「生きる力を育てましょう。」という言葉をよく耳にします。
「生きる力」とは何でしょう。
今の子どもたちを見ていると、周りに合わせないといけない、秀でてはならない、目立ってもいけない、そんな空気が流れているように見えます。見ていて、苦しそう。
本当の自分は何処にあるのでしょう。自分の感情や感覚が後回しになっていて、こんな風に感じる人間がいてもいいじゃないか、という空気が感じられないような気がします。
いつも、周りの空気を一生懸命、読んでいる。それについて来れない者は、置いていかれる、異質なものとして、いじめの対象になったりします。全てがそうと言う訳ではありませんが、そんな空気が流れているように見えて気にかかります。
何が気にかかるかと言えば、他者の感情を読み取る事が優先されて、自分の感情や感覚に鈍感になってしまうのではないかと言う事です。
自分の感情や感覚に気づくことは、自分の命を守る力だと思います。この力が育っていないと、何となく感じる生きづらさから脱することができず、知らないうちに、心のエネルギーが減っていってしまうのです。
自分は、今、嬉しいのか、楽しいのか、悲しいのか、辛いのか、腹を立てているのか、イライラしているのか‥‥それを感じることは大切なことです。
感じることに良い悪いはありません。自分が感じていることは、素直に受け入れていいのです。それを受け入れることをしなければ、自分の心と向き合うことはできません。
本来、子どもは、ありのままに感じ、ありのままに表現する力を持っているはず。いつから、その力に蓋をするようになるのでしょう。気づくと、親子の会話は、親「何でそう思うの?」子「そう思うから。」親「何が嫌なの?」子「嫌だから。」こんな会話の繰り返し。そんなことはありませんか?
ありのままに感じ、ありのままに表現する力は、お母さんのお腹にいる時から、発揮されています。
お母さんがリラックスしていると、お腹の赤ちゃんもゆったりしています。お母さんが高揚していると、動きが活発になったりします。
誕生の瞬間は、大声で泣きます。今まで、暗くて温かくて、気持ちの良いお母さんの子宮の中にいたのに、突然、明るく眩しく刺激的な空間が現れて、びっくりしているのです。でも、お母さんの胸に抱かれて、お腹の中にいた時から聞き慣れているお母さんの声を聞くと、泣き止み、気持ち良さそうなお顔になりますね。
どの赤ちゃんも素晴らしく、輝くばかりの生きる力を持って生まれてきます。その素晴らしい輝きを失わないように、見守っていけたらと切に願います。
(佐々木 智恵)