いろいろな人の相談を受けていて思うのですが、いかに競争に勝つか、人より秀でて人より多くを持つか、いかに成績や業績を上げ、周囲に評価されるか、といったことに価値観を置いている人が、壁にぶつかる時代になってきています。
今まで、社会がそういう価値観を奨励するシステムになっていたために、多くの人が、いつのまにか頭に刷り込まれた「社会一般でいいとされるもの」を、盲目的に追い求めて励んできました。
しかしながら、争って、人を蹴落とし、自分が獲得するという、競争に基づいた価値観というのは、劣等感や優劣感を生み出し、人と人とを分離させ、孤独にさせるという結果をもたらすのが必至です。
また、物質的な豊かさだけを目安にしているため、すべての物質がそうであるように、手に入れたものが与えてくれる喜びは、一時的な満足感にすぎません。はかなく消えていき、あくなき欲求をかきたてるようになっており、決して満たされることはありません。
そんな古い(と私には思われる)社会的価値観に翻弄され、疲弊して、気持ちが休まることがなく不安にさいなまれ、心を病む人が大勢います。必然の結果だと思います。
勝ち負けではなく、自分も人も生かすやり方とか、人と人との愛情あるつながりとか、精神的な喜びに焦点をあてる人のほうが、幸せになっていくでしょうし、これからの時代を生き延びて生けるように思います。
臨床の現場でも、そんな価値観を持っている人のほうが、人生を楽しみ、うまく社会で成功して生きていっているなという印象を受けます。
古い見方、やり方では立ち行かない場合、体験の結果として、余儀なく自己改革をせまられる前に、方向転換してみてはいかがでしょうか。