盛岡心理カウンセリング・ハミングバード

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形あるものを超えて

形あるものを超えて

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私たちの世界では、形あるもの、目に見えるものは、いつか滅びてなくなるようにできています。

人も、動物も、植物も、建物も、本も、みんなそうです。

目に見えるものだけにフォーカスするなら、このしくみは虚しく思われるかもしれません。何かを作り上げても、どうせいつか消えてなくなるのですから。

でも、よく観察してみるならば、形なきもの、目に見えないものは、もっと持続的であることのがわかると思います。

存在するものは、目には見えないレベルでは、もはや失われることなく、個が全体に影響し合い、常に変化を続けながら、持続する。それがこの宇宙全体で繰り広げられている、永遠の創造の過程だと思います。

例えば、私が尊敬し、思想的に影響を及ぼしている人の一人に、マルクス・アウレリウス・アントニヌスという人がいます。

この人は、ローマ五賢帝の最後の賢帝と言われ、常に公的な幸福を考えて、非常に賢明かつ献身的に国政を摂ったために、彼の統治下のローマは平和と繁栄を享受しました。

マルクス・アウレリウスは、忙しい日々の中で、自分を振り返り戒めるために、「自省録」という日記を残していたため、彼の思想は後世に知れ渡ることになりました。日本では、精神科医の神谷恵美子さんが独学で学んだギリシャ語から訳した本が出ています。(ちなみに、神谷美恵子さんも、私がとても尊敬している人の一人です。)

マルクス・アウレリウス自身は、1800年以上も前に亡くなっていますし、「自省録」の原本は、現在、どこかに保管されているのかどうか知りませんが、あったとしてももう、あまり原型をとどめてはいないと思います。

けれども、マルクス・アウレリウスが苦悩の多い人生を生き抜き、その体験の中から生み出した思想や気高い生き様は、彼の身体が滅びた後でも、目に見えない形で、たくさんの人に多大な影響を与えています。

1800年以上後になって、ローマからは遠く離れた日本に一個人として生まれ、生きている私もその一人で、何度も繰り返し読んだ「自省録」を通じて、マルクス・アウレリウスには、慰めや励ましや勇気をたくさんもらいました。

実際のところ、本そのものよりも、本の中に根づいているマルクス・アウレリウスのもつ魂に触れたことにより、感銘を受けて、自分の中にポジティブな変化が起こったというほうが、正確だと思います。

そして、マルクス・アウレリウスの思想を取り入れ、(願わくば)アイデンティティの一部に取り入れた私自身も、いつか誰かに、その部分から何らかのメッセージを伝え、いくばくかの影響を及ぼすことがあるかもしれません。

このようにして、私たちは、形あるものよりも、むしろ形の向こう側にある見えないものを通して、お互いに影響を与え合い、変化を起こしあっているのだと思います。それは、常に止むことなく起こっていて、永遠に続く、目に見えない化学反応のようなものです。そして、これこそが創造のプロセスなのだと思います。

この世に存在するすべものは、この創造のプロセスに関わっており、だから、私たちの取る行動や発する言葉(目に見えるもの)、頭で考えることやよぎった感情(目に見えないもの)、すべてが、意識する・しないに関わらず、世界を変えうる要素になるということです。

単純にいうと、傷ついた人が多ければ、世の中は悲しい場所になるでしょうし、悪だくみをする人が多ければ多いほど、世界はすさんだ場所になるでしょう。優しく正直な考え方をする人が多ければ多いほど、世の中は安心して安らげる場所になるでしょう。

ここをどんな世界にするかは、その構成要因であり、クリエーター(創造する者)である私たち一人ひとりにかかっているということ。私たち一人一人に、創造のパワーが宿っているということなのです。

そう考えると、私たちの1人1人がこの世界において大切な役割を担っている、意味のあるかけがえのない存在なのだと思います。

                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                    (Chika)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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