盛岡心理カウンセリング・ハミングバード

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共依存のルーツ

共依存のルーツ

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共依存については、以前、何回かに分けてお伝えしましたが、興味がある方が多いようなので、もう少し掘り下げてご紹介したいと思います。

発達心理学の権威であるフロイトやエリクソンは、愛され慈しまれて育った子供は、精神的に健康な大人として成長しやすくなり、逆に、ネグレクトや虐待を受けたり、必要なものを与えられないで育った子供は、大人になってから、機能不全な対人関係を築く傾向が強くなると主張しています。条件付きの愛(conditional love)を受けて成長した子供は、心理的・精神的に問題を抱える傾向にあるということです。

幼児期の子供というのは、周囲の環境に敏感で、とても影響されやすいものです。愛情豊かな両親に守られ、安心して育った子供は、精神的に準備が整った状態で成人期を迎えることができます。一方、子供の心理的、身体的な必要を満たすことができない、または、満たそうとは思わない両親のもとで育った子供は、成人期でつまずく確率が、とても高くなります。

夫婦間の暴力、ネグレクト、親のアルコール依存、性的・身体的虐待といった、有害で危険な環境に適応することを強いられた子供は、多くの場合、自己評価、自我、自分に対する観念が損なわれ、成人してから、心理的なスキルや能力に問題を持つようになります。

子供が親の子育てをまねて、自分が育てられたように自分の子供を育てるというのは、自然な人の摂理です。なので、よほど抵抗して変化を起こさない限り、機能不全な家庭環境というのは、代々続き、悪循環を形成します。

家族システムの理論を提唱したアメリカの精神科医、ボーウェンは、変化というのは、どの家族にとってもストレスになるが、機能不全の家族にとっては、とりわけ不快であり、例えそれが子供のためによいものであっても、脅威とみなされることがある、と言っています。

機能不全の家族の影響から逃れることができない子供は、親の機能不全な性質を自分に取り込み、自分と一体化させてしまいます。そして、人を満足させることで他者に同調するか、もしくは他者を強制(コントロール)して自分に同調させるようになっていきます。

こうして、変化に抵抗する家族は、自分たちの感情的な機能を、次世代に継承していくことになります。

(以上の参考文献:Rosenberg, R. (2013).  The Human Magnet Syndrome: Why We Love People Who Hurt Us. Eau Claire, WI.  PESI Publishing & Media.)

虐待された子供が、親になって自分の子供を虐待する、というのはよく言われており、実際、カウンセリングの現場でも、それは非常に多く見かけることです。虐待的な親にならなかったとしても、共依存関係に陥り、不健全な家庭を再現することによって、子供に有害な環境を継承することは、とても多いです。

けれども、重要なのは、すべての人がそうなるわけではない、ということです。機能不全の家庭環境に育った人が、屈せずにその悪影響を克服し乗り越えた場合、順境に育った人以上に深くて優れた資質を帯びるようになる、そして、自分の子供にとって理想的な親になり、他の人や社会全体に対しても祝福となるような、大きな影響力を持つことができるようになることが多い、というのも、事実です。

悪循環を繰り返すか、それとも断ち切るかの分かれ目は、本人が自分の傾向に気づいてそれを意識し、受けた傷を癒して、一見ネガティブな体験を、反面教師として、よりよい人生を創造するために生かせるかどうか、ということだと思います。

「一見ネガティブ」と書きましたが、どんな体験であっても、その体験自体はニュートラルなんですよね。それを不幸とみなすかどうかは、自分次第なのです。そこには自分の人生に役立て、もっと幸せになるための資源が必ず隠されています。この点で、すべての逆境は、例外なく試金石であり、自分の中に眠る輝きを引き出すきっかけを与えてくれる、チャンスなのだと思います。

 

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