盛岡心理カウンセリング・ハミングバード

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05日

祈りと心配の源泉

アメリカにいたころのあるクライアントさんの話です。

彼女はまだ20歳そこそこでしたが、お母さんのことをひどく心配して、不安にさいなまれていました。

心配になるのも無理はなく、彼女のお母さんは、重度の麻薬依存症で、もう心身ともにボロボロ、最後に見かけたときには、見る影もなくやつれ果てていたのだそうです。

最後に見かけたとき、と書いたのは、彼女はお母さんにもう何年も会っていなかったからです。虐待とネグレクトを繰り返した母親から引き離され、里親に出されたこのクライアントさんは、その後の母親の消息すら知りませんでした。

彼女は、自分を辛い目に合わせた母親に対して、複雑な感情を抱いてはいましたが、恨んではおらず、やはり心の奥では愛しており、とても心配していました。

彼女の心配は、心に重くのしかかり、彼女の鬱の症状を悪化させていたので、なんとかする必要がありました。なんとかするといっても、実際、不安を取り除くために、今、どこにいるかもわからない母親に対して、彼女が直接できることは何もありません。

なので私は、不安という負の感情エネルギーを、祈りというポジティブなエネルギーに変えてみたらどうか、と彼女に提案しました。

不安というのは、「こうなったらどうしよう」という想念。「お母さんが麻薬で身を滅ぼしていたらどうしよう」という思いは、気持ちをかき乱して重くするだけで、建設的な働きはしません。でも、彼女の不安な思いは、もとはといえば母親への愛情から発生しているものなので、前向きなエネルギーに転換することが可能なのです。そのためには、これをこうなってほしいという願い・祈り・アファメーションの形に変えてあげること。

「お母さんが大変なことになっていたらどうしよう」と思うより、「お母さんが大丈夫でありますように」「お母さんが麻薬依存を乗り越えて、強く生きられますように」と思ったほうがずっと建設的です。そうすることにおり、心を蝕んで侵食するような想念が、希望とか守護の想念に、質が変わるので。

実際、彼女はこの提案をすぐに受け入れ、さっそく数分間、どこにいるかもわからない母親のために、集中して祈りました。目を開けたとき、彼女の顔は数分前よりずっと明るくなっていました。

「今の、お母さんに伝わったと思う。」

という彼女の表情から、不安の影はもう消えていました。

私自身は、何の宗教にも属していませんが、自分のため、誰かのために、強く願ったり祈ったことは、見えないレベルでそれなりの影響を及ぼすと考えています。

でも、それが実際そうかどうかは置いておいて、心理的にみても、同じ愛情という源泉から出たものであるなら、心配よりは祈りの形にして表現したほうが、心にとっていいということは、確かだと思います。

 

 

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