盛岡心理カウンセリング・ハミングバード

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08日

境界線パーソナリティとトラウマ

境界線パーソナリティ障害は、10種類ほどあるパーソナリティ障害の一つで、対人関係、自己像、情緒が非常に不安定であり、かつ、行動が衝動的であることが主な特徴です。

境界線パーソナリティの人は、見捨てられ不安がとても強く、誰かに捨てられると思うと非常に取り乱し、必死でそれを食い止めようとします。そして、捨てられる恐怖が強いあまり、しばしば、自分から衝動的に関係を断ち切ったり、自傷行為をほのめかして、相手をつなぎとめようとしたりします。

対人関係においては、相手を理想化したと思うと簡単に幻滅するといった具合で、極端に揺れ動き、長続きしない関係を転々とする傾向があります。

情緒においては、とても繊細で過敏であり、非常に傷つきやすいので、ささいなことに激しく反応します。感情のコントロールが困難で、容易にイライラしたり、不安になりやすかったり、強烈な怒りを抑えられなかったりします。そして、いつも虚しさを抱えています。

行動においては衝動的で、しばしば、浪費、見境ない性的関係、過食、アルコールや薬物の依存、危険運転など、自分に害を及ぼすような行動に身を投じます。

自殺をほのめかしたり、自殺未遂や自傷行為を繰り返すのも、境界線パーソナリティの特徴です。

1980年代、ケンブリッジ病院に勤務していた精神科医のJudith HermanとBessel Van Der Kolkは、境界線パーソナリティと診断された患者のうちあまりにも多くが、子供時代のひどい体験を語っている事実に衝撃を受け、詳細な調査に乗り出しました。その結果、この病院の境界線パーソナリティ患者のうち81%が、子供時代、深刻な虐待かネグレクトを経験しており、そのほとんどが7歳以下に始まっているということが明らかになりました。

一般に、虐待やネグレクトは、始まった年齢が幼いほど、深刻な影響をその後の人生に与えます。子供の頃、家庭で虐待やネグレクトを受けた子供には、逃げるという選択肢はありません。頼る人もなく、隠れる場所もない環境で、恐怖と絶望の毎日を、なんとかやり過ごさなければならない。多くの子供が、外では何事もなかったようにふるまい、深い哀しみや怒りを心の底に閉じ込めて、生きているのが現実です。

そんな風に子供時代を生きた人が、大きくなって、誰でも助けてくれそうな人、わかってくれそうな人に必死にしがみつくのは無理もなく、また、現実から解離してしまう傾向をもってしまうのももっともなことだと、Bessel Van Der Kolk博士は述べています。

実際、ケンブリッジ病院の研究結果を見なくても、私が境界線パーソナリティのクライアントさんたちと接した経験からいって、ほぼ例外なく全員が、虐待かネグレクトを受けており、ごく若い年齢で凄まじい体験をしていました。仲のいい両親のもとで、愛情を受けて育った人は皆無であり、親が薬物やアルコール依存等で親として機能しておらず、複数の加害者によるレイプ、近親相姦、日常的なひどい暴力、身内の自殺や殺人、といった、強烈なトラウマ体験が数多くみられました。

子供の頃に刻印されたトラウマは、大人になったからといって自然に消えてなくなるということはありません。概して、境界線パーソナリティやPTSD、そして双極性障害といった、過去のトラウマの影響で生じることが多い精神疾患は、回復するまでに、長い時間と努力を要します。そして、自分の心の傷と向き合うことは必須であり、それはとても痛みを伴うので、楽な作業ではありません。

けれども、もしそれが効果的にできた場合、その人たちは、まず例外なく、さなぎが蝶に生まれ変わるように、まず人格において、そして日々の生活においても、素晴らしい変革を成し遂げることを、私は自分の臨床経験から知っています。だから、今、苦しんでいる人たちも、自分の人生は変わりうるということを信じて、希望を捨てないでいてほしいと思います。                                                                                                                                                      (Chika)