盛岡心理カウンセリング・ハミングバード

ハミングバードは、心理療法カウンセリングのセラピールームです

お問合せ: 019-681-2268 (完全予約制です。ご予約の際は、留守電にご連絡先を残していただくか下記お問い合わせフォームよりメールでご連絡ください。)
☆営業時間:9時~18時  定休日:第二、第四土曜、日曜、祝日

「自分」を基準にする

「自分」を基準にする

このエントリーをはてなブックマークに追加

日本人は、アメリカなどの個人主義と違い、集団主義の文化を持つ国民性があります。これは、周囲との調和を重んじ、自己主張せず、他者を慮るといういい面がある一方で、他者の目を非常に気にして自分の気持ちや考えを抑制するという傾向にもつながります。

アメリカから帰ってきて、日本でカウンセリングするようになって思うのが、非常に多くの人が、人目を気にし、自分を持たないで生きているがゆえに、色々な心の問題を作り出してしまっているということです。

そのことに関して、とても明快で深遠な説明がなされている本があるので、一部、ご紹介したいと思います。

ディーパック・チョプラ著、渡邊愛子訳の「富と成功をもたらす7つの法則」(大和出版)という本ですが、インドの古典であるウパニシャッドやバカヴァッド・ギーターなどの奥義を説いた哲学書が元になっているようです。

チョプラ氏によると、自己志向と対象志向があって、自己志向は純粋な自己を経験している状態、つまり、自分が指針になっている状態、対象志向は、意識のフォーカスが自分の中のエゴであり、自分の外側にある状況や環境に大きく影響される状態になります。チョプラ氏いわく、「エゴは本当の自分ではなく、社会的仮面であり、あなたが演じている役割、あなたのセルフイメージ」です。

対象志向であると、自分の姿が周囲の目にどう映るかを非常に気にし、常に人の承認を求めたり、人を自分の思い通りにコントロールする欲求を持つことになります。不安がとても強い状態です。この状態では、深いところにある行動のモチベーションが恐れなので、安心を得るために外部のパワーを強く欲することになります。人に認められたり、いい成績や業績をあげたり、地位や名声、お金や物がたくさんあったりすると、一時的に安心する。けれども、これらはすべて自分の外にあるパワーの元なので、変わりうるものであり、いつか消えてしまうもの。それらがあるときはいいけど、なくなるととても不安定になる。だからいくらあっても不安で満たされず、強迫観念的にもっと欲しくなる。自分を保つために、物や人に依存しなければなくなるわけです。

これに反して、自己志向であると、人に認めてもらったり、人を支配してパワーを得たりする必要性を感じなくなります。外部のものと比較して自分を計ることをしなくなるので、自分が人より劣っていると感じず、勝っているとも感じない。謙虚で相手を敬うが、人の批判を恐れず、何を言われても動じない。恐れから解放されているので、自分が思う通りに動き、自分自身の魂が喜ぶことをする。自分で自分を満たすことができて、とても楽だし、幸せなんですよね。この状態でいると、人の承認とかお金など、色々な豊かさは勝手にやってきます。必死に求めているわけではないのに、向こうからやってきます。

チョプラ氏の言葉で、なるほど、その通りだな~と思ったのは、「エゴは疲れる」ということです。エゴに焦点が当たっていると、非常に疲れるんですよね。常に人にどう思わるか、自分が嫌われていないか、認めもらえるかどうかを強烈に意識するので、精神エネルギーの消耗がハンパないわけです。例えば、学校とか職場に行って、1日過ごすにしても、エゴに焦点が当たっている意識状態の人と、自分自身の本質から動いている人だと、同じ量の勉強や仕事をこなして帰ってきても、疲れが全然違うということになります。

時々勘違いされている方がいるのですが、「自分が喜ぶことをする=自己中心的」ではないんですよね。もし、自分の時間や労力をさいて人を助けることが、自分の喜びになるのであれば、それをすればいいわけです。でも、「やらないとほかの人になんて思われるか。自分勝手だと思われるんじゃないか。だから嫌だけどしなきゃ。」というのは、自分の外にあるもの、周囲の目が基準になっており、深いところではエゴに基づいた行動選択だと思います。なので、その行為が終わった後、人助けをしたはずなのに、虚しかったり、いら立ったり、悲しくなったりして、否定的な気持ちになるわけです。もし、疲れることや煩わしいことであっても、それが本質的に自分の喜びになる行為であれば、その行為が終わった後、疲労とともに心地よい満足感や純粋な喜びを感じられるはずです。

今の日本では、多くの人が、対象志向になっているために、幸せになれないでいると感じます。自己志向の行動選択をしていくと、流れに乗って、いろいろなことがうまく行き、自分のみならず、周囲の人も幸せにすることができるようになります。

では、どうやって自己志向になったらいいかというと、やはり、心を静かにして、周囲に向いていた意識を自分に向けなおし、自分を感じることは必須だと思います。チョプラ氏は、朝晩最低30分の瞑想を勧めています。もしそれができれば、多くの心の問題は改善していくと思いますが、したことがない人にいきなり30分の瞑想は難しいかもしれません。そういう場合は、今、やっていることをやめ、ただ座って、自分の中を静寂に保つ時間を数分でもいいので持つこと、「何かをする」のではなく、何もせず、ただ「ある」「存在する」、静かな時間を持つことから初めてみたらいいと思います。

 

 

 

« »