論理的思考、分析的傾向が強すぎる人は、学術的な意味では知性的なのかもしれませんが、かえって叡智からかけ離れてしまうように見受けられます。
平たく言うと、頭で考えることが得意で理屈っぽくて、勉強ができていい大学に行けるのかもしれないけれど、心の健康を司るための知恵にアクセスすることができにくい。
なぜなら、思考に偏りすぎる人は、身体的・内的な感覚に耳を傾けることが上手ではない人が多いから。直観というのは潜在意識の奥にある叡智につながっています。直観は思考ではなく、感覚的に得られるものなので、せっせと頭を働かせている人は、直観を受け取りにくいのです。直観は思考を静めて、リラックスしているときに、微妙な感覚として感じられるものです。ブルー・スリーの「考るな、感じろ」というのは名言だと思います。
ちなみに、頭で考えすぎると、たいてい、不安感が強まります。人は思考過多になると体の上の方のエネルギーが過剰になり、体の下の方のエネルギーが不足して、心身の状態は不安定になります。この状態では、肩や首がこったり、頭が痛くなったりしやすくなり、頭に血がのぼって緊張しやすくなるので、冷静に物事を判断することもできにくくなります。
さらに、思考を働かせている間は、内的感覚とつながらず、自分の内側にあるものを感じなくてもいいので、自分と対面することを恐れている人は、ノンストップで頭を働かせて逃避することがあります。その結果、疲れ果ててエネルギーを枯渇するだけではなく、自分の内側にある必要なメッセージを受け取れないので、道がそれて間違った方向に行ってしまったりします。
感情にアクセスすることを避けて、自分や相手の目を感覚的なものからそらし、傷つかないよう防御するため、論理思考、分析思考を多用することを、intellectualizationといいますが、それをしている人、つまり理屈っぽい人は、かえって心の問題を解決し、自分が幸せになるのを阻んでしまっているなあ、と思います。
論理的に考えられず、感情的になりすぎる人もまた問題ですが、何事もバランスが大切。知性と感性はバランスが取れている状態が一番いいのだと思います。