以前に書いた共依存のしくみ(4)(http://therapyroom-hummingbird.com/?p=906参照)でも少し触れたのですが、最後に、共依存になりやすい人の特徴をもう一度、詳しく見てみましょう。
- 自尊心が低い
- 自分が必要とされることや、自分の欲求が少ないことによって、自己価値や自尊心が支えられている。
- 提案や要求、不適当な命令に、過剰に従う。
- 他の人の問題や困難、必要に際しては一生懸命になる一方で、自分のそれは無視する。
- あらゆる人のために、あらゆることをしようとして、自分のニーズがおろそかになる。
- 人の問題を解決する術に長けているが、自分の問題を解決することができない、または解決しようという気になれない。
- 常に人を喜ばせようとして、手助けする機会を待ち構えている。
- 頼まれたら嫌といえない。
- 頼まれごとを断る際、罪悪感を感じて困難を覚える。
- 大切な人たちとの関係において、なんでも引き受けすぎることが多い。
- 不可能な、または過剰なスケジュールを立ててしまう
- 欲しいもの、必要なことを要求することができない。
- 助けを求めることは、利己的で厚かましいことだと思う。
- 自分の感情を突き止めて、感じることが難しい。
- 非現実的、非合理的な期待に、すすんで応えようとする。
- 意見の不一致や衝突を怖がったり、避けたりする。
- 無力で、有害なものから自分の身を守ることができないと感じる。身勝手な人たちに、容易に操られたり、搾取されたりする。
- 意地悪されたり、虐待されたりしたとき、しっかり境界線を張ることができない。
- 自分を無視する人たちを、操作したりコントロールしたりしようとする。
- 助けになろうといて、人に親切を押し付ける。
- 仕事上の付き合いと個人的な付き合いを混同する。
それでは、健全な関係性というのは、どういうものでしょうか。
Hazan とShaverは、健全な親子の関係は、健全な大人同士の恋愛関係と類似しているという仮説を唱えました(Hazan, C. & Shaver, P. (1987). Romantic love conceptualized as an attachment process. Journal of Personality and Social Psychology, 52(3), 511-524)。彼らによると、深い感情的な絆で結ばれた親子には、下記のような特徴がみられるということです。
- お互いに、相手がそばにいて反応を示してくれていると、安心する。
- 親密な身体的接触を、お互いにしあう。
- 相手が手に届かないところにいるとき、お互いに不安になる。
- お互いに、発見を共有する。
- お互いに、相手に魅かれ、関心を抱く。
- お互いに、”赤ちゃん言葉”を発し合う。
(参考文献:Rosenberg, R. (2013). The Human Magnet Syndrome: Why We Love People Who Hurt Us. Eau Claire, WI. PESI Publishing & Media.)
共依存の人が、対人関係において、自分という存在が小さくなりすぎて、相互のバランスが崩れてしまっているのに比べて、健全で親密な関係は、お互いの愛情のバランスが取れていて調和している、というのが大きな違いだと思います。
確かアメリカの研究機関で行われた実験だったと記憶していますが、深く愛し合っている二人の男女を、向いあわせに立たせ、二人のオーラを測定すると、ハートチャクラ(心臓のあたりに位置する、主に精神的な愛のエネルギーを司るセンター)から、それぞれの周りに大きな円を描いているエネルギーが合わさって、ちょうどハート型に見えたのだそうです。
二人の互いに向けた愛のエネルギーのバランスが取れているからハート型になるのであって、どちらかが大きくすぎて、どちらかが小さすぎると、ちゃんとしたハートの形にはなりませんよね。
相手に対するリスペクトに欠けた、一方的な強い思いは、愛ではなく、執着です。
自分に対するリスペクトに欠けた、相手への強い思いも、やっぱり、本当の愛ではないと思います。それは、自己愛の欠乏を補って埋めるための、代替的な擬似愛に過ぎず、やっぱり、根底には執着があります。
大いなる宇宙から見たら、自分という存在も、相手も、同等に尊い存在です。両方とも、大切に扱われなければならないもの。両者のうち一方だけを、もう一方のために犠牲にして成り立つ関係というのは、この宇宙の理念に反しているので、長続きはしません。ひずみが生じて、長い間には耐えきれなくなり、必ずいつか、修正を余儀なくされるものです。
結局のところ、本物の愛に根差し、自己と他者の双方を尊重した、調和のとれた関係だけが、長くつづくようにできているのだと思います。