盛岡心理カウンセリング・ハミングバード

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トラウマの真実(2)

トラウマの真実(2)

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トラウマの真実(1)のつづきです。

Bessel A. Van der Kolk博士によると、複雑なトラウマ体験をした人は、愛着面において問題を抱えるようになります。結果として、社会で人と関わっていくことが困難をきたすことが多いです。

人間の脳は、おおざっぱに分けて、前面が新しい脳で、後ろ側が古い原始的な脳になります。前面の新しい脳は、主に体の外で何が起こっているかにフォーカスし、人との関わりに関心を向け、属する社会や文化に適応するような行動をとるよう促す役割を果たしています。これに対し、後ろ側の古い脳は、動物的な本能を司り、体の中で何が起こっているかを監視する役割があります。

前面の社会脳は、平常時には活発に動いているのですが、非常にショッキングな体験をして、「戦うか逃げるか」南濃を起こすと、動きが鈍ってゆっくりになります。代わりに、後ろの原始脳が活性化し、サバイバルモードになります。この状態になると、周りで何が起こっているか注意を向けて、人とつながったり、交流を図ったり、ということができなくなります。

自分が生き残るため、身を守ることにすべての関心が行くので、自分の中だけで精いっぱいになり、外の世界の出来事を捉えて、味わい、体験するという余裕がなくなる、というわけですね。

そもそも、社会性を持ち、人との交流を図る、という行為は、「安全である」という前提がなければ、本当の意味できないことです。(うわべだけならできるかもしれませんが。)

脳の扁桃体は、危険を知らせてくれる煙探知機のような役割を持っているのですが、トラウマ体験をした人は、ここが「異常に敏感な煙探知機」のようになってしまい、あらゆるところに危険を察知してしまうようになります。こうなると、生存のために自分の中で起こっていることにばかり意識が行くので、人や社会とうまくつながることも、当然できなくなります。

かつ、人との関わりでひどく傷ついて、トラウマになった人は、「他人=安全ではない。害を及ぼす敵である。」という意識が根底にあるので、身を守ろうと見えない敵と常に戦おうとして、非常に消耗します。

過剰反応を起こしている脳を鎮めて、無駄な戦いをやめて、恒常的な生き残りモードから抜け出すためには、「安全だ」という認識を脳に持たせることが必須なわけです。

「危険は去った。あれは過去のことだ。今は安全だ。もう戦わなくてもいい。」という意識を、改めて植え付けるためには、Bessel A. Van der Kolk博士は、ヒプノセラピーなどが効果的であること、また、想像力を呼び起こし、実際に起きたのとは違う結末を思い描き、様々な可能性があることを認識させることにより、前頭葉を活発化させることの重要性なども説いていました。

私としては、現実に起こったのとは違うストーリーを描き、信じ込むことは、なかなか難しいと思うのですが、何が起こったかよりも、それをどうとらえるか、自分にとってどういう意味があるかの方が、実際 には重要だと思います。そして、その部分は、変換することが可能です。

過去のショッキングな出来事に、建設的な意味を持たせることができれば、過去の記憶は大きく書き換わるし、それによって、人や世界は安全ではない、という思考の上での刷り込みや体に染みついた感覚もなくすことができます。そうすれば、人とつながって、意味深い交流を図り、幸せな人生の構築を再開することは全く可能だし(なぜならそういうケースを臨床上見てきているから)、それがトラウマを乗り越えるということだと私は思います。    (Chika)                              

 

 

 

 

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