盛岡心理カウンセリング・ハミングバード

ハミングバードは、心理療法カウンセリングのセラピールームです

お問合せ: 019-681-2268 (完全予約制です。多忙につき、お電話に出られないことが多くご迷惑をおかけします。ご予約の際は、留守電にご連絡先を残していただくか下記お問い合わせフォームよりメールでご連絡ください。)☆営業時間:9時~18時(不定休)

解離性障害について(その2)

解離性障害について(その2)

このエントリーをはてなブックマークに追加

(その1の続きです。)解離性障害がどういう仕組みで起こるか、それをお話する前に、特に解離性人格障害(多重人格)については、その存在自体を疑う専門家も中にはいる、という点に触れておきたいと思います。

サイコセラピストの中には、解離性人格障害はクライアントの狂言で、実際にはありえないとする人たちがいます。(アメリカにいたときの私の上司の一人がそうでした。)私は、狂言である場合も中にはあるけれど、実際に起こる現象だと考えています。

狂言が疑われるケースとしては、私が担当していたある同性愛者(レズビアン)のクライアントさんを思い出します。この人はもともとは女性で、夫も子供もいるのですが、性の不一致があり、女性であることが嫌でしかたがありませんでした。夫のことも友達としてしか見られず、でも離婚する勇気もなく、インターネットで女性のパートナーを探しては、家出と浮気を繰り返していました。

彼女(彼と呼ぶべきか迷うのですが、一応ここでは彼女と呼ぶことにします)は子供のころに性的虐待を受けていて、自分も子供を虐待する恐れがあるから育てたくないと言い、自分の子供は夫の両親に預けっぱなしでした。性の不一致と同性愛(この二つは必ずしも同時に起きるとは限りません)のことは、周囲の目を恐れて、夫以外には内緒にしていました。

彼女は、自分には別の人格があって、それはマイク(仮名)という男性だと言っていました。そして、マイクは自分の理想のタイプで、マイクになっているときの自分が大好きだ、というのでした。マイクになっているときは自分で気づくのだそうで、セッション中も時々、「あ、今、マイクになった。」「今のはマイクがしゃべった」というのですが、正直なところ、彼女とマイクの人格の差が私にはよくわかりませんでした。

彼女は強迫的な不安感からか、セッション中、いつも、言葉を差し挟む余地もないほど、ひっきりなしにしゃべり続けていて、表情は明るくニコニコと終始笑顔でした。ただ話を聴いてもらえば満足という感じで、彼女自身、治療的介入を望んでいるようには思えなかったのですが、それでも、セッションには毎回欠かさずやってくるのでした。

この人の場合、マイクという別の人格は、実際に存在するのではなく、どちらかというと、単なる強い憧れ(思い込み)なのではないかと、今振り返っても思います。本当に解離性人格障害を持つ人は、記憶の欠落や意識の希薄さを伴うため自分の症状に気づかなかったり、症状を恥ずかしいと感じて隠そうとしたり、症状に悩まされて喜びではなく苦しみを訴える傾向が強いようです。

このクライアントさんから受けたのは、自分の問題と向き合うことを恐れ、強い不安感を抱きながらも、それを隠して偽っているゆえに、アイデンティティがとっ散らかって収拾がつかなくなってしまっている、という印象でした。「無理をしている」という感じがどこかするので、話を聴いていてとても疲れるし、彼女自身も、本当は消耗して疲れ切っていたのではないかと思います。恐怖心を克服して、もっと自分に正直に生きれば楽になったのでしょうが、その時の彼女はまだ、怖さが勝っていて、内面を見つめなおしたり、変容を望んだりする段階まで来ていなかったのだと思います。

狂言や思い込みのケースはさておいて、ほんとうの解離性人格障害(多重人格)は、ひどい虐待を受けた人(特に子供)が、対処できないような痛みを逃れるために、別の人格を作り出し、身代わりにその人格を現実に向き合わせる、一種の防衛手段である、というのが、教科書的な説明になるかと思います。

実際、性的虐待を受けていたある幼ない女の子は、毎日虐待されることが嫌で嫌で仕方なかったので、自分以外の誰かほかの女の子がそれを受けるのだと強く想像しているうちに、本当にその女の子が自分の中に現れ、その間の記憶がなくなった、という話をしています。

想像が創造をもたらし、別の人格を呼び寄せるということは、実際に起こりうることだと私は思います。

スピリチュアルな観点から見ると、多重人格をはじめ、現実感喪失、離人症、記憶の欠落といった一連の症状は、精神的な衝撃により、体と魂にズレが生じ、体と意識の結びつきが希薄になった状態であると説明できます。

例えば事故を起こして意識不明になったときは、意識が体を認識していない状態、意識が体を離れてしまっている状態です。この状態を、私たちは実は毎晩のように経験しています。寝ている時や夢を見ている時、私たちの意識は自分の肉体を感覚器官を通じて認識することはありません。

精神的にひどくショックを受けたときも、事故を起こしたときと同様、意識(魂)がどこかに行ってしまって、体から離れてしまい、その状態が、解離障害を引き起こすというのが、私の個人的な見解です。

魂が体からズレてしまったとき、意識と体の結びつきが、希薄ではあるけれどまだつながっている場合、感覚器官から受け取るシグナルが弱くなるので、自分の体が自分ではないように思われたり、生き生きした現実感を感じにくくなる状態が起こります。けれども、まだ意識がつながっているので、かろうじて自分をコントロールする力は残っています。

けれども、もし、ズレがひどくて、意識が体からほぼ完全に飛び出してしまった場合、自分をコントロールする司令官がいなくなり、肉体は主がいない空き家のようになってしまうので、まったく別の人格が入り込んでしまうということが起こりうるのだと思います。誰かに憑依されているようにみえる重度の解離性人格障害は、この状態だといえます。実際、最新の精神医学手引書であるDSM-5は、解離性人格障害の診断基準の1つを「文化によっては憑依経験と表現される」としています。

(すみません、今回も終わりませんでした(^_^;)。またまた長くなってしまうので、その3に続きます。)

 

 

IMG_4861

 

 

 

 

 

 

 

 

« »