしてみてください。この中で、アイ・ステートメントというのがでてきますが、これについては、また改めて記事に書きたいと思います。

 

相手ではなく、問題に焦点を当てる 

意見の相違が、相手をさげすむような言動、バカにした調子、荒らげた声に転ずると、もはや建設的な会話のやりとりは望めません。相手を非難するのではなく、あくまでも問題に焦点を当てるよう、注意を払いましょう。意見の相違が個人攻撃になりそうになった時は、会話をいったん休止しましょう。 

リフレクティブ・リスニング*(Reflective Listening=聞き返し)を使う

*リフレクティブ・リスニングとは、相手の言葉によく耳を傾け、理解した後、「(つまり、あなたの言いたいことは)~ということですね」と、相手に聞き返すこと。 

議論の際、私たちは、相手の言うことに耳を傾けないで、自分の主張を相手にわからせることだけに一生懸命になってしまうことがあります。相手に言い返す前に、相手が今いったことを、自分の言葉で言い換え、相手に聞き返します。そして、こちらが相手の言い分をちゃんと理解していると相手が同意するまで、それを続けます。次に、あなたの言い分を伝えます。相手も同様に、こちらの言い分をちゃんと理解するまで、あなたの言い分に関して、聞き返しを行います。このテクニックを使えば、意見の相違に関わらず、双方が、相手に話を聞いてもらえた、理解してもらえた、という気持ちを持つことができます。 

アイ・ステートメント(“I” Statement)を使う 

問題を打ち明ける際、「私は」という言葉から始めます。例えば、「私は、あなたが約束を守ってくれなかったことに、傷ついた」など。「あなたは」ではなく「私は」を主語にすると、相手を非難するニュアンスが薄れ、自分の感情は自分が責任を持つ、という含みが言葉に表れます。「あなたはいつも約束を破る」という「あなた」を主語にしたいい方は、相手を防衛的にさせてしまうことがあるので、注意しましょう。

タイム・アウト(小休止)を取る時を知る 

相手との間に、言い争いや、侮蔑的な言動や、攻撃的なやりとりが生じた時には、タイム・アウトを取るといいでしょう。必要な際にはタイム・アウトを要求できるよう、あらかじめ相手と同意しておくとよいでしょう。タイム・アウトの間は一人で過ごし、何かリラックスできることを見つけます。ただし、途中で投げ出すのはよくないので、必ずタイム・アウトの後は話し合いに戻るようにしてください。双方の気持ちが落ち着いたところで、問題解決のための話し合いを再開します。 

解決に向けて努力する 

意見の不一致は、対人関係では普通にあることです。あなたと相手の意見が異なることが明らかになったら、解決策に焦点を当ててください。そして双方を益する妥協案を見つける努力をしましょう。また、この意見の相違が本当に相手との関係性に重大な影響を与えるかどうか自問自答し、答えがノーであれば、手放して前に進むことも時には大切です。                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                     (Chika)

 

      .

効果的なコミュニケーション: アサーティブネス

効果的なコミュニケーションの方法として、アサーティブネス(assertiveness=適切な自己主張)という言葉が、最近、日本でも聞かれるようになってきました。

では、アサーティブネスとはなんなのか、他の2つのコミュニケーションタイプと比較して、みてみましょう。 

●攻撃タイプ(agressive):他者の権利を侵害する。

  • 相手を批判したり、侮蔑したり、相手を支配しようとしたりする。
  • 相手の言うことを皆まで聞かず、頻繁に遮る。
  • 声を荒らげたり、脅したりする。
  • すぐに苛立ち、それをあらわにする。
  • 衝動的
  • 高圧的で横柄な態度を取る。
  • 相手をにらみつける。

●受動的攻撃タイプ(passive agressive):敵意を間接的に表す。

  • はっきり言わないで、ぶつぶつ文句をいう。
  • わざとぐずぐずする。
  • ふくれっ面をする、あるいは怒っているのに笑みを浮かべる。
  • 皮肉をいう。
  • 視線を合わせない。
  • 相手を無視する。
  • 表面的には協力的だが、相手を害するような行動を取る。
  • 問題を認めない。

アサーティブタイプ(assertive):相手の権利を尊重しつつ、自分の気持ちや欲求を表現する。

  • 遮らずに最後まで聞く。
  • 自分の必要や欲求をはっきり伝える。
  • 自分の気持ちを率直に伝える。
  • 自分の権利のために立ち上がる。
  • 視線をしっかり合わせる。
  • 穏やかだが、はっきりした声で話す。
  • 自信を持って堂々と主張する。
  • 自分をしっかりコントロールしながら話す。

攻撃的なコミュニケーションは、相手の欲求や必要性を軽視し、パワーを駆使して、自分の欲求や必要性を押し通そうとする、支配的なコミュニケーションです。

受動的攻撃のコミュニケーションは、表立っては攻撃しませんが、相手を尊重しないという点では同じ。相手を避けたり、拒絶したりするしているので、相手とちゃんとつながることができず、よい関係を築くことができないという点では、攻撃タイプと同じです。

これらに対して、アサーティブなコミュニケーションは、相手の言い分を承認し、尊重しながらも、こちらの欲求や必要性をまっすぐ伝える、というやり方です。誰しも、自分を認めてもらえるとうれしいもので、そうなると、相手に対しても心が開きやすくなります。心が開くと、相手のいうことを受け入れやすくなるものです。

いらない画策や操作をせず、堂々と率直に自分の気持ちを伝えることは、コミュニケーションの早道でもあり、他者とポジティブなつながりを持つために必要なことです。

もちろん、相手が信用できる人かどうか、正確に見定めないうちに、こちらの意図や感情を必要以上に見せてしまうのは、場合によっては安全ではないかもしれません。また、どんなにアサーティブにうまく伝えたとしても、相手がこちらの要求を呑んで、自分の欲するように動いてくれるという保証もありません。相手がある場合は、相手の意図も関わってくるので、必ずしも思い通りにいかないのは当然です。

けれども、少なくとも、相手に効果的に自分の意志を伝え、かつ、相手に自分を尊重してもらう可能性を高めるためには、アサーティブネスは、必須なコミュニケーション方法だと思います。                                                                                                                                                    (Chika)

 

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何をしゃべっていいかわからない時

新しい職場で、みんなと何をしゃべっていいかわからない、緊張して身構えてしまう。周りに溶け込めなくてつらい、という方が時々いらっしゃいます。

そんなとき、私なら、何もしゃべりません(笑)。

話したいことが自分の中に自然にわいてこないのに、無理に話そうとしても、その心地悪い思いが相手に伝わって、相手も居心地が悪くなるだけだから。

私は、自分の中に、本当に発したい思いが浮かんだときだけ、相手に話かけます。(まあ、歳を経るごとに、無理に人に合わせようと思わなくなってきたし、人にどう思われてもあまり気にしなくなってきたので、それができるというのもありますが。もっと若いときは、無理に話そうとして失敗したことも、結構あったような(-“-)。)

新しい場所で、新しい人たちと接するとき、なぜ緊張して言葉が出てこなくなるかというと、人に好かれなきゃ、嫌われないようにしなきゃ、という思いが裏にあるから、ということが多いように思います。

みなさんは、「この人に好かれなきゃ、嫌われないようにしなきゃ」という意図をもって話しかけられるのと、純粋に自分に興味を抱いているから話しかけられるのと、どっちがうれしいですか。

前者は、結局、意図が自分中心なので、相手の心にまっすぐ響きにくいんですね。

本当にこの人と仲良くなりたい、と思うなら、その人に対して、興味がある、ということですね。

興味があるなら、その人のことをいろいろ知りたいと思うでしょう。

初対面の人と話すとき、何をしゃべっていいかわからないときは、その人にいろいろ質問をすると、うまくいくことが多いです。

例えばですが、

「どちらのご出身ですか」

「へ~。〇〇県ですか。行ったことないなあ。どんなところですか。」

「この町と、生まれた町と、どっちが好きですか。どんなところがですか?」

等、イエス・ノーで答えられるクローズド・クエスチョンではなく、話が広がるオープンクエスチョンで質問し、相手の答えには関心を示しながら聞いてみる。

関心を持って話を聞いてもらえるのって、ふつう、誰でもうれしいものなんですよね。(よほど何かトラウマがあって、対人恐怖が強い人とか、被害妄想がある人、特に不安が強い人などは別ですが。)

うれしいときって、心が開くんですね。だから、こういう会話の仕方をすると、相手の心は開きやすくなる。

かつ、人って、自分に好意を持ってくれる人のことを嫌いになるのは、とても難しいんですよね。だから、純粋な好意と関心を示しながらこういうふうに話しかけてくる人に対しては、相手も心を許しやすくなるというわけです

私自身は、内向的な性格で、誰にでもそつなくペラペラ話かけられる話術は持ち合わせていないのですが、好奇心だけは強い方なので、初対面の人にでも、なにかしら興味を持って、話を聞くことができる方だと思います。

なので、何を話していいかわからない、ということは、あんまりないかな、と思います。(とか、偉そうに言っていますが、考えてみると最初からそうだったわけではなく、人の話を聞くのが仕事なので、経験で培ったって部分も多々あります(^_^;)。)

後、コツとしては、やっぱり、先に書いたように、何を話していいかわからない、言い換えるなら、自分の中に純粋に表現したい何かがまだ生まれていないのに、何か話さなきゃ、と、無理に頭をひねって話そうとしない。つまり、作為的に人に接することはしないで、自然体でいるということ。「~しなきゃ」という義務から会話するのではなく、「~したい」という自然な欲求に、できるだけ忠実でいるということかな。

そのほうが、変に力が入らないで、リラックスして自然なコミュニケーションができるので、結局、自分も相手も居心地良くいられる空間を作ることができるのだと思います。

                                              (Chika)