神経性大食症、いわゆる過食症(Bulimia Nervosa)は、摂食障害というカテゴリーに分類される精神疾患です。
コントロールが効かずにドカ食いしてしまい、そのあと、太らないように何らかの浄化行動(のどに指を突っ込んで吐く、下剤を使う、過度な運動を行う等)を行う、というのが、主な症状になります。
過食・嘔吐は、中毒性が高い行為です。つまり、やめられずに繰り返してしまう傾向があるということ。吐くことにより、脳は飢餓モードになり、さらに食べ物を欲するようになってしまうのです。
これを改善するコツとしては、きっぱりやめようという意思の力だけに頼るよりは、自分をうまくだましてやらないようにもっていく。浄化行動の衝動は一時的なので、気を紛らわせて時間を稼げば、次第に収まります。
下記に、過食と、主な浄化行動である嘔吐の頻度を減らす具体的な方法を、簡単にまとめてみましたので、興味がある方は参考にしていただければと思います。
<過食頻度を減らす方法>
- ジャンクフードではなく、良質の食べ物を摂取する
- 吐いたら、脳が飢餓モードになり、また食べたくなることを思い出す。
- ゆっくり食べて、よく味わう。(五感をフルに使ってゆっくり食べると効果的。)
- 食事中、休憩を入れて、より満腹感を感じられるように工夫する。
- 過食してしまいそうな食べ物を、目につくところや手の届くところに置かない。
- デザートは、後で食べたかったら食べてもいいからと体に言い聞かせ、まずは別のものから食べる。
<嘔吐頻度を減らす方法>
- 吐いて浄化したい衝動を、気を紛らわせて遅らせ、引き延ばす。
- 今回の嘔吐衝動を抑えられたら、再び吐く可能性が少なくなることを思い起こす。
- 呼吸法を試す。
- 誰かと一緒にいるようにする。
- 信頼できる人に、自分がしようとしていることを打ち明ける。
下記のようなアファメーションを唱えてもいいでしょう。
- 今日だけは、私は、お腹がすいたときにだけ食べます。
- 今日だけは、私は、食べ物がどんな味がするか、どんな気持ちにさせてくれるかを、意識しながら食べます。
- 今日だけは、私は、好きなもの、かつ、食べて気分がよくなるものを選んで食べます。
- 今日だけは、私は、楽しんで体を動かす方法を見つけて実践します。
- 今日だけは、私は、自分の体に優しくし、愛と敬意をもって扱います。
参考資料:Guisinger, S. (2013) Eating Disorders & Obesity; Help Clients Take Back Their Lives (live seminar)
この、「今日だけは~」というのは、AA(Alcoholics Anonymous=アルコール依存症の自助グループ)で唱えるアファメーションと共通しています。依存症の人が行動を変えようとする際、これからずっと~する、と思ってしまうと、プレッシャーが大きくて耐え切れなくなってしまい、続かないことが多いんですよね。なので、明日以降のことはわからないけれど、今日一日だけは、と毎日誓ったほうが、効果が高いのです。
個人的には、摂食障害というのは、やはり、潜在している何らかの大きな不安感が原因している症状だと思います。
なので、行動療法的に食べたり吐いたりする異常行動を矯正するだけでは十分ではなく、最終的には、心の奥底にある不安(おそらくは、存在に対する不安、安全や帰属意識の欠如に関係する)をつきとめて癒やしていく必要があると思います。